- atsu-y's New Arrivals -

BBSで第一印象を紹介した atsu-y's new arrivals の保管庫です。
本編に移行したりすれば削除していきます。

 

2023

Oct

      
Malmo 1970  /  Definitive Winterland 1972 2nd Night  /  Paris 1970 2nd Night Soundboard  /  Rubber Bowl 1972 Revised Edition

Sep

  
Munich 1995  /  Hanover 1990 2nd Night

Aug

  
Frankfurt 1973 Master Reel  /  Munich 1973 Early Show

Jul

      
Frankfurt 1990  /  Los Angeles 1989 1st Night : Mike Millard Master Tapes  /  Hold On Tight  /  Sheffield 1999: Definitive Master

Jun

    
Voodoo Lounge Sessions  /  Sydney 1973 1st Night: Recorder 2 Upgrade / Tokyo 1998 2nd Night

May


European Tour 1973 - KBFH Broadcast 1974 & 1988 (4th)

Mar

    
Enmore Theatre 2003  /  European Tour Live 1970  /  Black And Blue Sessions & Jamming With Jeff Beck

Feb

   
A Bigger Bang Tour: Japanese TV Specials 2006  /  Boston Orpheum Theatre 2002  /  Los Angeles 1989 3rd Night : Mike Millard Master Tapes

Jan


Aftermath (Expanded Mono Edition)

 XXXXX

Go to 2022 / 2021 / 202020192018 / 2017 / 20162015 / 2014 / 2013 / 2012 / 2011 / 2010 / 2009 / 2008 / 200720062005 / 20042003
[ 2022〜2003はそれぞれの年代の別ページに飛びます ]

 

Oct 2023
MALMO 1970 』 no label (1CD)
aud.recordings@Baltiska Hallen, Malmo, Sweden. Aug.30, 1970

1. Introduction / 2. Jumping Jack Flash / 3. Roll Over Beethoven / 4. Sympathy For The Devil / 5. Stray Cat Blues / 6. Love In Vain / 7. Prodigal Son / 8. You Gotta Move / 9. Dead Flowers / 10. Midnight Rambler / 11. Gimme Shelter / 12. Live With Me / 13. Let It Rock / 14. Little Queenie / 15. Brown Sugar / 16. Honky Tonk Women / 17. Street Fighting Man

1970欧州ツアーの開幕公演であるスウェーデンはマルメ公演。

この公演を収めた隠密音源は2種類あり、いずれもCD時代になってから世に出ましたが、「recorder 1」は古くは1994年リリースの『SWEDEN 1970』(VGP-032)、さらに1997年にはスウェーデンでの3公演を収めた3枚組の『MADE IN SWEDEN』(VGP-105)としてリリースされ、さらには2009年にリリースされた『LIVE IN HELSINKI』(DAC-095)の後半補填にも使われた音源。
そして「recorder 2」は2010年に『IT'S JUST A KISS AWAY』(DAC-101)で登場した新たな音源。
        

「recorder 1」はライブ中盤にはテープが激しく波打ってこもったり、”Stray Cat Blues"や"Brown Sugar"にカット箇所があったりとなかなか厳しい音源でしたが、「recorder 2」はそうしたことがなく、このマルメ公演はDAC盤『IT'S JUST A KISS AWAY』が決定盤となっていました。
とはいえ70年の隠密録音ですので、ヒスノイズもあってそこそこの"good"〜"very good--"程度でありました。

その貴重な70初日のマルメのアップグレード盤が登場。
元音源はもちろん「recorder 2」ですが、上位マスターを入手してGRAF ZEPPELINによって回転ムラの補正も施されて仕上げられたのが今作。
確かにDAC盤と比べてみると一皮むけたとまではいかないものの、DAC盤にあったヒスの増減もなく全体的にヒスが減少して低音のぼやけた感じも改善され、音が明るくなってヴォーカルとギターがよりくっきり聞き取れるように。
まぁ大幅な向上ではなく、低音がブリブリ鳴るところもまだあるので初心者には厳しい音ではあるものの、周りも全く騒がしくなく演奏全体をよくとらえた音が、"
good++"〜"very good"までは向上しています。

70初日ということで69より加速した演奏を堪能できて、レアな曲もやってるマルメですが、VGP時代はその厳しい音質もあってあまり注目されてはいなかったかと。
それがDAC盤をもしのぐアッパー盤の登場でここまでの音質で聴くことができるようになってめでたしめでたし。

さてこのマルメ、69のヘヴィさとはまた違うスピーディーな横揺れへと移行していく70ストーンズ、ツアー初日からしてスリリングな演奏が味わえます。

70といえばリリース前の『STICKY FINGERS』から"Dead Flowers"と"Brown Sugar"を披露し、"Roll Over Beethoven"に"Let It Rock"を加えてチャック・ベリー・ナンバーを3曲に増強していますが、ツアー初日のオープニングからミックのテンションが高く、69と比べると"Stray Cat Blues"もテイラーの見せ場が長くなり、"Love In Vain"ではボトルネックではなく流れるようなリードを弾くテイラー。
さらにはツアー終盤まで残った"Prodigal Son"にツアー中盤には消えてしまう"You Gotta Move"、このアコギ2曲が69のリゾネーターではなく12弦ギターに切り替えた演奏はなかなか秀逸。
そして69でも数回の披露に終わった"Gimme Shelter"、これがまたアルペジオなしのイントロで始まるという、まるでカットインのように聴こえながらもそうではないのが微妙。
やはり70でも"Gimme Shelter"はしっくりいかずにこの初日のみで姿を消し、翌年の71UKでも披露されなかったわけですが、それだけにあの72/73の爆発に至る過程を窺い知ることのできる貴重な演奏。
ちなみにその辺りの中盤に差し掛かるとすっかり耳も慣れ、"very good"感覚で聴いていられます(笑)

ということで貴重な70欧州ツアー初日を楽しめるアップグレード盤でありました。
新音源ではないこうしたアップグレード盤の連発にはどこまで続くのだという恐れも抱きますが、お値打ちですし、こうした機会に聴きなおすというのも楽しいもんだなと。

 

DEFINITIVE WINTERLAND 1972 2ND NIGHT 』 no label (1CD)
aud.recordings@Winterland Arena, San Francisco, CA. June 8, 1972 (2nd Show)

●Disc 1
1. Introduction / 2. Brown Sugar / 3. Bitch / 4. Rocks Off / 5. Gimme Shelter / 6. Happy / 7. Tumbling Dice / 8. Love In Vain / 9. Sweet Virginia / 10. Loving Cup / 11. You Can't Always Get What You Want
●Disc 2
1. All Down The Line / 2. Midnight Rambler / 3. Bye Bye Johnny / 4. Rip This Joint / 5. Jumping Jack Flash / 6. Street Fighting Man / 7. Honky Tonk Women

LHからウィンターランド再び。
このウィンターランド、正式にはウィンターランド・ボールルーム改めウィンターランド・アリーナですが、建物全体がウィンターランドと呼ばれていたため、しばしばウィンターランドとのみ表記されますが、もとはアイススケートリンクでもあったのを、71年にフィルモア・ウエストを閉鎖したビル・グラハムが、より大きなこちらをライヴ会場に改修したもの。

6/3に北米ツアーをバンクーバーから開始したストーンズは、翌日のシアトルでの1日2公演を経て南下し、このサン・フランシスコに到着。
そして6/6と6/8に2公演ずつ、計4公演をこのウィンターランドという小会場で繰り広げます。

おさらいになりますが、そのウィンターランド4公演のうち、完全版としてブート化されているのはこの最終公演である6/8の2ndショーのみ。
この公演はそんなウィンターランド完全版というだけでなく、モントルーリハでの演奏が印象的ながらも72年ツアー序盤にして早くもセトリ落ちした"Loving Cup"が演奏された最後の公演であり、アンコールには"Honky Tonk Women"をやっていることに加えて、"Street Fighting Man"ではちょっと面白いことが起こるのが聴けるというなかなか玄人好みな公演。

本公演は既発ではVGPの『MIDNIGHT MAGIC』(VGP-188)が長らく代表盤でしたが、2016年にジェネレーションのより若いマスターから制作されたLHの『WINTERLAND 1972 2ND NIGHT』がリリースされてからは、そちらが代表盤となっていました。
   

それが今回、丁寧なリマスターが施されて再登場。
まず音質。
こちら2016年盤リリース当時、
> 今回登場したのは既発と同一音源ながらもジェネレーションがかなり若いようでヒスノイズが大幅に軽減され、演奏がよりクリアになったのが特徴。
> とはいえ低音がブンブン鳴っており、モコモコしたこもった感じとは違いますが椅子の高さで聴いてるような音のバランス。
> ということで演奏はクリアになったものの低音をのぞいてやや距離を感じる団子である点は変わらず。
とわたくし紹介していましたが、その出過ぎた低音が今回軽減され、断然聴きやすくなっており、これは素晴らしい!
あのウィンターランドの音がここまで聴きやすくなったかと感慨深いものが。
距離感があるのは変わりませんが、見晴らしもぐっとよくなり、VGP盤では"good"程度だったのが、2016年LH盤によって"very good+"まで向上し、さらに今回いよいよ"
very good++"〜"EX--"まで向上しています。

さらに"Love In Vain"の2:50付近と"JJF"での1:46にあったヨレが見事に補正されています。
後者は言われなければ気づかないレベルですが、前者のヨレが解消されたのは大きい!
さらに2016年盤ではVGP盤と違って"You Can't Always Get What You Want"では素材そのままに収録したということでしたが、実はフェードアウトとフェードインが重なって収録されていたということで(4:50付近の5秒ほどずつ)、そこが修正されています。
そんなわけで、低音の処理などは2016年当時にもアレンジできただろうとは思いますが、細かな補正はさすがDEFINITIVEを謳うだけのことはある。

演奏はあらためて紹介するまでもなく、ヘヴィな縦ノリの69USツアーから横ノリへと変革を遂げた72USツアー開幕当初の荒々しさが素晴らしい。
バランスよく聞けるようになったことでオープニングの"Brown Sugar"からして華麗に舞うテイラーや、ここそこで活躍するニッキーがいいなと改めて。
新作から飛び出した"Rocks Off"でストーンズの演奏にピアノとホーンが絡んで昇天していく様なんてたまりません。
続く"Gimme Shelter"なんてすごすぎるぞ。そして"Loving Cup"もこの公演を最後に姿を消すのが惜しい出来。
"Street Fighting Man"でのチャーリーのドラム・トラブルも聴きどころですが、ウィンターランド、これは素晴らしいとあらためて。

ということでDEFINITIVEは伊達じゃない!
ツアー開始直後の荒々しいストーンズをさらに堪能できるようになった作品でした!

 

PARIS 1970 2ND NIGHT SOUNDBOARD 』 no label (1CD)
SB recordings@Palais des Sports, Paris, France. Sep.23, 1970ud.recordings@Rubber Bowl, Akron, OH. Jul.11, 1972

1. Jumping Jack Flash / 2. Roll Over Beethoven / 3. Sympathy For The Devil / 4. Stray Cat Blues / 5. Love In Vain / 6. Dead Flowers / 7. Midnight Rambler / 8. Live With Me / 9. Let It Rock / 10. Little Queenie / 11. Brown Sugar / 12. Honky Tonk Women / 13. Street Fighting Man
Bonus Tracks: Rebroadcast Version - 14. Sympathy For The Devil / 15. Brown Sugar

1970年の欧州ツアーからパリ公演のSB音源がまたしても登場。
9/22-24の3日間にわたって3回行われた公演は、9/22と23の公演がフランスのラジオ"EUROPE 1"で放送されており、9/22はDJのアナウンスが重なっていましたが、9/23はアナウンサーが被っていません。
この9/23の公演はCD時代になってからGreySealからリリースされ、その後以下のような盤がリリースされています。

PARIS 1970』(GS-93001)
SOME LIKE IT HOT!』(VGP-044)
SHAKE YOUR HIPS』(VGP-078)
LIVE FROM THE RADIO - PARIS 1970』 (GP-1502CD1/2)

     

リマスター盤が出たこともあり、長らくVGPの『SOME LIKE IT HOT!』の天下でしたが、2015年にGOLDPLATEがリリースした『LIVE FROM THE RADIO - PARIS 1970』が代表盤になっていました。
とはいえ前者には"Stray Cat Blues" "Little Queenie" "Brown Sugar"に電子音が混入しており、後者にも"Stray Cat Blues"にまだ電子音が残っていたという欠点がありました。

そんな9/23をまたまたリリースした今作、一聴して悩ましいなと(笑)
VGPやGOLDPLATEのようなイコライジングとは方向性が違うナチュラルな音なんですが、当然のことながらVGPやGOLDPLATEが前に出していたヴォーカルとギターはやや後退してヒスノイズがやや増えてるという。
レストアによる向上は置いといて、音質的にはGreySeal盤に近いナチュラルテイスト。
もちろんGreySealのように左に寄ってたりはせず、定位はビシッとセンターにいます。

しかしヴォーカルとギターが後退とはいえ、それはイコライジングで引き上げられたものとの相対関係であり、今作こそ放送音源に忠実な音。
低音も出すぎることなく、インフォにある「ナチュラルで素朴なAMラジオ感」という表現がまさに。
聴き進めるとナチュラルな音に耳も慣れますし、見事なレストアもあってヨレを感じずしっかり没頭できます。
また、VGPやGOLDPLATE盤に混入していた電子音もなく、ここからもより程度のいい上位マスターからのCD化であることが伺えます。
これはこれまでのイコライジングによってメリハリをつけていた"very good++"を、ナチュラルさと丁寧なレストアで凌ぐ"
EX--"ですね。

そしてこちらはエアチェックテープが元になっているとはいえ、最後の2曲"Honky Tonk Women"と"Street Fighting Man"はラジオのスピーカーから音を拾ったと思われる音なのも変わらず。
また、GOLDPLATE盤と同様、再放送バージョンの"Sympathy-"と"Brown Sugar"も追加収録されています。
前者は『FROM THE VAULT』(VGP-100)に収録されていたものと同じく4分ほどしかないもので、後者は『THE ROYAL DRAGON』(VGP-083)に収録されていたもの。
これらは再放送でちょい高音質とはいえ高音が割れ気味で、既発より向上してるわけでもありません。

ということで、最初は少しナチュラルテイストに物足りなさも感じましたが、聴き進めるうちにこれこそナチュラルな音だと納得の、70パリ2日目の新たな代表盤の降臨でした!

 

RUBBER BOWL 1972 REVISED EDITION 』 no label (1CD)
aud.recordings@Rubber Bowl, Akron, OH. Jul.11, 1972

1. Introduction / 2. Brown Sugar / 3. Bitch / 4. Rocks Off / 5. Gimme Shelter / 6. Happy / 7. Tumbling Dice / 8. Love In Vain / 9. Sweet Virginia / 10. You Can't Always Get What You Want / 11. All Down The Line / 12. Midnight Rambler / 13. Band Introductions / 14. Bye Bye Johnny / 15. Rip This Joint / 16. Jumping Jack Flash / 17. Street Fighting Man

さんざんリリースされてきてマニアにはおなじみの72年アクロン・ラバーボウル公演。

72年アクロン公演は同一隠密音源をマスターとした、以下の5タイトルが順次代表盤としてリリースされていました。

・既発1:AKRON RUBBER BOWL(IMP-CD-029)

  "SFM"未収録ながらCD時代に初登場したIMP盤

・既発2:ARABAMA JUBILEE(VGP-306/D2)

  "SFM"が追加収録されながら補正によりモノラル処理がなされたVGP盤

・既発3:RUBBER BOWL 1972(SV-71172)

  2012年リリースで1stジェネからながらもADTLイントロのダブりとSFM前にノイズが残念な2012年LHリリースのSV盤

・既発4:TOURING PARTY VOL.3(DAC-126/D1)

  2013年リリースで既発3のSV盤の欠点も修正されたDAC盤

・既発5:RUBBER BOWL 1972 REVISITED(no label)

  2020年リリースで既発での欠点補正はもとより、原点に返ってアナログテイストで決定盤に返り咲いたLH盤

        

といったところ。詳しくはNew Arrivalsの2020年をご覧いただければ。
ということで演奏内容の紹介も省きます。

さて今作は、何がどうリバイスされたのかというと、インフォによればGRAF ZEPPELINによって、以下の磨きがかけられたと。
・帯域の全体的な見直し修正
・flutter(回転ムラ)を可能な範囲で修正
・右chで時折入るチリっとした歪みを除去
・低域のハムノイズを若干除去

特に"Sweet Virginia"のヨレの修正にはさらに磨きがかかっているとのことですが、聴き比べてもあまりわからず(笑)
でもほんのわずかに中音域があがって高音域のヒスがほんの少し下がり、わずかながらさらにナチュラルになったようです。
まぁもともと2020年盤もいい音でしたので、大きな違いは全くありません。
なお、2020年盤をわたし"very good"としていましたが、今作はもう個人的にはぜんぜん"EX-"ですね(笑)
でもこれをブートにあまりなじみのない方が聞くとどうだろうと考えるとまぁ"
very good++"〜"EX--"が妥当かもしれません。
でも音像も大きくニッキーとテイラーが美しいアクロン、素晴らしい。

ということでこれは2020年盤を入手できなかった方には嬉しいリリースかと。
ただし2020年盤をお持ちの方にとってはこれを買いなおすかというと難しいなと思いますが、今作が決定盤であることは間違いありません。

でも"Tumbling Dice"でのマイクトラブルなど、やっぱりアクロン面白いなとあらためて聞き直すいい機会でした。


Sep 2023
MUNICH 1995 』 no label (2CD)
aud.recordings@Olympiastadion, Munich, Germany. Aug.3, 1995

●Disc 1
1. Intro / 2. Not Fade Away / 3. Tumbling Dice / 4. You Got Me Rocking / 5. It's All Over Now / 6. Sparks Will Fly / 7. Satisfaction / 8. Beast Of Burden / 9. Angie / 10. Shine A Light / 11. Like A Rolling Stone / 12. Rock And A Hard Place / 13. Monkey Man / 14. I Go Wild
●Disc 2
1. Miss You / 2. Band Introductions / 3. Honky Tonk Women / 4. Connection / 5. Slipping Away / 6. Sympathy For The Devil / 7. Street Fighting Man / 8. Start Me Up / 9. It's Only Rock'n Roll / 10. Brown Sugar / 11. Jumping Jack Flash

1995年、二度目の来日公演を経てオーストラリアとニュージーランドを回り、わずか一ヵ月のオフの後、5/26-27のパラディソを皮切りに6/3から8/30まで続いたVOODOO LOUNGE欧州ツアーを精力的に敢行したストーンズ。
そんな油も乗りに乗ったVoodoo Loungeツアーは当時から94マイアミ、95日本がTV放送され、欧州ではシークレットギグの隠密音源が話題になることに。
ということで、この時期は音質も上がってきたころでしたが、隠密音源はあまり注目されないアイテムもちらほら。

この8/3のミュンヘンもそんな隠密録音の一つで、オール派以外にはあまり見向きもされなかった『VOODOO YOU LOVE』(no credit)にて唯一ブート化された公演。


そして今作はネットに公開されたその『VOODOO YOU LOVE』からであります。
とはいえそこはLH、そのままコピーというわけではありません。
基本的にやや右寄りだった定位を、中央ジャストとはいかずともそれよりは中央寄りに補正され、やや低音が強かったところを中高音の抜けをよくすることで、一皮むけた高音質になっています。
元のCDの"very good++"が、今作は補正&リマスターで"
EX-"に昇格。
周りも曲中曲間で手拍子や掛け合いで大いに盛り上がるところはあれど、話し声が騒がしいこともなく、普通に高音質。
ということで元は元でよかったので、それを丁寧に(←ここ重要)手間をかければこんなにいい音にというお手本のような仕上がり。

そしてツアー終盤のドイツ公演となれば演奏も熱いわけで、スタジアムの音の抜けの良さを取り戻した今作でこれらの曲を味わうのもまた素晴らしい。
ただ、この日の"Sparks Will Fly"のエンディングはチャーリーがいつもの終わり方とは違うただの連打で締めてますが、聞き直すと曲中もちょっとメリハリが欠けてたりもします。
そして"Beast Of Burden"での冒頭、ミックはMy back is broad but it's a hurtingの歌詞を飛ばしてI'll never be your beast of burdenを繰り返したと思ったらその後My back is-がまた2回も登場したりと、歌詞の上ではおかしな順になってますがまぁご愛敬(笑)
いやしかし欧州ツアーといえばの"Shine A Light" "Like A Rolling Stone" "Connection"はいまや『TOTALLY STRIPPED』でスモール・ギグでの熱演をがっつり堪能できるようになりましたが、欧州ツアーで飛び出したこれらを当時ブートCDで聴いて欧州遠征への夢を募らせたことが懐かしく思い出されます。
なお、本公演の模様は、公演翌日のTVにて"You Got Me Rocking"と"Tumbling Dice"、ともにその一部がニュースで放送されましたが、その音は出回っていません。

ということで、コピーを元にしたリマスター補正盤ですが、そのままではなく改良してのリリースで、期待以上に楽しめる作品でした。 

 

HANOVER 1990 2ND NIGHT 』 no label (2CD)
aud.recordings@Niedersachsenstadion, Hanover, West-Germany. May 24, 1990

●Disc 1
1. Continental Drift / 2. Start Me Up / 3. Bitch / 4. Sad Sad Sad / 5. Tumbling Dice / 6. Miss You / 7. Almost Hear You Sigh / 8. Ruby Tuesday / 9.
Factory Girl / 10. Rock And A Hard Place / 11. Mixed Emotions / 12. Honky Tonk Women / 13. You Can't Always Get What You Want / 14. I Just Wanna Make Love To You  / 15. Before They Make Me Run / 16. Happy
●Disc 2
1. Paint it Black / 2. 2000 Light Years From Home / 3. Sympathy For The Devil / 4. Street Fighting Man / 5. Gimme Shelter / 6. Band Introductions / 7. It's Only Rock'n Roll / 8. Brown Sugar / 9. Satisfaction / 10. Jumping Jack Flash / 11. Carmen

先日フランクフルト90がリリースされましたが、今回はその前のハノーバー公演が登場。
本公演のフル音源のブート化は今作が初めてにして、Urban Jungleツアー屈指のレア曲が飛び出したレア公演。

インフォにあるとおり、本公演はアナログ衰退期の1990年にOBRレーベルからリリースされたコンピものLP『I'M LIVING WITH THESE MEMORIES…』とそれの廉価再発盤だった『EUROPE '90 REMEMBER THESE DAYS』にレア曲のみが収録されただけであり、それらはCD化もされていないレア公演でした。
そんな貴重な公演を全編収めた音源が30年以上経ってネットに公開されるだけでも嬉しいですが、その音源、既発アナログブートに収録されていた音よりもいい別音源なのがまた嬉しい。

この初登場音源、最初の最初は距離を感じますが、それはマイクを下げていたせいか、すぐになかなかの音像になって迫力ある音に。
そして周りの歓声は拾っていますがそれも目立つのは曲間が多く、曲中はうるさくはない適度な臨場感という素晴らしさ。
ちょいと演奏の音は割れてる感じでいわゆるクリアな音ではありませんが、この迫力はなかなか。
ギターは音の塊の中にあっても転がるキーボードは埋もれず聞き取れたりして、なかなか楽しい。
しかも元音源と聴き比べてみると速かったピッチが正常になり、ちょいと頭打ちだった音のハイの抜けが改善されていて、元音源より格段にランクアップしているのがさすが。
ということで、これまた個人的には"EX-"ですが、フランクフルト90初日とはまた質感は異なれど評価は同等の"
very good++"〜"EX--"としておきます。
ちなみにジャケのタイトル表記は英語でHanover、ディスクにはマニアはこちらの方が見慣れているドイツ語表記でのHannoverとなっています。

さて、このハノーバーでは2公演開催されますが、今作は"Factory Girl"に"I Just Wanna Make Love To You"というレア曲が飛び出した2日目。
"Factory Girl"はライブ初登場、そして"I Just Wanna Make Love To You"は65年以降久々となるライブ演奏。
ともに7/6のウェンブリー公演の演奏が『FLASHPOINT』とシングルでオフィシャル化されていますが、この初めての演奏を味わえるのは貴重。
ここではウェンブリーの演奏には及ばないものの、大きな乱れもなかったりもしますが、まさかの"Factory Girl"の登場にはコアなファンは感激したこと間違いなし。
逆に乱れてるのはキース。"Before They Make Me Run"ではミラクルなイントロでやり直し(笑)
いつもの"Midnight Rambler"をやらずにレア曲をやったせいで落ち着かなかったのか(笑)

そしてこの日は"Sympathy For The Devil"で珍しい現象が。
インフォには、「研究本で紹介されていたように、ミックがいつものようにステージセットの高台から歌おうとしたところワイヤレスマイクが反応しなくなって開始の雄叫びが聞こえない。」と。
そうなんです。ついにこの音がCDでも気軽に聴けるように(笑)
ただしこれ聴いててふと思い出しましたが、Steel Wheels/Urban Jungleツアーでのこの曲の冒頭の高台の上で使われていたのはワイヤレスではなくワイヤードマイクでしたね。
それでもマイクかPAにトラブルが起こってしまったようで、ミックの雄叫びと歌い始めが遠くにかすかに鳴り響くのみ(笑)
というわけで、しばらくイントロが鳴り響く中、下に降りてきて歌いなおしからやり始める羽目に。
ちょっとかわいそうでありますが、レアな始まりです(笑)

そんなわけで、初登場のレア曲やらレアなトラブルやらがフルに楽しめる作品でした!
 


Aug 2023
FRANKFURT 1973 MASTER REEL 』 no label (2CD)
aud.recordings@Festhalle, Frankfurt, West Germany. Sep.30, 1973(1st & 2nd Show)

●Disc 1 - Early Show
1. Introduction / 2. Brown Sugar / 3. Gimme Shelter / 4. Happy / 5. Tumbling Dice / 6. Star Star / 7. Dancing With Mr. D. / 8. Angie / 9. You Can't Always Get What You Want / 10. Midnight Rambler / 11. Honky Tonk Women / 12. All Down The Line / 13. Rip This Joint / 14. Jumping Jack Flash / 15. Street Fighting Man
●Disc 2 - Late Show
1. Introduction / 2. Brown Sugar / 3. Gimme Shelter / 4. Happy / 5. Tumbling Dice / 6. Star Star / 7. Dancing With Mr. D. / 8. Angie / 9. You Can't Always Get What You Want / 10. Midnight Rambler / 11. Honky Tonk Women / 12. All Down The Line / 13. Rip This Joint / 14. Jumping Jack Flash / 15. Street Fighting Man

いまフランクフルトが熱い!
7月にリリースされた『FRANKFURT 1990』の紹介でも書いたとおり、やはり1973が登場!!

フランクフルト1973といえば、後述する通り、30年ほど前に世に出た、ミック・テイラーがやたらとでかい音源で有名な公演ですが、今回もマスターはそちら。
その音源は、『FRANKFURT 1990』のテーパーと同じく"LTB"による録音だったことが、"mossa"によって1990に続いて1973も公開された際に明らかになったわけですが、遂にあのフランクフルト73がマスターから降臨です!!

もう紹介はそれだけでいいじゃないかというところですが、少しおさらい(笑)
1973欧州ツアーは9/1にウィーンから開幕し、西ドイツやイギリス、スイスを経てまた9月末には西ドイツに舞い戻ってきます。
そこで9/28にミュンヘン、9/30にフランクフルト、10/2にハンブルグと巡りますが、全て一日に2回のステージを敢行するストーンズ。
この西ドイツの前後のスイスやデンマークにスウェーデンでもそうですから、ミック30歳のこの1973年、ストーンズがいかに脂がのり充実していたかを物語っています。
ということで、このフランクフルトではおなじみのフェストハレにて9/30に2回のショーを敢行します。

そのフランクフルト公演は、CD時代の94年にStone Crazyがリリースした『THE FRANKFURT TAPES 1973』(SC 002)によって初めて世に出ます。
その隠密音源は、録音状態が良好なだけでなく、特に2ndショー(以降レイトショー)においてミック・テイラーをやたらとどでかく捉えていた音でもマニアを虜にした音源で、その後リリースされた作品もすべて大元のマスターは同じ。
そんなわけでStone Crazy盤はそのかっこいいデザインも相まってマニアからの人気が高く、1st仕様のLPサイズBOXやスリップ・ケース入りの2nd仕様もすっかりレア盤となって市場から消えてしまっていました。
そんな状況に風穴を開けたのがVGPで、2001年に『GUTEN ABEND FRANKFURT』(VGP-266)をリリース。
ただし73コーナーにも書いているとおり、VGP盤はStone Crazy盤を凌ぐ音質ではありませんでしたが、いかんせんそれでしか手に入らない状況で、こちらも完売後に市場では高騰したものです。
わたしもフランクフルト73はすごいぞとHot Stuff開設当初から煽ってた感は否めませんが、小火のせいでStone Crazy盤とVGP盤を共に買いなおす際、その入手困難さにかなり苦しみました(笑)
   

その後レイトショーは『FRANKFURT TAPE 1973』(For Fans Only 004)というのもリリースされましたが、このレーベルは音を膨らませる音作りだったことから、耳あたりはよくともナチュラルさではかえって劣る仕様に。


なお、その後タランチュラからも『LISTEN TO THIS, WILHELM II』がリリースされましたが、どうしてこういう音にしちゃうんだろうというタラ・テイストに。

そんなわけでしたが、今回ネットに遂にマスターテープからの音源が公開されたのです!
するとやはりStone Crazyの音が一番マスターに近い音だったことがわかりましたが、ややヒスを感じてわずかに左寄りだったStone Crazy盤に対して、今作はそれを上回るナチュラルなクリアネスと定位がど真ん中にある決定盤です。
所々でマイクがよそを向いてしまって音が遠くなる箇所があるのは、今回マスターからしてそうだったことが分かったのでやむなし。
今作ではネットに公開されたマスターからのトランスファー音源に対して僅かに中音域を上げ、高音域にあるヒス成分は少し落としているようですが、ナチュラルさを損ねるものではない見事な調整はさすがはGraf Zeppelin。
既発では個人的にはやはりStone Crazy盤が代表盤でしたが、今作はそれを超越し、アーリー・ショーは"
EX-"、レイト・ショーは"EX--"にまで昇華しています。

演奏はマニアには承知のとおりなのでもう省きますが、やはりミック・テイラー最高です。
ダイスで暴れるミックも最高、アーリー・ショーでの"All DOwn The Line"の冒頭、一人ぼっちの世界のキースも面白い(笑)
そして2つのステージでのテイラーの演奏の違いも大いに楽しめます。

なお、細かいことですが、欠落部についてはお互いを利用して補完しています。
まずアーリー・ショーの"Gimme Shelter"の0:57〜1:24はレイト・ショーから補填し、"All Down The Line"は2:46付近のカット部は目立たないよう摘まれ、3:50以降の曲間欠落部は5秒ほど別パートで補填されています。
続いてレイト・ショーでは、"Midnight Rambler"の11:06以降の歓声部をアーリー・ショーで補填。
そしてその"Midnight Rambler"からの流れで"Honky Tonk Women"の0:00〜0:16までが引き続きアーリー・ショーで補填されていますが、レイト・ショーに戻る際にはクロスフェードによりシームレスな見事なつながりとなっています。
こういう丁寧な仕事はさすがGraf Zeppelin、見事です。

ところでこの音源が今回公開された際、そのインフォにはボビー・キーズが73ツアーに参加していたのはこのフランクフルトまでと記載されていました。
しか〜し、わたしはComplete WorksのNicoによる、おそらくこの一つ前のミュンヘンが最後だったのではという説が正しいと思っています。
フランクフルトの"Brown Sugar"と"Rip This Joint"を聴けばやはりボビーではないだろうと。
また、このフランクフルト公演のレイト・ショーは"Street Fighting Man"の映像が出回っていますが、そこにボビーの姿はありません。
その映像に映っているホーン・セクションの3人は、トレヴァー・ローレンス、スティーブ・マダイオ、そしてもう一人はマーシャル・チェスではと。
そしてこの日のステージをとらえた写真にもボビーが写っているものは探した限りでは見当たりません。
なお、この辺の議論はIORRでも過去に散々議論されてまして、やはりミュンヘンまでだろうというのが定説です。
LHもそうした見解なのでしょう、今作の裏ジャケのクレジットにボビー・キーズの名はありません。
とはいえボビーは自伝でフランクフルト後に帰国したと書いているんですが、ミュンヘン空港から帰国するボビーの姿をとらえた写真も存在するらしいので、ミュンヘンの間違いじゃなかろうかと。

とまぁ横道にそれましたが、やはりHot Stuff創設時の想いと同じく、「ミック・テイラー ファンのあなたに」という73フランクフルト公演、それがついにマスターからのアップグレードした音を楽しめるようになった快作。
これを聴けばアドレナリンが全身を駆け巡ります。
フランクフルト73最高!!

 

MUNICH 1973 EARLY SHOW 』 no label (1CD)
aud.recordings@Olympiahalle, Munich, West Germany. Sep.28, 1973(1st show)+

・Early Show
1. Introduction / 2. Brown Sugar / 3. Gimme Shelter / 4. Happy / 5. Tumbling Dice / 6. Star Star / 7. Dancing With Mr. D. / 8. Angie / 9. You Can't Always Get What You Want / 10. Midnight Rambler / 11. Honky Tonk Women / 12. All Down The Line / 13. Rip This Joint / 14. Jumping Jack Flash /
・Bonus Tracks - Late show (Analog TV Recording)
16. Brown Sugar / 17. Gimme Shelter (part) / 18. Street Fighting Man (part)

フランクフルトの前のミュンヘン公演。
こちらも一つ前に紹介した1990とこの次に掲載した1973のフランクフルト・シリーズと同じくmossaがネットに公開してくれた音源をごく一部に使ってのアップグレード盤。

ミュンヘンも9/28に2回のショーが繰り広げられますが、こちらは1stであるアーリー・ショーのみを収録。
このアーリー・ショーは2007年にSODDが珍しく独自に『AN AFTERNOON IN MUNICH』(SODD 028)をリリースして世に出ました。
同年、後を追うようにしてDACがレイト・ショーとのカップリングで『MUNICH AT LEAST』(DAC-066)をリリース。
DAC盤は、SODD盤では欠落していた"You Can't Always-"から"Midnight Rambler"冒頭を別音源にて補填しており、そちらが長らく決定盤となっていました。
 

というわけですが、その欠落補填に使われていた別音源のマスターからの音源が先日mossaによって公開され、その音源を"You Can't Always-"から"Midnight Rambler"冒頭の補填に使用したのが今作。
ということで、今作もメインはSODD盤やDAC盤と同じですが、メインの音源はSODD盤より中低音域に厚みを持たせたDAC盤より、さらに低音域に少し厚みを持たせ、高音域も自然な音に改善されています。
大幅なアップグレードではありませんが、これまたさすがはGraf Zeppelinという見事なアレンジ。
そして補填に使われている僅か8秒ほどのパートは、まぁ僅かではありますがDAC盤より向上しています。

そんな今作、肝心のその音質ですが、最初は音が遠くていまいちかなと思いきや、聴き進めると意外に音の分離もよくてこもったりすることもなく、周りもうるさくないという"
very good+"〜"EX--"。
ギターが前面に鳴り響くサウンドではありませんが、73欧州ツアーを収めた音源にあってはなかなかの良好音源。

そんなわけですが、この日はミックがすごいのです。
テイラーももちろんですが、このステージはミック・ジャガーが素晴らしい。
"Happy"でのキースとのワンマイクでもミックがでかく、"Tumbling Dice"の冒頭では何か笑いながら歌っていますが、後半にかけて盛り上がりはさすがミック。
はい、この日のミックはほんっとにすごいのです。
そのミックの素晴らしさを堪能できるほんとに素晴らしい音源で、聴いていてこれまたアドレナリンが駆け巡ります(笑)

そしてボーナス収録されているのは、ライヴから1か月後の10/20にドイツARDの"Kätschap"でTV放送された3曲で、これまたmossaが公開してくれた音源。
とはいえ完走テイクは"Brown Sugar"のみで、"Gimme Shelter"と"Street Fighting Man"はごくごく部分的ではあります。
昔から出回っていたこの音源は低音が薄く、今回公開されたものは鮮度は上がれどベースがブンブン鳴って中域がきつかったのですが、今作ではそこはうまく調整されています。
これまたさすがGraf Zeppelinという音作りで見事。

ちなみにフランクフルトではいないと思われるボビーはここでは力強いブローを聞かせてくれます。
そして表ジャケのツアー・ポスター、こちらはよく見るとミックのサイン入りです(笑)

ということで、大幅なアップグレード盤というわけではありませんが、しっかりとそのアップグレードを実感できる嬉しい作品でした。 


July 2023
FRANKFURT 1990 』 no label (4CD)
aud recordings@Waldstadion, Frankfurt, West-Germany. May 26 & 27, 1990

●Disc 1 - Waldstadion, Frankfurt, West-Germany. May 26, 1990
1. Continental Drift / 2. Start Me Up / 3. Bitch / 4. Sad Sad Sad / 5. Tumbling Dice / 6. Miss You / 7. Almost Hear You Sigh / 8. Ruby Tuesday / 9.
Factory Girl / 10. Rock And A Hard Place / 11. Mixed Emotions / 12. Honky Tonk Women / 13. Midnight Rambler
●Disc 2
1. You Can’t Always Get What You Want / 2. Can’t Be Seen / 3. Happy / 4. Paint It Black / 5. 2000 Light Years From Home / 6. Sympathy For The Devil / 7. Street Fighting Man / 8. Gimme Shelter / 9. Band Introductions / 10. It’s Only Rock’n Roll / 11. Brown Sugar / 12. Satisfaction / 13. Jumping Jack Flash / 14. Carmen - Ride of The Valkyries

●Disc 3 - Waldstadion, Frankfurt, West-Germany. May 27, 1990
1. Continental Drift / 2. Start Me Up / 3. Bitch / 4. Sad Sad Sad / 5. Harlem Shuffle / 6. Tumbling Dice / 7. Miss You / 8. Almost Hear You Sigh / 9. Ruby Tuesday / 10.
Dead Flowers / 11. Rock And A Hard Place / 12. Mixed Emotions / 13. Honky Tonk Women
●Disc 4
1. You Can’t Always Get What You Want / 2.
Little Red Rooster / 3. Before They Make Me Run / 4. Happy / 5. Paint It Black / 6. 2000 Light Years From Home / 7. Sympathy For The Devil / 8. Street Fighting Man / 9. Gimme Shelter / 10. Band Introductions / 11. It’s Only Rock’n Roll / 12. Brown Sugar / 13. Satisfaction / 14. Jumping Jack Flash / 15. Ride of The Valkyries

いまフランクフルトが熱い!
この1990に続いてきっと1973も近々登場するであろうフランクフルトであります。

ということで、こちらはネットに公開されたフランクフルト90の屋外スタジアム連荘2デイズを収めた初登場隠密音源。
なんと、あのテイラーがでかいことで有名なフランクフルト73を録音したテーパーが、17年後にまたもや録音してくれていたのです。
73と同一テーパーだったことがわかったのは、この90が公開された後にフランクフルト73も公開され、そのクレジットによって判明したわけですが、そうだったのかと。
これは期待せずにはおれません!
とはいえ隠密録音ということでマニア向けではありますが、隠密音源が乏しいUrban Jungleツアーにあって初日の5/26はブート初登場公演、そして2日目の5/27は既発を上回る良好音質にて登場であります。

まずはブート初登場公演となる初日の5/26。
マニアにとっては初登場というだけでもウェルカムですが、こちらはブート初登場というだけでなく、トレーダー間に出回っていた音源とも異なる良好音源。
とはいえネットに公開されたものはピッチがやや高く、少し平坦でデジタル変換っぽい匂いがしてましたが、さすがLH、今作ではピッチも正しく補正されてデジタルっぽさも薄まり少し懐の深い音になっています。
定位はやや左にあり、手拍子や掛け声も拾ってはいますが、真横というわけでもないのでほどよい臨場感。
ただ、ちょいと距離感があり、ヴォーカルはよく聴こえますが、ホーンがにぎやかになればギターが埋もれるところも。
とはいえ目立つところはバリバリ目立って鳴っており、メンバーの演奏全体がうまく録れていて、屋外スタジアムらしい音に広がりも感じられ、会場にいる雰囲気がよく伝わってくる良好録音。
個人的には"EX-"ですが、ちょいと言い過ぎかもなので、"
very good++"〜"EX--"程度と。
ただし、DLした音を聞いてもここまでは感じなかったので、今作の仕上げがうまくフィットした結果なんでしょう。

そんな初日ですが、"Almost Hear You Sigh" "Ruby Tuesday"に続いて飛び出したのは"Factory Girl"。
これはこの一つ前の公演であるハノーバーで初めて披露されたレア曲。
その後もUrban Jungleツアーでは何度か演奏され、『FLASHPOINT』にもウェンブリーでの演奏が収録されていますが、このフランクフルトの方がよりパワフルなカントリーに。
そういえば"Tumbling Dice"でも、この日はミックが妙にはっきり「Dice」とまで歌ってるのが新鮮でしたが、翌日はバナードに任せたりしているので、この日はミックの好調ぶりが伺えます。
そしてインフォにも書かれていましたが、"Can't Be Seen"でのキースもカウントから歌への入り方して絶好調であります。
後半も絶好調で、"JJF"語にはアンコールを求める"Zugabe"の大合唱があちこちに。
いやぁ〜この日の素晴らしい演奏をこうした音で初登場ブートで聴くことができて感激です。

そして2日目。
この日を全曲収録した既発盤といえばVGPの『FRANKFURT SHUFFLE』(VGP-102)。
そちらはまぁまぁ良好音源程度でしたが、今作はそちらとは別音源の初登場音源にして音質も大幅にアップグレード。
また、他のタイトルで部分的に聴くことができた音源とも違う、完全初登場音源です。
定位がやや左寄りなのは初日と変わらずですが、2日目は初日より音が近くギターも埋もれず、周りもうるさいほどではなく音に広がりもあり、下から上まで綺麗に録れています。
個人的には十分"EX-"なれど、定位やクリアネスではあと一歩かという"
EX--"。

そんな良好音源ですが、最初の”Start Me Up”の0:43からしばらく左chがオフ気味になります。
そこは『FRANKFURT SHUFFLE』では話し声が入っていましたが、もしかしてこんなに音質違って聴こえるのにそこの話し声がする左chを消した同一音源なのか?
と何度も聴き比べてみましたが、やっぱり別音源ですね。
それにしてもナチュラル感が素晴らしい。この2日目もピッチ調整がなされてDL音源よりもナチュラルなサウンドです。

さて2日目はVGPのタイトルの通り、初日にはやらなかった"Harlem Shuffle"をやり、"Almost Hear You Sigh" "Ruby Tuesday"に続いて飛び出したのはなんと"Dead Flowers"。
これはUrban Jungleツアーでは2回しかやらなかったレア曲。さらにはUrban Jungleツアーでは3回だけの"Little Red Rooster"まで登場!
そのかわりにド定番の"Midnight Rambler"がセトリ落ちするという珍しいレア公演。
ちなみに1989年から1990年のSteel Wheels/Urban Jungleツアーを通して"Midnight Rambler"がセトリ落ちしたのは、このフランクフルトとその前の公演地のハノーバーの2回だけ。

そんな連荘フランクフルトの2日目ですが、この日はミックよりバナードが頑張ってたりします(笑)
まぁミックが不調というわけではないんですが、初日で紹介した"Dice"などは初日の方が断然しっかり歌ってます。
でも"Dead Flowers"といい、"Little Red Rooster"も素晴らしい。
この日をこうしたよりグレードの高い初登場音源で楽しめるのはナイス!!

ということで、いま熱いフランクフルトのUrban Jungleツアーの2連荘公演を、ピッチ修正を施した素晴らしい良好音源で楽しめる素晴らしい作品でありました!
 

 

LOS ANGELES 1989 1ST NIGHT : MIKE MILLARD MASTER TAPES 』 no label (2CD)
aud.recordings@Memorial Coliseum, Los Angeles, CA. Oct.18, 1989

●Disc 1
1. Intro/Continental Drift / 2. Start Me Up / 3. Bitch / 4. Sad Sad Sad / 5. Undercover Of The Night / 6. Harlem Shuffle / 7. Tumbling Dice / 8. Miss You / 9. Ruby Tuesday / 10. Play With Fire / 11. Rock And A Hard Place / 12. Mixed Emotions / 13. Honky Tonk Women / 14. Midnight Rambler
●Disc 2
1. You Can't Always Get What You Want / 2. Little Red Rooster / 3. Happy / 4. Paint It Black / 5. 2000 Light Years From Home / 6. Sympathy For The Devil / 7. Gimme Shelter / 8. Band Introductions / 9. It's Only Rock'n Roll / 10. Brown Sugar / 11. Satisfaction / 12. Jumping Jack Flash / 13. End of Show Fireworks

1989年Steel Wheelsツアー、開幕から1ヶ月半が経ったLAでの4公演(10/18、19、21、22)の初日10/18が、あのMike Millardによる音源で登場。
このLA4公演の初日は、当時『LOVE YOU LIVE IN LOS ANGELES』というアナログがリリースされていましたが、CD化もされなかった厳しい音。
そしてCDではようやく2017年9月に、JEMS ArchiveからKrw_coによって公開された音源を基にした『LOS ANGELES 1989 1ST NIGHT』がLHからリリースされていました。


一方、2020年にJEMSによって公開された89LA最終日によって、マイク・ミラードが89LAも録音していたことが明らかに。
そのLA最終日は『LOS ANGELES 1989 FINAL NIGHT: MIKE MILLARD MASTER TAPES』としてLHからリリースされて驚いたのも懐かしい。
ならば89LAは全公演マイク・ミラードは録音したのか?と続編が楽しみでしたが、それから3年経った2023年、JEMSによって満を持してLA3日目が公開され、2月に『LOS ANAGELES 1989 3RD NIGHT: MIKE MILLARD MASTER TAPES』がリリースされていましたが、今回はLA初日。

2017年にLHからリリースされた『LOS ANGELES 1989 1ST NIGHT』は"very good--"としていましたが、今回のマイク・ミラード音源はその音源を軽く凌ぐ、さすがはマイク・ザ・マイクという録音。
音に厚みと広がりがありつつ音像も大きく、さらには周りがうるさくないという見事な録音です。
既発ではちょこちょこ話し声が入ってたりしていたので、ここはまた嬉しいところ。
さらに嬉しいことにキースのギターが埋もれず見事に録音されており、"Honky Tonk Women"でのギターなんてたまりません。ここは既発との大きな違い。
スタジアムでのコンサートは嫌っていたマイクですが、初日にしてこうした録音を成し遂げてくれたところはさすがはマイク。
カセット時代ということでフォーカスはややソフトなところはありますが、これはもうVGを超えた"
EX-"です。
なお、このミラード音源は曲間にテープチェンジによる欠落が所々ありますが、今作では既発の『LOS ANGELES 1989 1ST NIGHT』をイコライズ調整がなされたうえで補填されています。
演奏部分では唯一"JJF"の冒頭に欠落がありましたが、そこももちろん既発から補填されており、その音質差を聴けばいかに今回のマイク・ミラード音源が素晴らしいかがよくわかるというもの。

演奏は、Steel Wheelsツアーということでカッチリしていますが、この日はキースが"Happy"1曲しかやらなかったという珍しい公演。
LAでも2日目以降の3公演はその他の公演と同じく"Before They Make Me Run"と2曲やってるんですが。
通常のLiving Colourに加えてGuns N' Rosesという2枚の前座を構えた初日ということで、もしかしたらカヒューにでも引っ掛かりそうだったのか?
いや、今回改めて聞いてみてわかりましたが、そうじゃないですね。
キースはちょい声を枯らしてますので、この日は1曲だけにしたんでしょう。
でも"Happy"のイントロ後半にはハミングというかご機嫌な様子も。そしてキースのギターは絶好調です。

それにしても音源が変わるとだいぶ印象も変わるものだなと改めて感じるほど、既発とは迫力が違います。
そして最後、カルメンのトレアドールが流れる中、花火が上がる音がまたリアル。。あいや、ここは既発音源からの補填でした(笑)
でもテープチェンジの欠落部分の丁寧な補填だけでなく、こうしてアウトロの補填までしているのはナイス。

ということで今回の初日の登場で、マイク・ミラードによる89LAの4公演、残るは2日目の10/19だけとなりました。
その日はエリック・クラプトンが共演して全編映像も残っている日なので新鮮味はないかもしれませんが、いずれは公開されるかと。

なお、今回のリリースに合わせて2020年にリリースされた『LOS ANGELES 1989 FINAL NIGHT: MIKE MILLARD MASTER TAPES』が装いを新たに再発されました。
↓オリジナルと今回の再発ジャケ。 
   
再発盤のジャケは今回の1st Nightと統一感のあるものに。
こうなると2月にリリースされた『LOS ANAGELES 1989 3RD NIGHT: MIKE MILLARD MASTER TAPES』もいずれ統一ジャケで再発されるのかも(笑)
 

 

HOLD ON TIGHT 』 no label (3CD)
aud.recordings@Madison Square Garden, New York City, NY. Jun.27, 1975

●Disc 1
1. Fanfare For The Common Man / 2. Honky Tonk Women / 3. All Down The Line / 4. If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud / 5. Star Star / 6. Gimme Shelter / 7. Ain't Too Proud To Beg / 8. You Gotta Move / 9. You Can't Always Get What You Want
●Disc 2
1. Happy / 2. Tumbling Dice / 3. It's Only Rock'n Roll / 4. Band Introductions / 5. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) / 6. Fingerprint File / 7.
Cherry Oh Baby / 8. Angie / 9. Wild Horses
●Disc 3
1. That's Life / 2. Outa Space / 3. Brown Sugar / 4. Midnight Rambler / 5. Rip This Joint / 6. Street Fighting Man / 7. Jumping Jack Flash / 8.
Sympathy For The Devil (w/Carlos Santana)
+Bonus Track
9. Rip This Joint (Madison Square Garden, New York City, NY. Jun.24, 1975)

1975年のT.O.T.A.から、6/22から6/27まで6連荘で敢行したMSG公演の最終日の復刻盤が再び。
この日はアンコールでの悪魔でカルロス・サンタナが参加してキースがベースに回った伝説のライブ。
そしてもう一つ重要なのは、75年には2回、そして収録されたアルバム『BLACK AND BLUE』リリース後の76年にも1回しか演奏されていないメガレアな"Cherry Oh Baby"が演奏されたライブ。
ちなみにその"Cherry Oh Baby"を"Hold On Tight"とクレジットしていたのが、アナログブートの『HOLD ON TIGHT』でありました。

さてこちら、リリース時点でSold Outになっているので紹介するのも何ですが、簡潔に。
75コーナーでも紹介している通り、本公演の隠密録音は2つのソースが存在し、これまでさまざまな作品がリリースされましたが、代表盤はLHが2008年にリリースした『THE ORIGINAL HOLD ON TIGHT』。
その後同じく2008年にリリースされたDACの『HOLD ON TIGHT』はHot Stuffでは紹介していませんが、LHの『THE ORIGINAL HOLD ON TIGHT』(以下2008年盤)を超えるものではありませんでした。

さて今作、これまでの代表盤であるLHの2008年盤との音の違いはさほど大きくはないもの、今作の方がオリジナルのアナログの音をより忠実に復刻していると言えます。
音質的には同じくアナログ落としですし2008年盤の"
very good+"と変わらずというところですが、今作の方が低音域から超高音域まで幅広く音を拾っており音に広がりもあることから、演奏に厚みを感じます。
そのため、中高域以外はわずかに減衰していた2008年盤の方が、ギターはシャープでアタックのあるスッキリした音に聞こえます。
そういうわけで、普通に今作だけを聴くとあまり感じませんが、2008年盤と聴き比べをしてみると、個人的には今作ももう少しギターがONでもいいのにとは感じます。
この辺は好みもあるかと思いますが、今作ではこれぞ75という黒い演奏を楽しめます。
そして丁寧なアナログ落としというだけではなく、2008年版以上に細かい補正や補填が丁寧に施されており、さらに極めた完全版、単なる復刻盤を超える素晴らしい「シン・復刻盤」となっています。
さらに装丁からディスクのデザインに至っては今作の圧勝であります。

というわけですが、歴史から補正補填などなど、ショップインフォが素晴らしいので、以下にジャケ画像を加えてまるまるコピペしておきます。

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ローリング・ストーンズが1975年のマディソン・スクエア・ガーデンで敢行した連続公演の千秋楽ではカルロス・サンタナがフィナーレ「Sympathy For The Devil」に飛び入りした伝説の一夜となりました。
その模様を捉えたオーディエンス録音は二種類存在します。

「recorder 1」LP『HOLD ON TIGHT』で日の目を見た音源
「recorder 2」LP『PRESERVE FOR FUTURE』と『DISCOVER NEW YORK』で日の目を見た音源

最初にリリースされたのは『HOLD ON TIGHT』の方で、LP三枚に収めるべくピッチを高め、なおかつ曲順を変えていたのが大きな欠点でした。
 

その点「recorder 2」を使った二枚のLPはずっと聞きやすい状態で収録されていたものの、今度はライブ終盤のリリースが叶わずに終わってしまったという。
しかしCD時代を迎えるとVGPレーベルから「recorder 2」を収録した二タイトルのCD化によって一気に普及。
さらには別の編集盤に収められていたアンコール"Sympathy For The Devil"も一つのタイトルの下でまとめられた新たなVGP盤が出されましたが、タイトルとアートワークは『HOLD ON TIGHT』というスタイルでリリースされたのでした。
     

こうした状況によりCDでは「recorder 2」の天下がずっと続いていたのですが、それ以前からマニアの間では「音質は「recorder 1」の方が秀でている」というのが常識でした。
確かに「recorder 2」も非常に良好な音質であったのですが、録音者の近くでしつこく"Satisfaction"を叫ぶ女性の声が耳障りであった。
その点「recorder 1」の方が音像は圧倒的に近く、マニアの研究書においても『HOLD ON TIGHT』LPが「正確な曲順と正確なピッチなら後世に残る名盤だったのに…」と言わしめるほどでしたし、ファンクラブ会報に至っては「サウンドボードである」と明言したほど。

そもそも『HOLD ON TIGHT』をリリースしたレーベルは独自のジャケット・センスとマニアックなオーディエンス録音タイトルがメインだったことで、当時は正当な評価が得られませんでした。
サウンドボードの『PHILADELPHIA SPECIAL』や『HOT AUGUST NIGHT』が大旋風を巻き起こしていた時代ゆえ、むしろ浮いてしまった感すらあったのです。
しかし、この『HOLD ON TIGHT』、さらにバトン・ルージュの『CAJUN QUEEN'S AFTERNOON DELIGHT』そして72年ツアー・サウンドボードの集大成『PLUG IN FLASH OUT』は独特のアートワークと相まってこのレーベルが生み出した三大名盤と呼べるかと。

こうなると「recorder 1」のCD盤の登場は急務だった訳ですが、「recorder 2」の天下が長すぎてなかなか登場しない。
マニアの留飲が下がったのは2008年のこと。
まず『THE ORIGINAL HOLD ON TIGHT』がLPからの見事なCD化を実現。
当時マニアを大いに喜ばせた一方で"Gimme Shelter"の途中で生じるマイクノイズを隠蔽する編集や二枚のCDに収めるべく曲間をつまむなど、元の状態に忠実とは言えない点があったのは確か。


その点、同じく2008年に後追いリリースされたDAC盤『HOLD ON TIGHT』は無用な編集のない状態で収録されているというメリットがあった一方、音質が元のLPから大きく変化しているという問題を抱えていた。
それはそれで完成度の高い仕上がりだったのですが、LPのウォーミーな音を聞いてきたマニアからすれば違和感を覚えたのも事実。
 

このように、何かしら問題を抱えていた『HOLD ON TIGHT』復刻タイトルのリリースからも15年の歳月が経過。
再び「recorder 1」が入手困難な状況へと陥ってしまったのです。
この由々しき事態に立ち上がってくれたのが「Graf Zeppelin」。改めて最新技術を駆使したLPからのCD化を敢行。
音質がかなり変わっていたDAC盤はもとより、『THE ORIGINAL HOLD ON TIGHT』と比べてもさらに忠実にオリジナルLPならではの聞きやすさを忠実に、しかもノイズレスでCDに封じ込めています。
それだけでも過去の二タイトルを大きく引き離す仕上がりを見せているのですが、さらに「Graf Zeppelin」は随所で見られた微妙な音揺れなどもきっちりアジャスト。
そしてピッチに関しても全体を通しての正確さを徹底。これもまた過去のアイテムを寄せ付けない見事な完成度を誇ります。
もちろん欠損個所は「recorder 2」で補填しましたが、それもまたスムースの極み。
代わりにオリジナルのLPで混入されていた「Rip This Joint」24日のテイクは削除することなく最後にボーナス扱いとして収める念の入れよう。
そんな音像の迫力を誇る「recorder 1」を安定した状態で楽しめるのは格別。
この音像でMSG最終日らしいワイルドな演奏ぶり、かと思えば"Midnight Rambler"でちょっとスイッチが切れるミック、果てはキースがベースを弾いてしまったことで正に暴走列車のように始まってサンタナが加わるフィナーレ"Sympathy For The Devil"といったこの日ならでのはちゃめちゃなステージを心ゆくまでお楽しみください。
これぞ2023年に相応しい、ベストの『HOLD ON TIGHT』です。
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REMASTERED BY GRAF ZEPPELIN
(リマスター・メモ)
★アナログLP『HOLD ON TIGHT』(CS-MSG-75)をベースに、欠落部を別ソースで補填し、疑似ながら初の全曲ノンストップ完全収録を実現
過去にも同様の手法の既発盤がありますが、そちらでは曲間の編集が甘く、欠落や編集ミス、フェイク処理などもあり、本盤が初のノンストップ完全盤となる

 ★音も本盤ではアナログ盤の広がりのあるサウンドを尊重
*既発DAC盤では演奏をセンターに寄せるためなのか、若干(30%くらい)モノラル寄りの処理がなされている

★スクラッチノイズは、ピンポイントで丁寧に根気よく除去。
ソフト上で、波形全体を一括選択で一気にノイズ処理するような(=人工的にな音になる)処理はしてません。
また、元音源の時点で左チャンネルのヒスが気になる箇所が多々ありますが、必要最小限の処理に留めてます。

★ピッチは一定ではなかったため、可変で適宜補正。
また一部ですが、テープの震え(ワウフラ)も補正してます。Angieのトライアングル(?)等々

★ボーナスのRip This Jointはアナログ盤に収録されていた24日のもの。
ピッチ修正のうえ収録。
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Taken from the 3LP "HOLD ON TIGHT" (CS-MSG-75)

Disc 1 (52:50)
1. Fanfare For The Common Man
2. Honky Tonk Women
3. All Down The Line
4. If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud
5. Star Star ★4:13-4:22(演奏後曲間) 補填
6. Gimme Shelter ★5:40-5:41(音切れ部) / 6:25-6:58(演奏後曲間) 補填
7. Ain't Too Proud To Beg
8. You Gotta Move ★4:05以降 補填
9. You Can't Always Get What You Want ★0:00-0:02 / 6:58-8:35 /12:21-12:31(演奏後曲間) 補填

Disc 2 (53:25)
1. Happy
2. Tumbling Dice
3. It's Only Rock'n Roll ★5:27-5:34 補填
4. Band Introductions
5. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)
6. Fingerprint File
7. Cherry Oh Baby ★6:07以降 補填
8. Angie ★0:00-0:08 補填
9. Wild Horses ★6:51以降(演奏後曲間) 補填

Disc 3 (55:15)
1. That's Life ★丸ごと別ソース
2. Outa Space ★0:00-0:02 / 3:01-3:06 補填
3. Brown Sugar ★2:06-2:31 / 4:25-4:48(演奏後曲間) 補填
4. Midnight Rambler ★4:27-4:37 / 13:31以降(演奏後曲間) 補填
5. Rip This Joint ★丸ごと別ソース
6. Street Fighting Man ★0:00-0:01 / 3:33以降 補填
7. Jumping Jack Flash ★丸ごと別ソース
8. Sympathy For The Devil ★0:00-0:11 補填

Bonus Track
Madison Square Garden, New York City, NY, USA 24th June 1975
9. Rip This Joint ★これもアナログ盤から収録

 

SHEFFIELD 1999: DEFINITIVE MASTER 』 no label (2CD)
aud.recordings@Don Valley Stadium, Sheffield, UK. Jun.6, 1999

●Disc 1
1. Intro / 2. Jumping Jack Flash / 3. You Got Me Rocking / 4. Live With Me / 5. Respectable / 6. Gimme Shelter / 7. Ruby Tuesday / 8. Honky Tonk Women (with Sheryl Crow) / 9. Saint Of Me / 10. Out Of Control / 11. Paint It Black / 12. Band Introductions / 13. Before They Make Me Run / 14. You Don't Have to Mean It
●Disc 2
1. B-Stage S.E. / 2. Route 66 / 3. Like A Rolling Stone / 4. Midnight Rambler / 5. Sympathy For The Devil / 6. Tumbling Dice / 7. It's Only Rock'n Roll / 8. Start Me Up / 9. Brown Sugar / 10. Satisfaction

税金問題で一年延期になってたイギリス公演を中心に、98年に続いて99年にも再びヨーロッパツアーを敢行したストーンズ。
このHot Stuff開設したのがまさにこの1999年で、わたしもウェンブリーに飛んだのが懐かしい。
No Securityツアーを挟んでタイトな演奏が冴えまくったツアーでありました。

さて、シェフィールドはロンドンから電車で3時間ほど。会場はドン・バレー・スタジアム。
1990年に完成した少し小ぶりなスタジアムは2013年までという短命に終わりましたが、その間、マイケル・ジャクソン、U2、デフ・レパード、ティナ・ターナーなどのコンサートも行われました。

なお、このシェフィールド公演はあのシェパーズ・ブッシュ・エンパイアの一つ前の公演。
シェフィールドの会場でもシークレットスモールギグの噂は流れており、終演後すぐロンドンに向かい、チケットをゲットできたというツワモノも。

とまぁ前置きが長くなりましたが、このシェフィールド公演は2000年4月にVGPから『BEYOND THE VALLEY』(VGP-245)がリリースされてます。
 

VGP盤も当時の音作りっぽい音とやたらとキース寄りの音ではあれど、なかなかの良好音源でしたので、シェフィールド公演のリリースと聞いてもあまり魅力的に感じないかもしれません。
しかーし、聴いてビビりました。
なんでこんなに綺麗に録音できるんでしょうという、ほんとに素晴らしい音。
VGP盤よりもナチュラルにして周りもVGP盤よりは静かで、たまに左手の手拍子は気になれどさほど騒がしくなく、なんといっても音の見晴らしが良い!
音の見晴らしってなんじゃそりゃですが、演奏も近いし周りに遮るものが全くないかのような素晴らしい音の広がりなのです!
そして音質だけでなく演奏の音のバランスもいい。Bステでの音の偏りもあまりなく、文句なしの"
EX"。
こちらはネットに公開されたものではなく独自入手の音源とのことですが、このテーパー、シェパーズ・ブッシュ・エンパイアとかウェブリーとか録音してないんでしょうかと思わず尋ねたくなる(爆)

演奏はVGP盤で聴いてとおり、キースのあら?もちらほらありますが、この盤のバランスではVGP盤ほど際立って聴こえません(笑)
他に"Midnight Rambler"での加速のばらつきなど、あれ?というところもありますが、この日は雨だったので、演奏にも少なからず影響していたのかもしれません。
しかーし、そんなことお構いなしに、バンドは97年からB2B、No Securityときて絶好調といったところ。
"Brown Sugar"での強烈なチャーリーのドラミングには感動です。
こちらを一通り聴いた後にVGP盤に戻るとその音の違いを思い知りますが、演奏すべてがON、音が違うとこうも印象が変わるのかとあらためて(笑)

いやしかしこれ凄いです。
雨と涙のシェフィールドに飛んだあの人に届けたいと思う、素晴らしい新作でした!!


 June 2023
VOODOO LOUNGE SESSIONS- NEW REMASTER EDITION 』 GOLDPLATE GP2302CD1/2 (2CD)
SB recordings 1993-1994

●Disc 1
1. dialogue / 2. Love Is Strong / 3. You Got Me Rocking / 4. Sparks Will Fly / 5. The Worst / 6. New Faces / 7. Moon Is Up / 8. Out Of Tears / 9. I Go Wild / 10. Brand New Car / 11. Sweethearts Together / 12. Suck On The Jugular / 13. Blinded By Rainbow / 14. Baby Break It Down / 15. Thru And Thru / 16. Mean Disposition / 17. dialogue
●Disc 2
1. Monsoon Ragoon / 2. Sweethearts Together / 3. Tease Me / 4. Possesses Me / 5. Bump And Ride / 6. Middle Of The Sea / 7. Zulu / 8. Samba / 9. Alright Charlie / 10. Another CR / 11. Yellow Jacket / 12. Ivy League / 13. Honest Man / 14. Zip Mouth Angel / 15. Randy Whore / 16. You Got It Made / 17. The Storm

1994年にリリースされた大傑作『VOODOO LOUNGE』。
そのリリースの翌年の1995年末、VIGOTONEが4CDもの怒涛のボリュームでLPサイズのスライドBoxで『VOODOO BREW』をリリース。
そのオフィシャルに引けを取らないあまりの超高音質と収録内容の素晴らしさに度肝を抜かれたものでしたが、さらに半年後の1996年にはこれまた4CDのLPサイズのスライドBoxで続編『VOODOO STEW』が登場。
これらにはセッションやアウトテイクやバージョン違いなどの音源が素晴らしい音質で収録されており、マニアの度肝を抜いたものです。
さらに1998年にはCD-Rでしたが『VOODOO RESIDUE』がリリースされ、これらはVIGOTONEの傑作としてその名を残していますが、いずれもオリジナルに似せたコピー盤が出回ったことでも有名。
とはいえオリジナルのBREWやSTEWではCDが腐食する事例も報告されており、保存用にあえてコピー盤を買うマニアまでいたほど。

というわけですが、今作のDisc1は『VOODOO BREW』のDisc1から。
こちらはアウトテイクというよりもExtebded MixやAlternate Mixの集まり。
もともと超高音質でしたが、オリジナルより少し高音域と重低音域が前に出てくる味付け。

そしてDisc2はアウトテイクがメインで、まずは『VOODOO STEW』のDisc3から。
キースが歌いながらスタジオで曲作りを進めている様子やチャーリーのドラミングが心地よいセッションやデモ音源が収録されていますが、これ"Everything Is Turning To Gold"じゃんという曲も(笑)
ちなみにこちらは『VOODOO STEW』のDisc3の完全コピーではなく、”Zulu”は『VOODOO STEW』D1 trk.7の"Zulu #1"の演奏後の会話をカットしたもの。
"Honest Man"は『VOODOO STEW』D1 trk.14の"Honest Man #1"。
"Randy Whore"は『VOODOO RESIDUE』D1 trk.1の"Randy Whore"から演奏後の会話やジャムをカットしたもの。
"You Got It Made"は『VOODOO STEW』D1 trk.11の方で、わたしこれ好き。
"The Storm"は『VOODOO BREW』D4 trk.13から10分近いバージョン。

ということですべて既発からですが、オリジナルでは延々続く会話があった箇所などをカットしており、安価ということもあってちょっと聞いてみようと思わせてくれる作品。
オリジナルは大作すぎてなかなか通しで聴くこともありませんが、コンパクトにまとめられたこれはこれでありだなと、久しぶりに楽しめました。

ちなみにGOLDPLATEの新作って久しぶりだと思ったら、Black & BlueのJeff Beckとのセッションを抜き出したものも、どうやら3月頃にリリースしてたんですね。
一緒にゲットしたので来週聴いてみます。
 

 

SYDNEY 1973 1ST NIGHT: RECORDER 2 UPGRADE 』 no label (1CD)
aud.recordings@Royal Randwick Racecourse, Sydney, Australia. Feb.26, 1973

 1. 2000 Light Years From Home Intro / 2. Brown Sugar / 3. Bitch / 4. Rocks Off / 5. Gimme Shelter / 6. Happy / 7. Tumbling Dice / 8. Love In Vain / 9. Sweet Virginia / 10. You Can't Always Get Want You Want / 11. Honky Tonk Women / 12. All Down The Line / 13. Midnight Rambler / 14. Band Introductions / 15. Little Queenie / 16. Rip This Joint / 17. Jumping Jack Flash / 18. Street Fighting Man / 19. Land Of Hope And Glory with Fireworks

LHからは昨年の2022年、3月に『SYDNEY 1973 1ST NIGHT』で隠密「recorder 1」のアップデート、そして4月には『SYDNEY 1973 1ST NIGHT: SOUNDBOARD』 にてサウンドボード音源のアップデート盤がリリースされていましたが、最後のピースである「recorder 2」のアップデートが登場。

この「recorder 2」は昨年「recorder 1」が公開されたときに50周年の2023年に公開すると予告されていたもの。
「recorder 1」の録音者ドリスと、当時16歳だったこの「recorder 2」の録音者Waz From Ozは、後に友人となる仲間で、昨年ドリスの「recorder 1」のマスター・カセットからの音源を公開をしたのは「recorder 2」であるWaz From Oz。
そしてシドニー公演50周年となる2023年にWaz From Oz自身が「recorder 2」を公開すると予告されており、ついにマスターからの音源が公開されたのです。
というわけですが、日曜日に公開されたのにその週には今作がリリースされたことからもわかるとおり、今作のマスターはその公開された音源ではなくどうやら直接入手したようです。

さて、そのドリスの「recorder 1」と今作のWaz From Ozによる「recorder 2」の違いをWaz From Oz自身の言葉から引用すると、
「ドリスの録音と私の録音の違いは、私の録音はややクリアで音量が大きく、観客のおしゃべりが少ないこと。
ドリスは私より早く録音ボタンを押したので、P.A.から流れた最後の曲の終わり、ストーンズがバスでステージに向かうのを見たときの観客の反応、バンドの紹介を捉えていること。
一方私は「2000 Light Years From Home」のイントロが始まったときに録音ボタンを押したことです。
私を含む多くのストーンズ・マニアは、私の録音を1973年のオーディエンス録音のベストのひとつだと考えている。」

ということですが、その「recorder 2」を基にしたブートは、1995年にSHAVED DISCからリリースされた『VIP DISHED JOINT』(TSD 018)。


こちらはダビングによるヨレやコモった感じもあって玄人音源とされていたのですが、今回はマスターからとあって一皮どころか二皮は剥けています。
この表現、わたしよく使ってるんですが、今回のショップインフォにはさらに(聞き方によっては三皮ぐらいも)とまで。

ということで、あのシドニー初日の音が近い迫力ある方の隠密が、ついにこうして楽しめる作品としてアップグレード盤が登場したわけです。
とはいえこれも"
very good"程度ですので初心者にはお勧めではありませんが、隠密慣れしているマニアにとっては素晴らしい向上ぶりを楽しめるのです(笑)

ちなみに"Sweet Virginia"の4:01-4:07と"Little Queenie"の3:23-3:28はテープチェンジにより「recorder 2」は欠落していますが、今作ではそこは「recorder 1」で補填されています。
この欠落がまたいずれも演奏終了直後の僅かな時間で、16歳にして初めての録音にしては見事なものですが、おかげで演奏自体はすべて「recorder 2」で堪能できます。

というわけですが、こちらには2種類のジャケが。
白黒写真のジャケは50枚のみのようで、残りはカラーなわけですが、白黒の方は18歳という若さでこのシドニー公演の半年後に亡くなったCraig Bruce君による写真としてネットでも公開されているもの。
そちらの方がかっこいいのにカラーもということはどういうことかと考えてましたが、おそらくカラーの方がこの2/26の写真と判明したということなんでしょう。

というわけで、三度登場のシドニー73初日ですが、あのShaved Discの音がこうしてアップグレードされたということでめでたしめでたしの大満足でありました。

 

TOKYO 1998 2ND NIGHT: DEFINITIVE MASTER 』 no label (2CD)
aud.recordings@Tokyo Dome, Tokyo, Japan. Mar.14, 1998

●Disc:1
1. Pre-Show / 2. Introduction / 3. Satisfaction / 4. Let's Spend The Night Together / 5. Flip The Switch / 6. Gimme Shelter / 7. Anybody Seen My Baby? / 8.
19th Nervous Breakdown / 9. Saint Of Me / 10. Out Of Control / 11. Star Star / 12. Miss You
●Disc:2
1. Band Introductions / 2. Thief In The Night / 3. Wanna Hold You / 4. Little Queenie / 5. You Got Me Rocking / 6. Like A Rolling Stone / 7. Sympathy For The Devil / 8. Tumbling Dice / 9. Honky Tonk Women / 10. Start Me Up / 11. Jumping Jack Flash / 12. You Can't Always Get What You Want / 13. Brown Sugar

1998年、Bridges To Babylon日本ツアーの東京2日目がLHより三度(みたび)登場。

B2Bツアーの東京公演2日目は、当時VGPのBox『FAR EAST 98』(VGP-176)、そして金色or銀色Box『BRIDGES TO BABYLON JAPAN TOUR 1998』、もしくはその単品の『STAR FUCKER』(0314-1/2)がリリースされていましたが、2014年にLHからそれら既発を上回る『TOKYO 1998 2ND NIGHT』が登場し、2022年にはそのリマスター盤『TOKYO 1998 2ND NIGHT』がリリースされていました。
           

今回はまた新たなオーディエンス・マスターからの作品。
ちなみに既発での最新版である『TOKYO 1998 2ND NIGHT』リマスター盤がリリースされた2022年5月には、『TOKYO 1998 3RD NIGHT : DAT MASTER』と『TOKYO 1998 4TH NIGHT : DAT MASTER』がリリースされており、今回の作品も実物を手にするまでてっきりそのシリーズだと思っていたのですが、今作のタイトルはDATマスターではなく、DEFINITIVEマスター。
   

そしてそれらも手にとって初めて気がつきましたが、背のフォントもデザインもDATマスターの2作とは全く異なるもの。
ということで3rdと4thナイトのDATマスターシリーズとはまた別のテーパーによる別シリーズなのかもしれませんが、今作もまた見事な隠密録音でDATマスターと同シリーズではないかと。
そうであれば同じデザインになりそうなものなので、もしかしたら違うテーパーなのかもしれませんが、インフォからはそのあたりは読み取れず。

そんなわけですが、これまたDATマスターシリーズと同じく、エコーのあるドームの空気をそのまま閉じこめたような素晴らしいサウンド。
演奏のダイレクトさは『TOKYO 1998 2ND NIGHT』に譲るものの、広がりがあり絶妙なエコーも適度に感じるこの音は見事。
少し低音は軽いですが、上から下までほんとに綺麗に録音されていながら周りもうるさくない"
EX-"。
インフォにある通りヘッドフォンで聴くと極上なサウンドに浸ることができます。
キャノンボール・アダレイの"Sticks"をバックにBステージへと橋が伸びて、その橋をメンバーが渡っていくところで会場がわくさまもその空気ごと感じ取ることができます。

さらに特筆すべき点は開演前のBGMやアナウンスまでしっかり録音されているところ。
そのPre-Showだけで13分近くもあります。
エルモア・ジェームスの"Madison Blues"、パーケイズの"Soul Finger"、そしてクラッシュの"I Fought The Law"へとつながるBGMに、当時の記憶がよみがえる、、、わけではありませんが、素晴らしいメモリアル。

そんな素晴らしい録音にして甦る東京2日目。
この日はミックが絶好調!
さらにこの2日目は、初日にはやらなかった"Anybody Seen My Baby?"が初めて日本で披露され、"We came to rock for Tokyo, like this!"が。
続いてこの日の目玉はB2B日本公演で唯一登場した"19th Nervous Breakdown"。この後半がまた素晴らしい。
そしてウェブ投票の"Star Star"ではキースがやらかして高いキーで始めてしまったのは語り草(笑)
これら日本初登場のカードを立て続けに切り、土曜日ということで東京ドームを埋め尽くした日本のファンを圧倒的なパフォーマンスでノック・ダウンしたミック。
そんな素晴らしいパフォーマンスをこれまた見事な空気で味わえる今作、気づけばこの時のミックとキースと同じ年齢になったわたくし、いろいろ感慨深いものがあります。

ということで、B2B日本公演東京2日目にまた新たな名盤が加わったのでありました。
これはいいです、はい。


May 2023
EUROPEAN TOUR 1973 - KBFH BROADCAST 1974 & 1988 』 (4th Edition) no label (2CD)
SB recordings from FM broadcasts
 
*   Wembley Empire Pool, London, UK. Sep.9, 1973
**  Forest National, Brussels, Belgium. Oct.17, 1973 (1st show)
*** Ahoy Hall, Rotterdam, Holland. Oct.14, 1973 (2nd show)

●Disc 1 - KBFH 1974 Broadcast
 1. Intro. (10/17 1st)**
 2. Brown Sugar (10/17 1st)**
 3. Gimme Shelter (9/9)*
 4. Happy (9/9)*
 5. Tumbling Dice (10/17 1st)**
 6. Dancing With Mr.D. (10/17 1st)**
 7. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) (9/9)*
 8. Angie (10/17 1st)**
 9. You Can't Always Get What You Want (10/17 1st)**
10. Midnight Rambler (10/17 1st)**
11. Honky Tonk Women (10/17 1st)**
12. All Down the Line (10/17 1st)**
13. Rip This Joint (10/17 1st)**
14. Jumping Jack Flash (10/17 1st)**
15. Street Fighting Man (9/9)*

● Disc 2 - KBFH 1988 Broadcast and more
 1. DJ Intro. -BGM Gimme Shelter edit- (10/17 1st)**
 2. Intro. (10/14 2nd)***
 3. Brown Sugar (10/14 2nd)***
 4. Gimme Shelter (10/17 1st)**
 5. Happy (10/17 1st)**
 6. Tumbling Dice (10/17 1st)**
 7. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) (9/9)*
 8. Dancing With Mr.D. (10/17 1st)**
 9. Angie (10/17 1st)**
10. You Can't Always Get What You Want (10/17 1st) ** <from KBFH 1974>
11. Midnight Rambler -edit- (10/17 1st)**
12. Honky Tonk Women (10/17 1st)**
13. All Down the Line (10/17 1st)** <from KBFH 1974>
14. Rip This Joint (10/17 1st)** <from KBFH 1974>
15. Jumping Jack Flash (10/17 1st)** <from KBFH 1974>
16. Street Fighting Man (10/17 1st)**
17. Brown Sugar -Remix- (10/17 1st)** <from KBFH 1987>
 
 

May The "4th" Be With You.
現代の大名盤『EUROPEAN TOUR 1973: KBFH BROADCAST 1974 & 1988』の4th editionが登場。
今回はGRAF ZEPPELINによる徹底したプチノイズ除去や偏り補正が施され、4thにもかかわらず予約瞬殺というおそるべし。

1stが世に出たのは2017年6月。
そして一瞬の落ち込みや数か所のノイズ除去、さらに5/1000秒の無音をカットした2ndがリリースされたのが3か月後の同年9月。
さらにDisc1の"Gimme Shelter"のイントロ前に曲間をシームレスにつなぎ、Disc2のtrk3の"Brown Sugar"の数か所のノイズが除去された3rdが2019年4月に登場。
       

これまでにここまでの向上が図られていながらも、今回はまたすごい。
あらたまっての内容の紹介など不要。そのリマスターの内容をインフォからコピペして終わりにします。

●Disc 1 (73:11) KBFH 1974 Broadcast
01. Intro. (10/17 1st)**
02. Brown Sugar (10/17 1st)** ★0:04左ch一瞬音切れ追加処置 ★0:11/0:15/1:26/1:37/1:50ほかノイズ除去
03. Gimme Shelter (9/9)* ★0:01-0:02付近のノイズは現場の発生音と判断 ★0:09/1:09/1:24ほかノイズ除去
04. Happy (9/9)*
05. Tumbling Dice (10/17 1st)**
06. Dancing with Mr.D (10/17 1st)** ★0:02ノイズ除去
07. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) (9/9)*
08. Angie (10/17 1st)**
09. You Can't Always Get What You Want (10/17 1st)** ★0:10/0:26/4:14ノイズ除去
10. Midnight Rambler (10/17 1st)** ★2:19/2:27ノイズ除去
11. Honky Tonk Women (10/17 1st)**
12. All Down the Line (10/17 1st)**
13. Rip This Joint (10/17 1st)** ★1:08ノイズ除去
14. Jumping Jack Flash (10/17 1st)**
15. Street Fighting Man (9/9)* ★1:03音像が左へ偏るのを修正

●Disc 2 (73:29) KBFH 1988 Broadcast and more
01. DJ Intro. -BGM Gimme Shelter Edit- (10/17 1st)**
02. Intro. (10/14 2nd)***
03. Brown Sugar (10/14 2nd)*** ★0:04/0:59/1:49ノイズ除去
04. Gimme Shelter (10/17 1st)**
05. Happy (10/17 1st)**
06. Tumbling Dice (10/17 1st)** ★3:32ノイズ除去 ★3:38音揺れ補正
07. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) (9/9)*
08. Dancing with Mr.D (10/17 1st)**
09. Angie (10/17 1st)** ★冒頭のノイズ除去(前回盤では9曲目へ切り替わる直前)
10. You Can't Always Get What You Want (10/17 1st)** ※from KBFH 1974 ★0:10/0:26/4:14ノイズ除去
11. Midnight Rambler -Edit- (10/17 1st)**
12. Honky Tonk Women (10/17 1st)** ★0:07-0:08ノイズ除去 / 0:51音揺れ補正
13. All Down the Line (10/17 1st)** ※from KBFH 1974
14. Rip This Joint (10/17 1st)** ※from KBFH 1974 ★1:09ノイズ除去
15. Jumping Jack Flash (10/17 1st)** ※from KBFH 1974
16. Street Fighting Man (10/17 1st)** ★4:33左ch音切れそれっぽく補正
17. Brown Sugar -Remix- (10/17 1st)** ※from KBFH 1987
 


Mar 2023
ENMORE THEATRE 2003 』 no label (2CD)
aud.recordings@Enmore Theatre, Sydney, Australia. Feb.18, 2003

●Disc 1
1. Intro / 2.
Midnight Rambler / 3. Tumbling Dice / 4. Live With Me / 5. Dead Flowers / 6. No Expectations / 7. Neighbours / 8. I Can't Turn You Loose / 9. Everybody Needs Somebody To Love / 10. That's How Strong My Love Is / 11. Going To A Go Go / 12. Band Introductions / 13. Slipping Away / 14. Happy
●Disc 2
1. Start Me Up / 2.
Rock Me Baby (With Angus & Malcolm Young From AC/DC) / 3. Honky Tonk Women / 4. It's Only Rock'N Roll / 5. Brown Sugar / 6. Satisfaction
+ Bonus Tracks
7. Sydney TV Ch 9 Nightline Enmore Theatre Review Audio / 8. Rock Me Baby (Soundboard Recording)

2002年から2003年にかけて行われたLICKS TOUR。
2002年から始まった北米LEGは2003年2/8のMGMで終了し、2/18からはオーストラリアを皮切りに日本を含む極東ツアーを開始します。
その一発目がキャパ2,200人のこのエンモア・シアター。

そのエンモア・シアターは"Midnight Rambler"から始まるというすさまじいシアターギグ。
ミックのインフルエンザ明けという状況がそうさせたのか、"Midnight Rambler"で始まったライブはその後も一度もなく、さらにセットリストにはレア曲も満載でド定番の"JJF"を演奏しなかったという、まさに伝説のライヴとなったのです。

そんなエンモア・シアターですが、当時から素晴らしい隠密録音が出回っており、VGPからは『LICKS DOWNUNDER』(VGP-342)、EXILEからは『UPSIDE DOWNUNDER』(EXM-001 AB)がリリースされました。
   

その音源の大元は"Waz From Oz"による隠密録音でしたが、今回20周年を記念してそのDATマスターがネットに公開されました。
するとVGP盤やEXILE盤のようなメリハリがきいた音とは異なり、マスターはこんなにウォーミーでナチュラルな音だったんだと驚かされることに。
その音をもれなくパッケージングしたのが今作。

その今回公開された音源のインフォに詳しく書かれていましたが、Waz From Ozはシアターギグというセキュリティーが厳重な状況を考慮して、いつものショットガンマイクではなくプラグインマイクによって録音することに。
そして彼はR列のチケットを確保していましたが、A列からP列までのフロアは座席が取り払われており、フロア中盤からスロープが立ち上がる理想的なポジションから録音できたことが明かされています。
そうした偶然も重なって、この伝説のステージを素晴らしいナチュラルな音で録音してくれたわけですが、Waz From Ozには感謝感謝です。

ただしこの音源、ショップインフォを読むまで気づきもしませんでしたが、mjk5510によってリマスタリングされる際に、少し手が加えられています。
歓声が演奏にかぶるのをよしとしなかったmjk5510、"Tumbling Dice"が始まる前に"I love you, Mick!...I love Keith!”と叫ぶ男性がいますが、イントロにかぶるその最後の"Keith"と叫ぶ声が消されています。
さらになんと"Live With Me"では演奏が始まって15秒あたりで飛び交う奇声に対して、mjk5510はリフをコピペして葬り去っているとインフォに。
そのインフォに驚きましたが、聴いてみるとまぁ不自然さはなかったのでいいですけど、そこはそのままでいいのに。

というわけで、既発盤からして"EX-"なサウンドでしたが、そのマスターのナチュラルな"
EX-"サウンドを楽しむことができるのが今作。
オープニング以外にも、"No Expectations" "Neighbours" "I Can't Turn You Loose" "Everybody Needs Somebody To Love" "That's How Strong My Love Is" "Going To A Go Go"とレア曲が続く流れは感激。
ただし、ここエンモアではマリアンヌ・フェイスフルとの共演という噂もあったそうで、現に会場には彼女の姿も見られたそうですが、それは見送られています。
しかし病み上がりのミックをカバーすべく、キースも熱演を披露。
そして"Rock Me Baby"ではAC/DCのアンガスとマルコムが登場しますが、その映像は当時オフィシャルサイトに公開されました。
その映像ファイルは今からすると貧弱な映像ファイルでしたが、わたし今でも大切に保存しています(笑)
今作には公開された音源のとおり、TVレポートとそのオフィシャル・サイト映像からの"Rock Me Baby"も収録されています。
その"Rock Me Baby"はLICKSツアーのSB音源を集めた『DIRTY LICKS』(VGP-347)や『ULTRA RARE LIPS VOL.1』(CC 687)にも収録されていましたね。
ちなみに公開されたファイルではマルコムのスペルが違っていたりしましたが、今作ではしっかり修正されているところはさすが。
というわけで既発でも十分堪能できた素晴らしい伝説のステージでしたが、今回マスターによってよりナチュラルなサウンドで楽しむことができる作品でした。

 

EUROPEAN TOUR LIVE 1970 』 no label (1CD)
aud.recordings@Grugahalle, Essen, West Germany. Oct.7, 1970

1. Introduction / 2. Jumping Jack Flash / 3. Roll Over Beethoven / 4. Sympathy For The Devil / 5. Stray Cat Blues / 6. Love In Vain / 7. Dead Flowers / 8. Midnight Rambler / 9. Live With Me / 10. Let It Rock / 11. Little Queenie / 12. Brown Sugar

これはいいものだ!!
でも予約完売してますので、あまり紹介しがいがないんですが(苦笑)

それはともかく、こちらRubber Dubberによる名盤『EUROPEAN TOUR LIVE 1970』、そのオリジナル・アナログからの復刻盤。
最近はナスティやフィラスぺのようにアナログ落としも音には定評のあるLHですが、これもまた素晴らしいのであります。

収録されているのは70年の西ドイツはエッセン、グルガホールでの隠密録音。
8/30のスウェーデンはマルメから始まり、10/9のオランダはアムステルダムまで、時に1日2回のステージを含めて25回開催された1970欧州ツアーの24番目、ラス前がこのエッセン公演。
そのエッセン公演を収録したRubber Dubber盤はラスト2曲は欠落しており"Brown Sugar"も途中までという不完全盤でありながらも、当時にしては素晴らしい録音で、TMOQがコピーするほど。
TMOQはその2枚組のRubber Dubber盤をつまんで1枚に仕立てた『EUROPEAN TOUR 1970 (Complete On One Disc)』、さらには72ハリウッドパラディアムと抱き合わせた『TWO GREAT ALBUMS CHEAP』までリリースするほど、Rubber Dubber盤は素晴らしい隠密録音だったわけです。
そして世に出回っているエッセン70の音源はすべてこのRubber Dubber盤を起源にするわけですが、ショップインフォにある通り、摘発を逃れるためにそのマスターは処分されてしまったとのこと。

ということでいまもこのRubber Dubber盤こそが唯一無比にして素晴らしい音源なわけですが、CD時代に入ってからはRubber DubberもしくはTMOQのアナログ落とし盤がリリースされました。
有名どころを挙げると、1990年にはノイズリダクションをかけすぎた『MIDNIGHT RAMBLERS』(WPOCM 1090 D 057-2)が登場し、その後2000年になってVGPがラスト2曲を前日のフランクフルトから補填した『SLOWLY ROCKIN' ON』(VGP-249)、さらにnew arrivalsの2003年に紹介している2003年にVGPがエッセンのみのリトライと72ハリウッドパラディアムとの抱き合わせでTMOQ盤を復刻させた『TWO GREAT ALBUMS CHEAP』(VGP-348)など。

       

この中ではVGPがリトライしただけあって『TWO GREAT ALBUMS CHEAP』(VGP-348)がベストでしたが、さすがに今回のLH盤はそれを超えてオリジナルのRubber Dubber盤の素晴らしさを見事に復刻しています。
Rubber Dubber盤と、過去盤3作と今作を聴き比べてみましたが、その差は歴然。
その見事な復刻ぶりは、上記の過去盤にあった不自然なノイズリダクションはもとより、その後改善されたとはいえどうしても濁りのある音とは違った、フレッシュな音。
オリジナル盤からトレースして「ひたすら丁寧にノイズを取り除くという細やかな作業」により仕立て上げられた今作の音は見事です。
WPOCM盤は"good++"、VGP盤では順に"very good-"に"very good"と向上してきた音が、今作では一気に"
EX-"まで昇華したといえるでしょう。
"JJF"ラストの方のノイズは少し目立ちますが、そこはまぁ仕方ないかと。

演奏は以前寺田さんがおっしゃられていてなるほどと思った縦ノリから横ノリへと移行していった時代のストーンズ、それはこの悪魔でのギターでも伺えますが、『GET YER YA-YA'S OUT!』をリリースした際のオーバーダブさながら"JJF"ではキースがコーラスをしたり、 70といえばの"Roll Over Beethoven"に"Let It Rock"を聴けるのが嬉しい。
個人的には『STICKY FINGERS』で世に出る前のこのツアーから披露していた"Dead Flowers"の素晴らしさったら昇天ものです。

それにしてもここまで見事な復刻がなされるとは恐るべし。
こうした手法によって今後次々とアナログ落とし盤がリリースされやしないかと、ちょっとドキドキヒヤヒヤもしますが、こうしたこれはというアナログ名盤の復刻は大歓迎です。

ちなみに今回のジャケは左端のテープ跡もしっかり復刻。
こちらはショップインフォによると、
> 今回提供されたのは『EUROPEAN TOUR LIVE 1970』の中でも最初期ロットの可能性が高いセパレート・ジャケ・バージョン。
> すべてのアイテムを二枚組でリリースしていたRubber Dubberでしたが、本作を出す際にはフォールドアウト・カバーが調達できず、
> 代わりにシングル・カバー二つを布張りの背でくっつけた急造フォールドアウトで出荷したのでした。
> 現存数は少ないですが、確かにこの特異なジャケの個体が存在します。
とのこと。
わたしのRubber Dubber盤はテープが貼られていた形跡はあれど剥がれており、シングルカバーに2枚収納されてました(笑)

 

BLACK AND BLUE SESSIONS & JAMMING WITH JEFF BECK 』 GOLDPLATE GP2301CD1/2 (2CD)
Black And Blue Sessions & Jamming With Jeff Beck 1975

 ●Disc 1 - Black And Blue Sessions@Musicland Studios, Munich, Germany. Mar.19 - Apr.5, 1975
1. Cellophane Trousers / 2. I Got A Letter / 3. Act Together / 4. Fool To Cry / 5. I Love The Ladies / 6. Crazy Mama / 7. Hand Of Fate / 8. Munich Reggae / 9. Memory Motel / 10. Come On Sugar (Let's Do It Right) / 11. Hot Stuff / 12. Hey Negrita / 13. Never Stop / 14. Built That Way (Alternate Edit) / 15. Come On Sugar (Let's Do It Right) (Alternate Edit)
●Disc 2 - Jamming With Jeff Beck : Rotterdam Rehearsals 1975@Mobile Record Unit, De Doelen, Rotterdam, Netherlands. Jan.22 - Feb.9, 1975
1. 12-Bar Blues* / 2. Rock Rhythm I* / 3. Rock Rhythm II* / 4. Jamming With Jeff I* / 5. Freeway Jam I* / 6. Freeway Jam II* / 7. Rock Rhythm III* / 8. English Rose / 9. Man Eating Woman / 10. Funky Jam / 11. Jamming With Jeff II* / 12. Freeway Jam III* / 13. Shame Shame Shame / 14. Boogie Jam / 15. Slave / 16. Slow Blues / 17. Crazy Mama (Playback) / 18. I Got A Letter (Playback) / 19. Cherry Oh Baby (Playback) / 20. Melody (Demo) / 21. Fool To Cry (Playback) / 22. 12-Bar Blues (Improvisation)*
* = With Jeff Beck On Guitar (Possibilities Other Session With Rory Gallagher / Mick Ronson / Steve Marriott On Guitar)

1月に亡くなったジェフ・ベックへの追悼盤という作りで、Disc1はジェフ・ベックとのつながりはありませんが、『BLACK AND BLUE』のアウトテイク。
そしてDisc2がジェフ・ベックも参加したいわゆる「グレイト・ギタリスト・ハント」から。
ジェフ・ベックが参加したのは2月6日〜9日の4日間といわれており、参加した曲は上記曲目に*マークがついているもの。

というわけで、過去作からまとめたものかと思って聴き始めるとそうでもなくて、あれこれ聴き比べねばならぬ悩ましいことに。
まずはDisc1、オープニングの"Cellophane Trousers"。
既発ではいまいちな音質のものもありましたが、こちらは音の抜けがよく、ギターが前面に出てくる懐かしのSave The Earthの『THE EMOTIONAL RESCUE SESSIONS』のような感じ。
ピッチもそちらと同じです。でもなぜかイントロがややフェードイン気味に始まるのが惜しい。
以降も音の抜けがよいものが多いんですが、高音の吊り上げ方が耳につくものもあり、懐かしの昔っぽい音作りも。
でもやっぱり"Hand Of Fate"と"Hot Stuff"はコモリ気味です。
さらに最良音源集かというとそこは微妙で、"I Got A Letter"や"Act Together"は元は圧縮音源っぽいちょっとシンバルが浮いた感じ。
そうではない音源も流通してるのでここは惜しいところ。

そして一番よくわからないのが"Built That Way (Alternate Edit)"。
ミックのヴォーカルが出てくるところでモノラルになってギターが消えます。
こんなエディットバージョンがあるわけではなく、おそらく『FULLY FINISHED STUDIO OUTTAKES』の同曲から、部分的にその右chだけでモノラルに仕立てたのかもですが、その意図もよくわかりません。

ラストのtrk.15の"Come On Sugar (Let's Do It Right) (Alternate Edit)"は、trk.10の"Come On Sugar (Let's Do It Right)"とはちょい音質も違うんですが、そこはイコライジングなのか。
そしてそのtrk.15は冒頭のジャムをカットしてるのはいいんですが、最後は1分半ほど残してフェードアウトしてて、これもブートの作り手によるものなら意図がよくわからず。
ということで音の抜けはよくて気軽に聴くにはいいんですが、よくわからないものがあってあれこれ聴き比べを始めると一向にDisc2に進めないという(笑)

Disc2は2012年にGOLDPLATEがリリースした怒涛の4枚組『BLACK AND BLUE REHEARSALS』(GP-1202CD1/2/3/4)からの抜粋。
こちらは隠密録音ですので音質が厳しいのは周知の事実ですが、冗長なトラックはオミットされ、ジェフ・ベックが参加したものを中心に厳選されていると。
BLOW BY BLOW』のリリースを翌月に控えた時期ということで、"Freeway Jam"をやってるのが面白い。
こちらはジェフ・ベック追悼ということで、コンパクトになった分、さらっと聴くには便利な盤。
ただし"I Got A Letter"にデジタル・ノイズらしきノイズが盛大に入ってるのも変わらず。

ということでいろいろ入ってますが、GOLDPLATEはずいぶん安価でオクにも安く出ていますし、この音源を未聴の方にはいい機会かと。


Feb 2023
A BIGGER BANG TOUR: JAPANESE TV SPECIALS 2006 』 no label (2DVD-R)
TV broadcast programns

2006年にストーンズ来日記念で衛星放送『BEAT FILE』で放送されたストーンズ特集をたっぷり収録。
こちらもおなじみの映像コレクター氏による映像とのことですが、毎度のことながらありがたいです。

Disc 1はPVも含む「A to Z」。
PVの画質はちょっと荒く、アスペクト比はちょっと縦長。
まぁいまはPVはYouTubeでも見れますので、それらはそちらで楽しむことにして、番組の内容が面白い。
こちら、インフォに細かく面白く紹介されていますので、そちらから一部抜粋しますと、

--------------------------
3年ぶり5度目のストーンズ来訪に沸いていた2006年の日本。その熱量を伝えてくれる日本特番が登場です。
そんな本作に収められているのは、“A BIGGER BANG Japan Tour”にまつわる日本放送。「長尺特番×2種/ミニ特集×5種」で合計2時間6分に及ぶプロショット集です。
当店ではコアな記録マニアによる極上マスターで数々の音楽番組をアーカイヴしておりますが、本作はその最新弾。超美麗な映像クオリティをDVD2枚に封じ込めました。
そんな本作は大きく3つのセクションで構成されています。早速、それぞれ個別にご紹介していきましょう。

【DISC 1:来日直前のA TO Z特集】
DISC 1には、来日直前に放送されたストーンズ特集が収録されています。
この番組の主旨は、日本放送にありがちな「A TO Z」物。
「A」なら「Angie」のPVを流し、「B」ならアルバム『BEGGARS BANQUET』『BLACK AND BLUE』を解説し……と、AからZまでのキーワードを紹介していくものです。
キーワードは関係する人物やバンドなど多岐に渡るわけですが、一番多いのは曲名。音楽番組らしく、名曲のPVをたっぷり10曲分楽しませてくれます。
(中略)

【DISC 2(メイン)初日前日のリスペクト番組】
代わってのDISC 2のメインも“THE BEATFILE”。
こちらの放送日は「2006年3月21日」で、ジャパン・ツアーが始まる初日の前日でした。
こちらの内容は、ストーンズを愛する日本人ミュージシャンのコメント集。
当時は来日に合わせたトリビュート・アルバム『RESPECT THE STONES』がリリースされていましたが、その参加アーティストがストーンズ愛を語るのです。
そのラインナップを列挙するのは避けますが、おおよそ80年代/90年代に活躍した世代。2023年現在で還暦を迎えるくらいのミュージシャン達です。
各人とも質問はほぼ固定でして「ストーンズとの出会い」「彼らの魅力」「来日に際して」「好きなPV」。最後に曲名を挙げ、PVを流す……という構成です。
こちらも主役は名曲のPV群なのですが、ミュージシャン達のコメントも面白い。ほとんどの人はふわっと取り留めがないものの、終盤になるほど面白くなる。
例えば、濱○成夫氏は「俺にとってはヒーロー。仮面ライダーは(現実には)いなかったけど、ストーンズは本当にいた」と詩人らしく憧れを語り、日本が誇るブルースマンである永井”ホ○ケ”隆氏は「ストーンズとB.B.キングが今もやっているのが心の支え」と時代感を滲ませる。
そして、胸に迫るのが最後に登場する故鮎川誠氏。実際にミックやキース本人と交流があった方ですし、その出会いの現場を熱くリアルに語っているのです。

【DISC 2(ボーナス)来日中の大傑作ミニ特集】
そんなDISC 2の最後には、来日中に放送された多彩なミニ特集をボーナス収録しています。
5種で約15分ほどなのですが、実はこのパートが一番「濃ゆい」かも知れません。
空港到着シーンを多用したジャパン・ツアーCMも時代感たっぷりですが、その後に登場するのはリアルタイム感の塊、朝ワイド。
初日「3月22日公演」を速報するミニコーナーでして、細切れながら当日のプロショットも流してくれます。
中でも面白いのがミックの日本語MCについて触れるパート。
実は、初日公演の2日前にWBCで王ジャパンが優勝。ミックが「日本優勝オメデトウ。10対6、凄イナ」と言った!が大ニュース扱いになっているのです。

さらにトドメなのが某放送協会の名物番組“ポップジャムDX”のミニ特集。
ジャパン・ツアーの裏側を垣間見せてくれる特番で、現在で言うところの『仕事の流儀』っぽい語り口が新鮮で、全プログラムの中でも明らかに異質、まさに次元の違う、高い美学が貫かれた現場の空気を伝えてくれるのです。

以上、2時間6分に及ぶタイムマシン映像集です。
日本にとってストーンズ来日は一種の「事件」であり、ステージ上だけの現象ではありません。一般層まで巻き込み、一国の気温まで変えてしまいそうな熱気が吹き出すのです。
--------------------------

という素晴らしい記録。
東京初日の翌朝のめざましTVでは、初日のプロショットに合わせて歌詞の字幕がついていますが、"JJF"の途中で次の"Oh No, Not You Again"の歌詞が出てしまうという間違いも(笑)

ということで、もうあれから17年も経ったのかと懐かく思いながら、わたしは初めて見た番組たち、全編楽しめました。
なお、こちらは販売されてるトールケース入りの2DVD-Rですが、同じ2DVD-Rがジュエルケース入りのギフトでも配布されています。

●Disc 1 - THE BEATFILE
The Rolling Stones A to Z - Broadcasted on Mar.14, 2006
01. Intro
02. A: A Bigger Bang / Angie (PV)
03. B: Beggars Banquet / Chuck Berry / Black And Blue
04. C: Come On / Michael Cooper / Crazy Mama (PV)
05. D: Decca Records
06. E: Exile On Main St.
07. F: The Faces / Marianne Faithfull / Fool To Cry (PV)
08. G: Gimme Shelter / The Glimmer Twins
09. H: Jerry Hall / Patti Hansen / Hell's Angels / Hyde Park Concert
10. I: (I Can't Get No) Satisfaction / It's Only Rock 'n Roll (But I Like It) (PV)
11. J: Mick Jagger / Biran Jones
12. K: Bobby Keys / Alexis Korner
13. L: Let It Bleed
14. M: Miss You (PV)
15. N: Ned Kelly
16. O: Andrew Loog Oldham / One Hit (To The Body) (PV)
17. P: Anita Pallenberg / Performance
18. Q: Quintet (Charlie Watts)
19. R: Keith Richards
20. S: Start Me Up (PV)
21. T: Mick Taylor
22. U: Undercover Of The Night (PV)
23. V: Voodoo Lounge
24. W: Waiting On A Friend (PV) / Andy Warhol / Muddy Waters / Charlie Watts / Ronnie Wood / Bill Wyman
25. X: X-Pensive Winos
26. Y: Kazuhide Yamazaki
27. Z: ZZ Top

28. Rain Fall Down (PV)
29. End Credit

●Disc 2 - THE BEATFILE
Respct The Stones - Broadcasted on Mar.21, 2006 日本ツアー前日
01. Intro
02. Interview 1
03. Hey Negrita
04. Interview 2
05. Anybody Seen My Baby
06. Interview 3
07. Far Away Eyes
08. Interview 4
09. Mixed Emotions
10. Intro / Harlem Shuffle
11. Interview 5
12. Respectable
13. Interview 6
14. She Was Hot
15. Interview 7
16. Shattered
17. Interview
18. You Got Me Rocking
19. Ennd Credit

Japan Tour TV Specials 
20. CM for Japan Tour 2006
21. Mezamashi TV 1
22. Mezamashi TV 2
23. Mezamashi TV 3

24. POPJAM DELUXE
 

 

BOSTON ORPHEUM THEATRE 2002 』 no label (2CD)
aud.recordings@Orpheum Theatre, Boston, MA. Sep.8, 2002

 ●Disc 1
1. Intro. / 2. Jumping Jack Flash / 3. You Got Me Rocking / 4. All Down The Line / 5.
Brand New Car / 6. Parachute Woman / 7. Dance Pt.1 / 8. Everybody Needs Somebody To Love / 9. Heart Of Stone / 10. Going To A Go-Go / 11. Love Train / 12. Band Introductions / 13. Slipping Away / 14. Before They Make Me Run / 15. It's Only Rock'n Roll
●Disc 2
1.
Rock Me Baby (with Buddy Guy) / 2. Hand Of Fate / 3. Can't You Hear Me Knocking / 4. Honky Tonk Women / 5. Start Me Up / 6. Brown Sugar / 7. Tumbling Dice

スタジアム、アリーナ、シアターギグという夢のような組み合わせで行われた2002-2003 LICKSツアーから早20年。
そのツアー開幕の地ボストンでは、アリーナ、スタジアム、そしてこのシアターギグの順でライヴが行われましたが、そのシアター公演が生まれ変わって登場です。

LICKSツアーでのシアターギグといえば昨年BBCで放送されたウィルターン・シアターが素晴らしいものでしたが、このオーフェウム・シアターはLicksツアー初のシアターギグということもあって、そのウィルターンを凌ぐレア曲が飛び出しています。
7度目のライヴ演奏にしていまのところ最後の演奏となっている"Brand New Car"に、R&Rサ−カス以来の登場でコンサートではいまだ本公演でしか演奏されたことのない"Parachute Woman"、そして初登場の"Dance Pt.1"に、現在までも8回しか演奏されたことのない"Heart Of Stone"!
そして淳レギュラーになった"Everybody Needs Somebody To Love"や"Going To A Go-Go"に"Love Train"、そしてバディー・ガイとの"Rock Me Baby"に"Hand Of Fate"に"Can't You Hear Me Knocking"と、この場にいたら失禁、いや失神しそうな眩暈のするセットリスト。

そんなレア曲満載の夢のシアターギグですが、本公演は当時から2つの隠密音源がブート化されていました。
一つは「recorder 1」を使用した『65 LICKS』(VGP-320)、そして「recorder 2」が使用されたデジパックの『CLUB SHOW』(LICK-002 DCD)で、前者のVGP盤の方が音が近くベストとされてきました。
   

その「recorder 1」をテーパー直で入手したマスターから仕上げたのが本作。
同じ「recorder 1」によるVGP盤は迫力に満ちてはいましたが、かなりのイコライジングにより"You Got Me Rocking"などでは低音がオーバーレベルを起こして音が割れていたりしましたが、今作はそんなこともなく、ほぼ元音源のままというナチュラルな素晴らしい仕上がりで「recorder 1」の素晴らしさを堪能できます。
また、その「recorder 1」は、オープニングの"JJF"の最初の"But it's all right"の歌いだしまでが欠落しており、VGP盤では程度の劣る第三の「recorder 3」で補填されていましたが、今作ではより音質も近い「recorder 2」が使用されています。

そんな「recorder 1」ですが、こうしてナチュラルな音で聴くとバランスの良い素晴らしい音質"
EX-"です。
周りは盛り上がりは伝わりますが曲中でうるさいわけでもなく、音の鳴り方からするとおそらくフロアのオーケストラピットではなく、メゾかバルコニーからの録音かなと思いますが、しっかりステレオで低音がしっかり拾っているだけでなく、高音部もさほど減衰なくきれいに録音されていて、このレア曲満載のシアターギグを堪能できます。

演奏はツアー開幕から3公演目、初のシアターギグということですが、硬くなるどころか、攻めまくるミックを筆頭にいい意味でリラックスしながら見事な演奏を繰り広げてくれています。
そして"Brand New Car"に"Parachute Woman"に"Dance Pt.1"の連荘だけでちびりそうですが、"Heart Of Stone"での合唱には胸が熱くなります。
"Hand Of Fate"では突然右側で声が聞こえてビビりますが、シアターという箱の小ささも感じるこのライヴ感、たまりません。
そしてウィルターンと同じながらもラストは"Tumbling Dice"というのがまた余韻を感じる終わり方。

こんな素晴らしいシアターギグを生のままのナチュラルに生まれ変わったサウンドで改めて聴くことができるとは、まさに至上の幸せ。
隠密音源とはいえ、これ以上何を望むことがあろうかという素晴らしい作品でした。

 

LOS ANGELES 1989 3RD NIGHT : MIKE MILLARD MASTER TAPES 』 no label (2CD)
aud.recordings@Memorial Coliseum, Los Angeles, CA. Oct.21, 1989

●Disc 1
1. Continental Drift / 2. Start Me Up / 3. Bitch / 4. Sad Sad Sad / 5. Undercover Of The Night / 6.
One Hit (To The Body) / 7. Tumbling Dice / 8. Miss You / 9. Ruby Tuesday / 10. Play With Fire / 11. Dead Flowers / 12. Rock And A Hard Place / 13. Mixed Emotions / 14. Honky Tonk Women / 15. Midnight Rambler
●Disc 2
1. You Can't Always Get What You Want / 2. Before They Make Me Run / 3. Happy / 4. Paint It Black / 5. 2000 Light Years From Home / 6. Sympathy For The Devil / 7. Gimme Shelter / 8. Members Introductions / 9. It's Only Rock'n Roll / 10. Brown Sugar / 11. Satisfaction / 12. Jumping Jack Flash

1989 Steel Wheelsツアー、開幕から1ヶ月半のLAでの4公演(10/18、19、21、22)の3日目10/21がブート初登場。
そして初登場の日というだけでなく、これはJEMSのチームによるあのマイク・ミラードの隠密音源発掘により新たに登場したミラード・マスターから。

ということで、当時このLAでの4公演に遠征された方からは待望の公演。
この日は9/21のシラキュース以来封印されてきた"One Hit"が1か月ぶりに登場し、"Dead Flowers"はSWツアーでは何度もやっていますがLA公演では唯一披露されたというレアなセトリの日なのです。

そんなレアなセトリの公演がついに、しかもミラード音源で楽しめるというのだからたまりません。
とはいえミラード音源といってもあの75のLAフォーラムとは勝手が異なり、マイクが好きではなく81では録音すらしなかったスタジアム公演。
それでもさすがはマイクという音は先んじて2020年にリリースされたこの翌日10/22公演の『LOS ANGELES 1989 FINAL NIGHT : MIKE MILLARD MASTER TAPES』や、11/5オークランド公演を収録した『OAKLAND 1989 1ST NIGHT: MIKE MILLARD MASTER TAPES』でも証明済み。
しかもJEMSによると、このLAでの4公演ではこの10/21の音が一番近いと。

ということでこのLA公演3日目ですが、周囲は騒がしくなく、距離は近いというわけでもなくやや粒が粗いものの、低音もうまく拾って高音の抜けも良い嫌味のないサウンドで"
EX-"。
このあたりはオリジナル音源そのままではなく、LHによるピッチ調整と音圧を少し上げている点が功を奏しています。

そして演奏がまた超絶絶好調。
レアな"One Hit"も俄然素晴らしく、"Dead Flowers"もたまりませんが、この日は全編にわたってキースが絶好調!
録音ポジションが後押ししてか、悪魔でのキースのソロ、IORR、Brown Sugarとキースのギターの押し出しにどっぷりと。
そうした派手なところだけでなく"Play With Fire"もまたいい感じで、Steel Wheelsツアーをあらためて見直す演奏です。

なお、唯一"Paint It Black"のイントロ始まってすぐにテープチェンジにあたってしまい、そこは欠落していますが、JEMSによってスプライスされています。
この部分は音質は劣るもののマニア間では別音源も流通しているので、その音源をつなぐという手もあったでしょうが、今作は混じりっけなしのマイク・ミラード音源。

ということで素晴らしい演奏とマイク・ミラードによる録音を、丁寧な調整がなされた音で聴けるというナイスな作品でありました。


Jan 2023
AFTERMATH (EXPANDED MONO EDITION) 』 no label (1CD)
SB recordings

 1. Mother's Little Helper / 2. Stupid Girl / 3. Lady Jane / 4. Under My Thumb / 5. Doncha Bother Me / 6. Goin' Home / 7. Flight 505 / 8. High And Dry / 9. Out Of Time / 10. It's Not Easy / 11. I Am Waiting / 12. Take It Or Leave It / 13. Think / 14. What To Do
Bonus:
15. 19th Nervous Breakdown / 16. Sad Day / 17. Ride On, Baby / 18. Sittin' On A Fence / 19. Paint It, Black / 20. Long Long While / 21. Out Of Time (USA Version)

先日リリースされた『IN STEREO 1964-1966』にてその見事な音を聴かせてくれたProf Stonedが2020年にネットに公開した音源。
こちらは『AFTERMATH』のモノラル+αという作り。

AFTERMATH』はストーンズの4枚目のアルバムにして初めて全曲がジャガー・リチャードによるオリジナル曲で占められた重要な作品。
そしてリリース当時からステレオ盤とモノラル盤が存在していましたが、CDではしばらくステレオでしか聴けませんでした。
でもステレオはリアルステレオとはいえドラムが左から鳴るとかバランスは悪く、1曲目の"Mother's Little Helper"にしてもセンターのヴォーカルと右で鳴るシタール以外はすべて左で団子でしかも一歩も二歩も下がって鳴ってるといった残念な点が。
その点モノラルはバランスも抜群によく塊で鳴ってくれたものです。
とはいえオリジナルのUK Deccaモノラル盤にも欠点があり、マトリクスによってというか個体差というか、盤によって音質がかなり異なり、ペラペラの音で鳴る盤も多かったのも事実。

そんな不満を解消すべくオフィシャルから待望のモノラル盤がCDでリリースされたのは2016年のこと。
The Rolling Stones in Mono、いわゆるMono Boxによってそれがようやく実現したわけです。
その後2022年には日本ではそのMono Box音源が単体リリースもされました。

ところがそのMono Box、どうも低音の押しが強かったり、高音部にサーっというヒスを感じたりと、少しやりすぎに思うところも。
とはいえまぁ仕方ないんだろうと思っていましたが、Prof Stonedが仕上げたこちらを聴くとこちらの素晴らしいMonoサウンドに驚きました。

音へのあくなき探求を続けるProf Stonedが選んだこの音源のマスターは、意外にも1966年にリリースされたオリジナルのUK Decca盤ではなく、1972年に再発されたスペイン盤。
彼曰くこのスペイン盤はスーパークリーンなマスターテープのノンEQコピーから作られたであろうとのことですが、この素晴らしいサウンドには驚きです。
オフィシャルのモノラルCDほど低音の押し出しが強くなく、スーパークリアにして素晴らしいバランス。
オリジナルのUK Deccaモノラルの外れ盤など話にもならない素晴らしい音で、まさにこれこれという音。
こんなことを書くのもなんですが、オフィシャルCDを軽くしのぐ素晴らしさです。
さらに言えばネットにはハイレゾで公開されているのでそちらはさらに素晴らしいということも付け加えておきます。

そしてこの『AFTERMATH』期に制作された、UK盤のアルバムにはシングルは入れないというお約束のためにアルバムには収録されなかったシングルや、他のアーティストに提供された曲のストーンズ版を『FLOWERS』から追加収録。
それらボーナスはデジタル音源が元になっていますが、"19th Nervous Breakdown"のイントロのみアナログの『HOT ROCKS』から差し替えられています。
改めてSingle Collectionの"19th Nervous Breakdown"を聴きなおすとなるほど確かにイントロにノイズが。
こうしたところからもProf Stonedの音への強いこだわりが伺えます。

ということでProf Stonedによる本音源のマスターは以下のとおり。
- Aftermath (LP, Album, Mono, RE) Decca LK 4786 Spain 1972 (EX) > Tr. 1-14
- Singles Collection (FLAC, Comp, 24bit/88.2kHz) ABKCO 2005 > Tr. 15-16, 19-20
- The Rolling Stones In Mono (FLAC, Comp, Mono, 24bit/192kHz) ABKCO 2016 > Tr. 17-18, 21
- Hot Rocks 1964-1971 (2xLP, Comp, Mispress, Shelley) London Records 2PS 606/7 US 1971 > Tr. 15 (guitar intro only)

しかし『AFTERMATH』本編やその"19th Nervous Breakdown"のイントロにしてもアナログ落としとは思えない素晴らしい音。
この人がフィラスぺとかNASTYとか作ったらきっともの凄いものが仕上がるんだろうと思ったり(爆)

そんなわけで『AFTERMATH』UK盤と関連曲を素晴らしいモノラルで堪能できる、Prof Stonedの見事な作品でした。



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