- atsu-y's New Arrivals -

BBSで第一印象を紹介した atsu-y's new arrivals の保管庫です。
本編に移行したりすれば削除していきます。

2019

Dec

 
Madison Square Garden 1975 1st Night  /  We Didn't Really Get It On Until Detroit

Nov

         
No Filter NJ2  /  No Filter NJ1  /  Dodger Stadium 2006  /  1994-1995 Voodoo Lounge Tour SB Collection  /  Miami Gardens 2019  /  Surrey Rehearsals

Oct

     
Altamont 1969  /  No Filter 2018 - Marseille /  Complete Lacerated  /  More Philadelphia Special

Sep

       
Denver 2019  /  No Filter In Glendale  /  No Filter In Pasadena  /  Earl's Court 1976 1st Night  /  Santa Clara 2019

Aug

           
Syracuse 1994  /  Boston 1975 2nd Night  /  Boston 1975 1st Night  /  Tokyo Dome 1990 1st Night  /  Houston 2019  /  Philadelphia 2019  /  1969 

Jul

           
Foxborough 2019  /  No Filter In Chicago 2nd Night  /  No Filter In Chicago 1st Night  /  Street Fighting Men In Milan  /  Paris 1976  /  Chicago 2019 2nd Night  /  Chicago 2019 1st Night

May


Bird's Vault Vol.3

Apr

       
Bird's Vault - RI 61/16 (Volume Three)  /  Honolulu 1973 2nd Night  /  In Exotic Honolulu  /  European Tour 1973 - KBFH Broadcast 1974 & 1988 (3rd)  /  Get Yer Ya-Ya's Out! Complete Edition (3rd)

Mar

   
Boston 1969 2nd show  /  Honolulu 1973 1st Night  /  Brisbane 1973

Jan

 
Blind Date  /  Place Aux Dames - Shades 'n' Canes

 XXXXX

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Dec 2019
MADISON SQUARE GARDEN 1975 1ST NIGHT 』 no label (2CD)
aud.recordings@Madison Square Garden, New York City, NY. June 22, 1975

●Disc 1
1. Fanfare For The Common Man / 2. Honky Tonk Women / 3. All Down The Line / 4. If You Can't Rock Me / 5. Get Off Of My Cloud / 6. Star Star / 7. Gimme Shelter / 8. Ain't Too Proud To Beg / 9. You Gotta Move / 10. You Can't Always Get What You Want / 11. Band Introductions / 12. Happy / 13. Tumbling Dice / 14. It's Only Rock'n Roll / 15. Doo Doo Doo Doo Doo
●Disc 2
1. Fingerprint File / 2. Angie / 3. Wild Horses / 4. That's Life / 5. Outa Space / 6. Brown Sugar / 7. Midnight Rambler / 8. Rip This Joint / 9. Street Fighting Man / 10. Jumping Jack Flash / 11.
Sympathy For The Devil (with Eric Clapton) / 12. Closing

あの1975MSG初日、6/22公演が鮮烈なアップグレードを果たして登場。

6月22/23/24/25/26/27と6夜連続で行われたMSG公演、この初日はアンコールの"Sympathy For The Devil"にエリック・クラプトンが登場したことで知られる公演。

この公演の隠密音源は2種類出回っており、75年のライブブートページは長らく未更新で申し訳ありませんが、隠密盤は年月と共に進化しており、それらをソース別にリリース順に並べると以下のとおり。

まずは昔ながらの「recorder 1」音源がこちら。
 『
M.S.G.75 WITH ERIC CLAPTON』 VGP-029 (1994年)(不完全)
 『
TOUR OF THE AMERICAS 75』8枚組BOX (ここまでは軽く75年ページに掲載)
 『
DEVIL』MID VALLEY 057/058 (2000年)
 『
ERIC CLAPTON & HIS ROLLING STONES』VGP-315 (2002年)
     

そして2008年に登場したジョー・マロニー録音の「recorder 2」を収録した有名どころはこちら。
 SYMPATHY FOR SLOWHANDDAC-075 (2008年)
 LUCIFER(MV 460/461/462/463) (2008年) 4CD - recorder 2&1
 

この「recorder 1」と「recorder 2」は質感の似た音で、Mid ValleyのLUCIFERは双方の音源を4枚組で収録していますが、個人的には2008年にDACのSYMPATHY FOR SLOWHANDで紹介しているとおり、「recorder 2」が好みでありました。

その「recorder 2」のアップグレード音源を使用したのが今回の作品!!
元音源はかのkrw_co氏がジョー・マロニーからマスターを借り受けてネットに公開したもの。
これがまぁ鮮烈で。

元々SYMPATHY FOR SLOWHAND(DAC-075)やLUCIFER(MV 460/461/462/463)も高音質でしたので、特に不満とかはなかったのですが、さらに一皮むけたサウンドに!
音の輪郭がくっきりシャープになり、ほんの僅かにかかっていたベールを取り払ったような鮮烈なサウンド。
ブラインドテストをしても違いははっきり。演奏もそうですが、小さな歓声を聴き比べるとエコーのような濁りがすっきりなくなっているのがわかります。
これはもう超絶"
EX"であります。
とはいえ既発も十分高音質でしたが、2008年の新着コーナーを振り返ってみると、DAC盤に"very good+"なんて渋い評価をしてますなわたくし(笑)
あらためて今の感覚では、既発盤の"EX-"に対して今作は"EX"になったと言えるでしょう。
それくらい鮮烈です。

そしてこのジョー・マロニー音源、公開された元音源からして素晴らしかったのですが、今作のリリースにあたってはピッチ修正に位相修正、そらに片chがオフになるところの修正、そして"You Gotta Move"のリプライズ箇所と"Brown Sugar"のイントロ部分や一部曲間の欠落部への「recorder 1」の補填など、いつもながらの丁寧な修正が施されています。
なお、"Midnight Rambler"終了後のミックの叫び声はMV盤の様なつなぎで強引に一言を入れるのではなく、何も気づかないほど自然なクロスフェード処理がなされています。

こうした丁寧な調整がなされていますが、音質は素材が最高なので一切イコライジングなどはしていないとのこと。
少し高音域が強めなので、もう少し低音に厚みを持たせるとまた面白いかもしれませんが、ここは鮮度が一番。
文句なしの素晴らしいサウンドです。
まぁ一部ビリー・プレストンの音が前に出過ぎですが、当時のRolling Stone誌にもベースが響きすぎという点とあわせてビリーが大き過ぎてたまにギターをかき消すほどだと書かれています(笑)

そして演奏はNYC入りした初日ということで凄まじいはじけっぷりです。
あのフラット・ベッド・トラックで"Brown Sugar"をニューヨーク5番街でぶちかましたのは5/1。
その度肝を抜くツアー発表から1ヶ月半を経て、ついにNYC公演なのです。

これぞ75ストーンズ、凄まじい。
オープニングの"Honky Tonk Women"でニューヨークのくだりで大歓声を上げる観客を前に、怒涛の凄まじい演奏を繰り広げ続けます。
新入りロニーも必死です(笑)
序盤の激しさはもちろん、"Ain't Too Proud To Beg"も激しい激しい。
まぁPAの不調や"JJF"でベースの弦が切れたりとめちゃくちゃぶりが聴けるところもありますが、その演奏がこんな鮮烈なサウンドで聴けるとはと、感激であります。

そして曲間で何度か"Sympathy For The Devil"を懇願する女性ファンがいますが、まさかのアンコールでエリック・クラプトンととは度肝を抜かれたことでしょう。
"Sympathy For The Devil"、Tour Of The Americas、75ツアーではこの日が初登場です。
ロニーも初めて、キースがベースにというのも初めて、エリック・クラプトンも初めて、スティールドラムアソシエーションも初めて、そんなわけもあってか演奏はぐちゃぐちゃでしたが、彼女は満足したでしょうか。
なぜか今回そこが気になりました(笑)

いやしかしこうして超絶素晴らしい音で聴けるなんてのは、ほんっとに幸せであります!
 

 

WE DIDN'T REALLY GET IT ON UNTIL DETROIT 』 no label (1CD)
aud.recordings@Olympia Stadium, Detroit, MI. Nov.24, 1969

1. Intro. / 2. Jumping Jack Flash / 3. Carol / 4. Sympathy For The Devil / 5. Stray Cat Blues / 6. Love In Vain / 7. Prodigal Son / 8. You Gotta Move / 9. Under My Thumb / 10. Midnight Rambler / 11. Live With Me / 12. Little Queenie / 13. Satisfaction / 14. Honky Tonk Women / 15. Street Fighting Man

"By the time we were in Detroit, I'd say, it was like a one hundred percent improvement."
1969年12月28日号のローリング・ストーン・マガジンでミックはこう語っている。

今作のタイトルWE DIDN'T REALLY GET IT ON UNTIL DETROIT』は、ストーンズ初のブートレッグLIVE'R THAN YOU'LL EVER BEに次いでリリースされたアナログ・ブートのタイトルからですが、そのタイトルは上記の発言と同じく、デトロイトでようやく意図したライヴが出来たとミックが発言していたことから。

50年前の1969/11/7から12/6までのUSツアー、ストーンズはその短期間のUSツアーを1日2回のステージも連発して回りますが、11/16のシカゴでの2回公演の後、エド・サリバン・ショーへのTV出演をこなしつつ、この11/24デトロイトまでライヴは小休止。
先のリンク先に書かれているように、サウンドシステムの改善だけでなく、新たな演奏アレンジも試していたに違いありません。

こうしてストーンズがようやく実力を発揮し始めたツアー終盤の11/24デトロイト公演がLHよりリリース。

さて、そんなデトロイト公演のブートレッグの歴史はショップ・インフォにあるとおり。
>「ライバー」を録音したTMOQチームが他の公演、つまりサンディエゴをリリースしたのはずっと後ですし、「STONED M.S.G.」も1971年以降。
> 意外にも「ライバー」に次ぐ69年ツアーのリリースは11月24日のデトロイト公演を収録したアイテムだったのです。
> そんなデトロイト公演、先の「ライバー」に次ぐストーンズの最初期ブートの一つでして、紫のレーベルの「"WE DIDN'T REALLY GET IT ON UNTIL DETROIT"」としてリリースされていました。
> その後レーベル表記なしの「R.S.」やコントラバンドがタイトルを変えて出した「"WE NEVER REALLY GOT IT ON TILL DETROIT"」といったコピー盤が生まれましたが、
> 69年としては非常に珍しいステレオで録音されていた音源がモノラルにダウングレードするという大きな弊害が生じています。

そしてこのデトロイト公演を隠密録音したマスターはこれまで一切出回っておらず、本公演を収録したブートは全てそのオリジナルのアナログからのコピー。

ということでCDでも古のLIVE FROM DETROIT(CA 1111)、さらに決定盤としてDACがリリースしたSOME SATANIC TOUR VOL.2(DAC-098)などがリリースされていました。
 

DAC盤は前者よりもピッチも正しくマイルドで聴きやすい仕上げになっていましたが、歓声を嫌ったのか、曲間をカットしたことにより曲の余韻の部分や"Little Queenie"の冒頭までもカットされてしまっていたのが玉に瑕でした。
また、もともと音も遠くてやや団子でLIVE FROM DETROITは厳しい音であったため、Hot Stuffの1969 USツアーのページでも取り上げていなかった公演であったりします。

そして今作ですが、こちらもオリジナルのアナログから。
ピッチや定位やノイズなど、かなり丁寧なレストアが施されているようですが、ヒスノイズなどかなり粗く荒いサウンドで、DAC盤のような一部モノラル化までして仕上げられたマイルドなテイストとは大きく異なります。
こちらは1969年にして貴重なステレオ録音のテイストはなるべく崩さず、曲間も余計なカットはせず、どうやらオリジナルのテイストをいかした仕上げになっているようです。
とはいえ他と同様、"Midnight Rambler"冒頭では音飛びのように聴こえる欠落があり、DAC盤ではそこを少しつまんでさほど違和感のないよう調整されていましたが、今作はここもあえてそのまま収録されています。
とはいえやはり心穏やかならぬギスギスと粗くて荒い攻撃的なサウンドであり、アコースティックな曲では聴きやすいもの、幅のある"
goodvery good"程度のマニア向けではあります。

しかーし、演奏は改善100%のデトロイトなのです。
悪魔ではケネディーの3番もしっかり演奏され、そのままルシファーの4番に突入し、そこからキースのギターソロを経て、新たにテイラーのソロが設けられるという新アレンジに。
また、"Honky Tonk Women"では3番のパリのくだりを2番で歌い、本来2番のニューヨーク・シティーのくだりを3番に回し、そのニューヨーク・シティーをデトロイト・シティーと変えて歌うことで、観客から大喝采を受けています。

ということでマニア向けではありますが、ストーンズの進化をいまでも超貴重なアナログが本来持っていたポテンシャルを最大限引き上げて再現してくれているという、意義ある貴重な作品でありました。
なお、こちら11月末リリースでしたが、この新着コーナーの表の11月のタイトルの改行が前作まででちょうどなので12月に回してます。


Nov 2019
NO FILTER NJ2 』 GOLDPLATE GP-1904CD1/2 (2CD)
aud.recordings@MetLife Stadium, East Rutherford, NJ. Aug.5, 2019

●Disc 1
1. Opening / 2. Jumpin' Jack Flash / 3. You Got Me Rocking / 4. Tumbling Dice / 5.
Harlem Shuffle / 6. Monkey Man / 7. You Can't Always Get What You Want / 8. Let It Bleed / 9. Dead Flowers / 10. Sympathy For The Devil / 11. Honky Tonk Women / 12. Band Introductions / 13. You Got The Silver / 14. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2. Midnight Rambler / 3. Paint It Black  / 4. Start Me Up / 5. Brown Sugar / 6. Gimme Shelter / 7. (I Can't Get No) Satisfaction

全然音が出回らなくてやきもきしたニュージャージー/ニューヨークの2公演がGOLDPLATEより待望のリリース!
No Filter 2019ツアーは全11公演、そのうち10番目と11番目がこのニュージャージー公演で、今作は2日目を収録。
ちなみに同会場で2回やったのは開幕シカゴとこのニュージャージーのみ。
こちらもネットにはまともな音が公開されずやきもきしていましたが、独自入手音源とのことで待ちに待った嬉しいリリース。

そしてこれまたド迫力のサウンド!
クリアネスとはちょっと違う趣のサウンドですが、初日と同じテイスト。
まぁちょっとドンシャリ気味で初日より周りが盛り上がってる様子がうかがえるとkろもありますが全くうるさくなく、これまた素晴らしい"
EX"。
はい、キースラウドで気持ちいい。

この日のオープニングは日替わりで"JJF"!
この曲を終えるところではキースが左右を振り返って合図をしていて、ここではチャックではなくキースが仕切ってる感じがして嬉しいポイント。
それがほんとに合図なのかポーズなのかはともかく(笑)
ということで、オープニングが"JJF"ということは"Street Fighting Man"が外れて他にレア曲枠が増え、続く"You Got Me Rocking"でこれはレアなセットリストになるかという予感。
でも今回のツアーでは"You Got Me Rocking"も"It's Only Rock'n Roll"も5回ずつってことで、特にこの曲がレアというわけでもなく、お楽しみはこれからだと。
しかーし、その"You Got Me Rocking"のここぞという見せ場で派手に音を外してしまうキース(笑)
いやぁ〜目の前でやってくれました(笑)

大好きなダイスを終えるとここでなんと1990年Urban Jungleツアー以来の29年ぶりとなる"Harlem Shuffle"登場。
これぞニューヨーク・スペシャル!!
特にミックが変に外したりせず、しかもバッキングヴォーカル頼りにならずに、丁寧かつ見事に歌えていたのが素晴らしい。
でもワシントンでやった"Mercy, Mercy"みたかったぞとか(笑)

voteによるリクエスト曲は"Monkey Man"!
いやこれも嬉しい曲でしたが、LICKS大阪参戦者はどうしても冷や冷やしながら構えてしまう曲。
でも問題なくスタート。とはいえ丁寧な演奏を心掛けているようで、スリリングさはあまり伝わってこなかったかも(笑)
そしてエンディングが揃わずバタバタと終わります(笑)

"You Can't Always-"のエンディングではミックがまだやりたい?とじらすのでこの日もリプライズとなるか?と思いきや終了(笑)、

いやしかしニュージャージー2公演目ということでレアな展開を予想していましたが、Bステでやってきました!!
初日は鉄板の"Sweet Virginia"と、鉄板なのに乱れた"Dead Flowers"でしたが、ここで"Let It Bleed"降臨!!
今ツアー2度目の登場。その後サンタクララでも登場しますが、これはなかなかのレア曲!
しかもミックとキースが"Let It Bleed"でワンマイクという涙ものの演奏ですが、キースのギターが目立たない(笑)
まぁロニーのスライドが光る演奏でした(笑)
そして初日にドタバタだった"Dead Flowers"が仕切り直しでまたもや登場。
これ、キースのパートでハモリながら歌うと最高に楽しいけど、ここでも光るのはロニーのスライド(笑)
そしてこの2日目も、Bステでも音が変わったりすることのない素晴らしいサウンドなのはナイス。

メインステージに戻っての悪魔。ここでのキース大爆発が最高。
音が割れ気味ですが、それぐらい迫力があってよろしい(笑)

"Honky Tonk Women"ではキースがピックを口にくわえて指で弾きますが、あの口にくわえたピックが欲しいぞとキースに大声援を送るも投げてくれませんでした(笑)
そしてこの日もNew York Cityのくだりは盛り上がってます。
バンド紹介のところではまたTick Tock Dinerについてさらっと話してますが、なんといってるのかよくわからず(笑)

キース・コーナーではなんとシカゴ初日以来の"You Got The Silver"!
以降の公演ではこちらが定番化しますが、初日とは変えてくるとは嬉しいところ。
そしてそして、終盤には"Gimme Shelter"が控えているので、なんとこの日はLET IT BLEEDから6曲も!
"Country Honk"の代わりに"Honky Tonk Women"もカウントしたら7曲!
しかもB面は"Midnight Rambler" "You Got The Silver" "Monkey Man" "You Can't Always-"の全曲を完奏!!
まさにLET IT BLEED50周年スペシャル・ナイト!!
というのは掲示板でbangatkanagawaさんに教えていただいて気づいたんですが(笑)

いやしかし続くキース熱唱の"Before They Make Me Run"のエンディングがまたかっちょいい。

後半はホットロックス大会となりますが、"Midnight Rambler"がまた絶品。
この日は"Hellhound On My Trail"で。しかし心臓手術の影響を微塵も感じさせない齢76のミック。
このブレイク後のチャーリーとキースが絡み合い、そこにロニーのソロが溶け込んでいくとこはもう最高。
曲によってはそりゃ衰えを感じる曲はあれど、なぜにこの"Midnight Rambler"は衰え知らずなのだ。
いや、後半のホットロックス大会はすべてそうかも知れないが、"Midnight Rambler"は別格である。

初日とは順番を入れ替えた"Paint It Black"ではミックのマイクスタンドパフォーマンス。
でもマイアミほどの激しさはなく、初日に続いてこの日も結構あっさり。
このパフォーマンス、是非日本で激しくやって欲しい。

いやしかしこの日の"Start Me Up"もまた絶品で、いったいどうなってるのだと。
"Brown Sugar"では初日と違ってピンクパールのド派手ギターに替えてきたロニー。
これジャクソンビルのライヴ前につぶやいてたDuesenbergUSAのStarplayer TVなるニューギアで、いい音で鳴ってます。

ラストの"Satisfaction"はキースもだけどやっぱミックが凄かった。
当たり前だけどミックの凄さを思い知ったNJ2。ほんとストーンズ最高!

そんな演奏をド迫力で味わえるこちら、ほんとに素晴らしい作品でありました!

なお、こちらもジャケや背への表記からするとタイトルはNoFilter NJ2と、NoとFilter間にスペースは入っていないようですが、ここではわかりやすいNO FILTER NJ2としておきます。
そしてNJ1とこのNJ2の2タイトルまとめたポストカード付きの限定パッケージもありますが、2タイトルあわせてもかなりお値打ちなのも魅力の一つ。

 

  NO FILTER NJ1 』 GOLDPLATE GP-1903CD1/2 (2CD)
aud.recordings@MetLife Stadium, East Rutherford, NJ. Aug.1, 2019

●Disc 1
1. Opening / 2. Street Fighting Man / 3. Let's Spend The Night Together / 4. Tumbling Dice / 5.
She's A Rainbow / 6. You Can't Always Get What You Want / 7. Sweet Virginia / 8. Dead Flowers / 9. Sympathy For The Devil / 10. Honky Tonk Women / 11. Band Introductions / 12. Slipping Away / 13. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2. Paint It Black / 3. Midnight Rambler / 4. Start Me Up / 5. Jumpin' Jack Flash / 6. Brown Sugar / 7. Gimme Shelter / 8. (I Can't Get No) Satisfaction

全然音が出回らなくてやきもきしたニュージャージー/ニューヨークの2公演が、GOLDPLATEより待望のリリース!
No Filter 2019ツアーは全16公演、そのうち10番目と11番目がこのニュージャージー公演で、今作は初日を収録。
ちなみに同会場で2回やったのは開幕シカゴとこのニュージャージーのみ。

んが、ネットにはまともな音が公開されずやきもきしていましたが、独自入手音源とのことで待ちに待った嬉しいリリース。
ようやくちゃんと聴けるぞと再生すると、オープニングのイントロにあら?こもってるのか?と思いましたが、演奏が始まるとびっくらの超絶ど迫力。
キースのギターが突き刺さる攻撃的なサウンドで、ちょっと低音と高音が強めですが、音像も大きくド迫力の"EX"サウンド。
いやしかし"Street Fighting Man"のこのイントロはたまりません。
このイントロだけでも持っておきたい一枚です(笑)
齢75にして刻むリフ、そしてその前に駆け寄りがつんと歌い始める齢76のシャウト、最強です。

それにしても周りも静かでいてスタジアムのエコーも心地よく感じる見事なサウンド。
ミックとキースが"Let's Spend-"でワンマイクじゃないけどワンマイク風に寄り添って歌っても、騒がしくならないこの録音ポジションはどこなのだ?
少しエコーを拾っているのでスタンドかな?それにしても音像が大きい。
うん、キースラウドでちょうどいい(笑)

そしてこの日の"Tumbling Dice"は絶品。
演奏もサッシャも素晴らしい。永遠に転がっていくような感覚に。やっぱストーンズはダイスだな!

続いてvoteは"She's A Rainbow"。
そうなるだろうなーと思いつつ、いつも候補には上がっても毎度選ばれない泡沫候補、テンプスカヴァーからImaginationに一票したんだけど想いは届かず(笑)
でもはい、素敵な出来でした。
と感想まで書き始めるときりがないので控えますが、"You Can't Always-"ではリプライズが40秒近くも。リプライズがこんなに長かったんだとあらためて。

さて皆さんお待ちかねのBステージでアコースティック・コーナー。
Bステになっても音質も変わらないのでナイスです。

そのBステ、この日は鉄板の"Sweet Virginia"と"Dead Flowers"。
んが、鉄板であるはずの"Dead Flowers"で事件が。
頼りないスタートだと思いつつも、なんとか揃ってきたと思うや、ミックが歌い始めのタイミングがずれてまたバラバラ(笑)
とはいえ百戦錬磨、途中であわせていくので一安心ですが、ここでの乱れがなければ翌公演のNJ2で仕切り直さずまた別の曲をやってくれたのかも(笑)
でもこの"Dead Flowers"、うまくあわせていくとはいえ、全くあの高揚感を得られずほんとに出来が悪い(笑)
まぁお約束のワンマイクはやってましたけど。モニターの調子でも悪かったのか??

メインステージに戻ってからの悪魔。
ここでキース、スイッチがONに!ヘッドフォンで聴いてたらキース炸裂のところで電撃が体を駆け抜けるような衝撃。
ナイスラウド!!いやぁ〜素晴らしい!!

"Honky Tonk Women"ではニューヨークシティのくだりで盛り上がる様子がしっかりとらえられていてほっこり(笑)
このあと、Tick Tock Dinerに行ってテイラーハムとチーズ食べたんだよと、大うけ(笑)
これ各地で話してる食べ物系のネタですけど、ローカルニュースではTick Tock Dinerにインタビューした記事を載せたり、翌日大入りだったりとかで面白い(笑)
ちなみにバンド紹介を聴いてると、やっぱり元音源は少しこもってるというかクリアではないようですが、演奏ではあまり気になりません。

そしてキース・コーナー。
"Slipping Away"での"All I want is ecstasy"では明らかにキースが入るタイミングが早いのに、一瞬で見事に合わせる周りのメンバー、さすが!!
んが、周りがせっかくうまく合わせたのに逆に肝心の"is ecstasy"をちゃんと歌えてないキース(笑)
これキースが気づいて振り返ってたんですが、YouTubeでロニーサイドからの映像を見てみると"あ、オレやっちゃった?"という顔してるのがはっきりわかって面白い(笑)
ちなみにキース、プロンプターを見て気づいたようなしぐさ。
シカゴでは無茶苦茶だったので、いい加減ちゃんとプロンプター見るようになったのか?

そして後半の"Midnight Rambler"では"Come On In My Kitchen"をはさみ、ミックはキースと肩を組んだ後、ブレイク前の一休みと言わんばかりにチャーリーの前で腰掛ける。
そのままでは演奏が始まらんのじゃと、そんなミックをつかんではよ行けと前方に送り出すキース(笑)
はいはいと笑いながらキャットウォークを進むミック。そして"Well you heard about the Boston"でのキースのゴリゴリがまた。
そしてこの"JJF"、"Brown Sugar"でのイントロにも痺れる。
この日はキースのスイッチのONとOFFが結構はっきりしていましたが、齢75にしてこの力強いリフ、たまりません。
"Brown Sugar"でのボビーの後を継いだカール・デンソンの空に溶け込むサックスも心地よい。

そしてラストの"Satisfaction"では、No Filterツアー初のお立ち台がステージ両端に2〜3mほどせり上がり、ミックが左右両方に上がってパフォーマンス。
唐突に現れたこのお立ち台にキースが驚いた表情をしたのを見逃しませんでしたが、さすがにミックもそこでは派手な動きができず。
結局次の公演ではもう登場せず、やっぱ危ないしとお倉入りさせたのか、それとも最初からここだけのスペシャルだったのか、今となってはわかりません。
そんなスペシャルを目撃しましたが、終演後にチャーリーが投げ入れたスティック、わたくし必死の背走後方ダイブでゲット!!
忘れられない公演となりました!!

といった感じで、NJというかリトも完全にNY仕様の公演でしたが、ミック曰くこのエリアでは90回目となるライヴだったとのこと。
そんなライヴをド迫力のサウンドで堪能できるこちら、文句なしの素晴らしい作品でありました!!

なお、ジャケや背への表記からするとタイトルはNoFilter NJ1と、NoとFilter間にスペースは入っていないようですが、ここではわかりやすいNO FILTER NJ1としておきます。
そしてNJ1とこのNJ2の2タイトルまとめたポストカード付きの限定パッケージもありますが、2タイトルあわせてもかなりお値打ちなのも魅力の一つ。

 

DODGER STADIUM 2006 』 no label (2CD)
aud.recordings@Dodger Stadium, Los Angeles, CA. Nov.22, 2006

●Disc 1
1. Introduction / 2. Jumping Jack Flash / 3. It's Only Rock'n Roll / 4. Let's Spend The Night Together / 5. She Was Hot / 6.
Dead Flowers (with Bonnie Raitt) / 7. Streets Of Love / 8. All Down The Line / 9. Midnight Rambler / 10. Tumbling Dice / 11. Band Introductions / 12. You Got The Silver / 13. Connection
●Disc 2
1. Under My Thumb / 2. Oh No, Not You Again / 3. Start Me Up / 4. Honky Tonk Women / 5. Sympathy For The Devil / 6. Paint It Black / 7. Satisfaction / 8. Brown Sugar

2006年のストーンズは精力的に世界を飛び回った一年。
前年開幕したA BIGGER BANGツアー、1st Legを12/3に終え、年が明けるや否や1/10から3/14までを米大陸2nd Legで回ったあと、3/22から4/18にかけて日本を含むアジアとオーストラリアを回り、7/11から9/3には多くの日本人も遠征したトゥイッケナムを含む欧州1st Leg、さらに9/20から11/25にかけてまたもや北米を駆け巡り、THE BIGGEST BANGのオースティン公演とSHINE A LIGHTのビーコン・シアターを含む北米3rd Legを敢行したという強行スケジュール。

そんなことも影響してか、10/27のアトランティック・シティー公演はミックの喉の不調により11/17へ延期されたのでした。
なお、その直後の10/29と11/1があのSHINE A LIGHTのビーコン・シアター公演でありました。
その影響でこのロス公演も当初予定の11/17から11/22に変更されたようです。


そんな乗りに乗った2006年北米ツアーですが、それまでの公演でブートはわんさか飽和状態のため、あまりリリースされていません。
しかもいまだにセットリストすらはっきりと判明していない公演がちらほらあったりします。

ということで2006年11月の演奏の素晴らしさは2017にLHがリリースしたATLANTIC CITY 2006で思い知ることになったのですが、今回は11/22ロス公演。
この日の公演、本作とは異なる貧弱なオーディオながら映像はスクリーンを落ち着いて見られるDVDがブート化されていましたが、CD化は初めてかと。
ちなみに2006年には同じロスでも3月にThe Forumでもやっており、その関係で本作のタイトルはLOS ANGELES 2006ではなくこのタイトルなんでしょうか。
まお、この2006年は本公演の次のバンクーバーが千秋楽でしたので、このロス公演がABBツアーでのアメリカファイナル公演となったわけですが、これがまた強烈。

本作は最近ネットに公開された音源が元になっており、その公開された音源のインフォによると録音は4列目ということですが、基本定位が左にあって開演前の叫び声からもロニー側でしょう。
なお、Bステージでは録音者はBステに向かって突入を図ったらしく、そこは音が揺れる揺れる(笑)
そしてネットに公開されたものはちょいこもってもっさりした貧弱な音質だったんですが、さすがはLH、一気に一皮剥けたクリアサウンドに昇華させています。
元音源と比べると笑っちゃうほど違います。
特に元音源とは比べ物にならないほどミックのヴォーカルもシャープでクリアになっていて、これは嬉しいところ。
隠密慣れした方にとっては高音質と思える素晴らしい進化を遂げています。
ということで、ちょっと定位に不安定なところがあったり、叫び声ならまだしもちょいと小さいながらも話し声が邪魔に感じるところがありますが、元音源の"very good-"レベルが"
EX-"にまで。

演奏はさすが2006年11月、凄いです。
オープニングの"JJF"ではミックが"gas gas gas"というところで"gas gas gas gas〜!"と4回まくしたてるほど。
いやぁ〜この日のミックは攻めてます。"IORR"での歌い方にしてもところどころでミックの攻めを感じる熱演。
"IORR"が終わると、交通渋滞による遅延と日程変更を詫びていますが、その気持ちだけではない何かがミックを突き動かしているに違いない。
アメリカ最終公演だったから?一体何があったのだ?と思うほど熱い。

"She Was Hot"ではロニーとチャーリーが熱く、続く"Dead Flowers"ではオープニング・アクトを務めたボニー・レイットが登場。
曲の前にミックは、彼女は今頃ホテルでシャンパンを飲んでるところさなんて言っておきながら、曲の途中でボニーが登場するという(笑)
そのボニー・レイット、2番の歌いだしこそめちゃくちゃ外しますが、いい感じ。
ここでボニー姉さんのスライドが入ったら面白そうでしたが、歌だけでした。
ちなみに彼女は次の最終公演バンクーバーでは"Shine A Light"で共演し、その模様はTHE BIGGEST BANGに収録されています。

続く"Streets Of Love"。ミックが見事に歌い上げているところで、、、周りの話し声がうるさい(笑)
これだからアメリカってところは(笑)
まぁ仕方ないとあきらめないといけないものの、続く"All Down The Line"では今度は叫び声がうるさく、いい加減黙れと言いたくなる(笑)
本音源、そこは大きなマイナス点。

こりゃ"You Got The Silver"はさぞかしうるさいのかと思うと、そこはそうでもないのが不思議。トイレ行ったか?
そして待望の"Connection"。映画SHINE A LIGHTでは編集のおかげでろくに見れなかった"Connection"ですが、ここでキースのというかストーンズのミラクル炸裂(笑)
何度も聴きなおすほどのスタートで、ロニーのミラクルなのか?キースの歌も無茶な入り方。一体どうなってるのだ?
久々にSHINE A LIGHTのCDを取り出して聴きなおしてみるほど(笑)
しかし間奏しか弾いとりませんな〜キース(笑)
でもTOTALLY STRIPPEDでのパラディソのあの息をするのも忘れるほどの"Connection"とは大違いですが、何度も何度もこの曲だけリピートしてしまうほど、あらためて聴き惚れてしまう(笑)
そういえばキースといえば、このかっちょいいジャケ。こちらは同じ2006年ですが、7/31アムステルダムでのショットです。

そしてBステージ!
こちら録音者が移動を試みていることから定位が変わっていきますが、なかなかの臨場感でナイス。
周りもにぎやかですが、これまでのうるさいおしゃべりとは違って大盛り上がり。ずっとここで録音してたらよかったのに(笑)
にしても"Oh No, Not You Again"はミックが変だぞと。

そしてここからが凄いのだ。
なんだこの"Start Me Up"は!そして"Honky Tonk Women"も!まるで赤い彗星が舞い降りたかのような速さ。
そしてこの辺りでは周りは静かなのが嬉しい。
しかし"Satisfaction"のイントロ、なんなのだこのキーは?そしてどんどん加速していく。
この日のキースはかなり出来上がってるのか?(笑)
こりゃすげーもの聴いちゃったぞと。

と、長くなってしまうほど興奮した激熱隠密音源でありました。
このライヴは実際に観たかった!!

ちなみにこの日の音源を調べてみると最近公開されたトレント以外にもDL出来るところがありますが、公開がずいぶん前で使用機材も違うようなのでいくつかトライしてみましたが、いずれもDL出来ず。
映像のオーディオは大したことないのでちょっと気になってますが、本作は聴いて熱くなること間違いなし。
元音源を見事にアップグレードした素晴らしい作品でありました!!

 

1994-1995: VOODOO LOUNGE TOUR SOUNDBOARD COLLECTION 』 no label (1CD)
SB recorsdings@1994-1995

01. Not Fade Away (Olympic Stadium, Stockholm, Sweden. June 3, 1995)
02. Tumbling Dice (JFK Stadium, Washington, DC, USA. Aug.1, 1994)
03. You Got Me Rocking (JFK Stadium, Washington, DC, USA. Aug.1, 1994)
04. All Down The Line (The Paradiso, Amsterdam, Holland. May 27, 1995)
05. Shine A Light (The Paradiso, Amsterdam, Holland. May 27, 1995)
06. Angie (Tokyo Dome, Tokyo, Japan. Mar.6, 1995)
07. Dead Flowers (The Paradiso, Amsterdam, Holland. May 27, 1995)
08. It's All Over Now (The Paradiso, Amsterdam, Holland. May 27, 1995)
09. I Go Wild (Olympic Stadium, Stockholm, Sweden. June 3, 1995)
10. Love Is Strong (Radio City Music Hall, New York City, USA. Sep.8, 1994)
11. Monkey Man (JFK Stadium, Washington, DC, USA. Aug.1, 1994)
12. Rip This Joint (Mixed from The Paradiso, Amsterdam, Holland. May 27, 1995, L'Olympia, Paris, France July 3, 1995 & Brixton Academy, London, UK. July 19, 1995)
13. Start Me Up (Radio City Music Hall, New York City, USA. Sep.8, 1994)
14. Brown Sugar (JFK Stadium, Washington, DC, USA. Aug.1, 1994)

一年の計は元旦にあり。
ということで元旦しょっぱなからブート紹介と参ります!!(2020/1/1)

LHによる69/72/73/78などのコンピレシリーズ、続くは94/95。
こちら、各所にボーナスなどで散らばっていた、あまりみかけないものを集めた秀作となっています。
また、単に集めるだけではなくそれらの音質をある程度揃えることで、"
EX"音質を一気通貫でVoodoo Loungeツアーのおいしいところをダイジェスト1枚組で聴くことができるようになっています。
いやこれ結構侮ることなかれです。

それぞれソース別に簡単にまとめて紹介すると以下のとおり。

・01. Not Fade Away (Olympic Stadium, Stockholm, Sweden. June 3, 1995)
・09. I Go Wild (Olympic Stadium, Stockholm, Sweden. June 3, 1995)
今回のインフォを読むまですっかり忘れてましたが、ストックホルム公演からはこの2曲がTV放送されました。
これら2曲はともに、VOODOO, I LIKE IT(CC 365-66)、VOODOO LOUNGE TOUR SOUVENIR(VGP-058)などにボーナス収録。
なお、"Not Fade Away"は、本作はドンカマからイントロが完全収録されており、イントロ途中からだったVGP盤より長く収録。
CC盤ではこの曲のトラックの一つ前のトラックの最後にしばらくイントロが含まれており、そちらとあわせると同等。
そしてその土釜とチャーリーが全くかみ合ってないスタートという、なかなかの珍演でスタート(笑)

・02. Tumbling Dice (JFK Stadium, Washington, DC, USA. Aug.1, 1994)
・03. You Got Me Rocking (JFK Stadium, Washington, DC, USA. Aug.1, 1994)
ともにツアー初日のJFKスタジアムのニュース映像から。
これらはBIG EGG - FIRST NIGHT STAND(VGP-050)やBUT NAKED(VGP-071)などに収録。

・04. All Down The Line (The Paradiso, Amsterdam, Holland. May 27, 1995)
こちらはオフィシャルのシングル"Like A Rolling Stone"から。

・05. Shine A Light (The Paradiso, Amsterdam, Holland. May 27, 1995)
・07. Dead Flowers (The Paradiso, Amsterdam, Holland. May 27, 1995)
・12. Rip This Joint (Mixed - The Paradiso, Amsterdam, May 27 / L'Olympia, Paris, July 3 / Brixton Academy, London, July 19, 1995)
日本ではWOWOWで放送されたSTRIPPED TV Specialより。

・06. Angie (Tokyo Dome, Tokyo, Japan. Mar.6, 1995)
オフィシャル日本盤BRIDGES TO BABYLONにボーナス収録された曲。
なぜにアルバムにこのボーナス?と不評でしたねぇ。シングルとかにならともかく。
まぁ当時はスタジオ・バージョンがドラマ『フェイス』の主題歌にもなってたことも影響してるんでしょうが。

・08. It's All Over Now (The Paradiso, Amsterdam, Holland. May 27, 1995)
オフィシャルFOUR FLICKSリリース時にiTunes特典でのみ提供された、1995年のアムステルダムはパラディソでのライブで、オフィシャルTOTALLY STRIPPEDに収録されたパラディソ公演の翌日の公演から。
本番ではミックが歌の入りを間違えてやり直していますが、TASBによるとそのやり直しまでとやり直し後のミックスになっているとのこと。
こちらは2015年リリースのTHE ESSENTIAL STRIPPED TRACKS(IMP-HR-1003)にも収録。

・10. Love Is Strong (Radio City Music Hall, New York City, USA. Sep.8, 1994)
・13. Start Me Up (Radio City Music Hall, New York City, USA. Sep.8, 1994)
MTVでTV放送された2曲を収録。
既発ではFIRST NIGHT STAND(TSP-CD-180-2)、FROM NOW TO THEN(BMCD28)、THE VOODOO KISS(KTS 356/57)、VOODOO YOU(KTS-023 A/B)などに収録。

・11. Monkey Man (JFK Stadium, Washington, DC, USA. Aug.1, 1994)
・14. Brown Sugar (JFK Stadium, Washington, DC, USA. Aug.1, 1994)
これらは上記trk2-3と同日の演奏ながら、そちらのTVニュース番組ではなく、後日放送されたラジオショー番組から。
まずは"Monkey Man"。こちらは本盤の隠れた目玉。
これは2014年9月にLHのNEW ORLEANS 1994を紹介した際に番外編で参考記載した、ラジオショーディスクWESTWOOD ONE CONCERTS Volume IIに収録された貴重なSBテイク。
隠密はいくつも出ていますが、SB音源のブート化は本作が初めてではなかろうかと。
ただし残念ながらこちらは短縮版に編集されて放送されているうえに、チラホラとプチノイズが載り、途中右chにちょいとダメージのあるという音源でした。
本作では短縮版というのは変わらず、右chの一瞬のドロップは本作でも感じられますが、細かいプチノイズが除去されているのはナイス。
ということで、これは知られざるSB音源だったので貴重。
そして"Brown Sugar"はこちらも同じく2014年9月リリースであるもう一つの作品、GIANTS STADIUM 1994 SUPERSTAR CONCERT SERIESで紹介したとおり、SUPERSTARS IN CONCERTで2010/12/18-19、キースの誕生日の週末に放送されたWestwood Oneのラジオショーから。

ということでマニアにとっては初めてというテイクは限られていると思いますがそれでも痒い所に手が届き、そうでない方には今となっては散り散りのタイトルに収まっていたものをまとめて聴くことができるという、初ブート化を含む便利なコンピレーションでした。

 

MIAMI GARDENS 2019 』 no label (2CD)
aud.recordings@Hard Rock Stadium, Miami Gardens, FL. Aug.30, 2019

●Disc 1
1. Intro / 2. Jumping Jack Flash / 3. It's Only Rock'n Roll / 4. Tumbling Dice / 5.
Out Of Control / 6. Under My Thumb / 7. You Can't Always Get What You Want / 8. B-Stage S.E. / 9. Sweet Virginia / 10. Dead Flowers / 11. Sympathy For The Devil / 12. Honky Tonk Women / 13. Band Introductions / 14. You Got The Silver / 15. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2. Paint It Black / 3. Midnight Rambler / 4. Start Me Up / 5. Brown Sugar / 6. Gimme Shelter / 7. Satisfaction

No Filter 2019ツアーの千秋楽、マイアミ公演のブツが満を持して11月に登場。
このマイアミ公演、元々は2019ツアー開幕の地として4/20に開催予定だったのに、ミックの手術に伴うツアー日程変更によって8/31の最終公演となったマイアミ。
そして残すはいざ最終公演というタイミングになってハリケーン・ドリアンの接近により、急遽前代未聞の日程前倒し、8/30に開催されることになったという、ドラマティックなライヴ。

会場はハード・ロック・スタジアム。以前はJoe Robbie Stadiumと呼ばれていたといえばピンとくる方も多いでしょう。
VOODOO LOUNGEツアーからVOODOO LOUNGE UNCUTとして昨年オフィシャル・リリースされた、当時はTSPからリリースされたLIVE AT JOE ROBBIE STADIUMでマニアには親しまれたあの公演の会場。

そんなNo Filter 2019ツアー最終公演のマイミ公演ですが、開演前にどっと雨が降り、雨が上がった後もステージ上の水はきで開演時間は1時間ほど遅れ、ファンのボルテージは上がりに上がってスタート。
ちなみにその雨が降る前までをコチラで紹介しています、、、はよ続き書けよと(笑)

さて本作、こちらはネットに公開された隠密音源が元になっています。
オープニングのイントロ途中で音が引っ込むのであら?と思いますが、なんのなんの、開演すると素晴らしい臨場感です。

いわゆるサウンドボード級の隠密とは趣が違いますが、クリアで音像が大きく、臨場感あふれる素晴らしい録音。
そして元音源では軽かった低音もブースト補正されて迫力も増し、ヴォーカルもギターもダイレクト感というより音が頭上を抜けていく感じで少し粗さはあるものの、音像はかなり大きいというナイスな"
EX-"。
これ、たまに聞き覚えのある叫び声がちょっと遠くの左側で聴こえるので、ロニー側ピットの最内側の最前列付近からの録音に違いありません。
そんなポジションで静かに観ているなんてわたしには到底無理なので、こうして録音してくれたことに感謝感謝です。

さて、オープニングの"JJF"ではしょっぱなのキースのイントロで音が出ないというトラブルスタートだったものの、ミックもテンションあげての熱演。
そこからキースのしっかりしたイントロで"IORR"になだれ込むさまは鳥肌もの。
ダイスではチャーリーとキースが力強くあの高揚リズムを叩き出し、両手を高く振り上げて観客を煽り、最後はかかし立ちでポーズを決めるミック。
ストーンズのお馴染みのステージですが、そのお馴染みが衰えることなく健在であることを目の当たりにした感動の最終公演が蘇ります。

そのあと二度の日程変更へのお詫びと、日程が急遽前倒しになったにもかかわらずしっかりとステージを用意したクルーへのミックの謝辞に会場も沸きます。
これぞまさに最終公演。

そして飛び出したのはここぞというときに飛び出すミックのお気に入り、"Out Of Control"。
2019年にはヒューストン、サンタ・クララに次ぐ3度目の登場。
そして会場の合唱コーラスにマイクをゆだねるミック。これぞ開放的なアメリカ公演の醍醐味。

そしてSong Voteコーナー。
選ばれたのは"Under My Thumb"!もうたまりません。
自分にとって初の海外遠征となった1997年のBTBツアー開幕のシカゴ公演でも演奏されたこの曲。
今回の方が断然いいじゃないのと思いつつ、自らのストーンズ人生の集大成がここに極まったように感じて目頭が熱く。
でもストーンズはまだ終わらないのだ!

そしてここでいつもの「どこから来た?」のミックのいじりで、「アルゼンチンからも来てる?」と。
たくさんかけつけた熱狂的なアルゼンチーナからの歓声にミックが応えた素晴らしいシーンに感動でありました。
なお、ステージがもっと進んでからですが、なんとミックはアルゼンチンの国旗を羽織ってキャットウォークを進んだりも。
やるなアルゼンチン、日本も負けてはならぬと(笑)

閑話休題。
続いて始まった"You Can't Always Get What You Want"、ここで事件が。
キースが妙にためて余計に弾くもんだから、チャーリーとずれ、さらにミックもずれずれで妙な歌いだし、まったく新しいアレンジで始まってしまいます(笑)
その後チャックが見事にタイミングを合わせなおしますが、結構冷や冷や(笑)
でもこれぞストーンズらしく、ズレようが堂々と弾くキースにしびれるマイアミ。
そしてミスのカバーはしっかりリプライズ付きで(笑)

こんなペースで書いてると終わらないので端折りますが、Bステージやキース・コーナー、そして"Paint It Black"でのミックのマイクスタンドを抱えての熱唱に感動はもちろんのことながら、まさにドラマチックな展開が控えていたのは"Gimme Shelter"。

"Gimme Shelter"でミックが"Ooh, a storm is threat'ning"と歌い始めるとそれに呼応するように雨が落ちてきたのです。
この会場の天井は、いわゆるスタンドの客席部分にはちょっと屋根がかかっていますが、フィールドは屋根がないタイプ。
ここから"Satisfaction"まで、ずぶぬれでボルテージが上がりまくりの観客とストーンズ。
そうして千秋楽をこれ以上ないドラマチックなエンディングで終えたストーンズ。

そんなマイアミ公演を素晴らしい臨場感、とはいえ周りがうるさいということではなく会場全体の盛り上がりをしっかりとらえつつ演奏も大きくとらえた見事な本作。
現時点での最新ライヴ、No Filter最終公演をこうして見事な調整を施しプレス・リリースしてくれたことに感謝であります。

 

SURREY REHEARSALS 』 no label (1CD)
SB recordings@R.G. Jones Studios, Morden, Surrey, UK. Feb.21 - Mar.14, 1968

1. Stray Cat Blues (Instrumental) / 2. Jam #1 / 3. Stray Cat Blues (Riff & Guitar) / 4. Unknown Song (with Off-Mic Vocals) / 5. Jumping Jack Flash (Early Instrumental Take) / 6. Jam # 2 / 7. Short Jam / 8. Hold On I'm Coming (with Off-Mic Vocals) / 9. Rock Me Baby (with Off-Mic Vocals) / 10. My Home Is A Prison (with Off-Mic Vocals) / 11. Slow Blues Jam / 12. Phone Ringing Jam / 13. River Deep Mountain High (with Off-Mic Vocals) / 14. Interview conducted by NME journalist Keith Altham with Mick Jagger, Keith Richards, Charlie Watts & Jimmy Miller

サリーリハーサルがこれまたアップグレード。
こちらは最近ネットに公開されたアップグレード・バージョンが元になっています。

サリー・リハーサルとは、ストーンズがアンドリュー・ルーグ・オールダムとの蜜月を終え、ジミー・ミラーとの黄金期を築くこととなったBEGGARS BANQUETのレコーディング前の肩慣らしのようなもの。
ブライアンと、当時ひざを負傷していたビルはこのリハーサルには参加していません。

なお、本作のショップ・インフォには、ツイン・ギターの曲でのギターはもしかしたらブライアンではと紹介されていますが、元音源のインフォ・ファイルにあるとおり、当時のNMEのインタビュー記事にミックがギターを弾いていることに対してのやりとりが記載されているので、やはりこの期間にスタジオ入りしていたのは、ミックとキースとチャーリーだけではないかと思われます。
資料によってはスチュもピアノで参加と書かれていますが、ピアノは鳴ってないかと思います。

このサリー・リハーサル音源はアナログ時代からブート化されていましたが、CD時代にVGPがリリースしたSURREY REHEARSALS(VGP-108)が代表盤でした。

 
本作のショップ・インフォに、「ある意味でマニアの踏み絵とも呼べるリハーサル音源を勇敢にもCD化してくれたのが約20年前にVGPレーベルが同名タイトルにてリリースしたバージョン」という名文句があるとおり、わたしはこの音源をそのVGP盤で初めて聴いたんですが、なんじゃこりゃと思いつつ、"JJF"の原型らしい演奏を聴いて興奮したことが思い出されます(笑)
その音源が20年を経てアップグレード!!
これまたすっきりナチュラルな音に生まれ変わっています!
元々大した音質ではない粗い音源ですが、これはほんとにナイスな"
EX-"サウンド!
サウンド的には中途半端なものですが、ストーンズが変態を遂げいよいよ黄金期へと向かう前夜の貴重なセッションをこうしてアップグレード盤で聴くことができて嬉しい限り。


Oct 2019
ALTAMONT 1969 』 no label (2CD)
aud+SB recordings@Altamont Speedway, Livemore, CA. Dec.6, 1969

●Disc 1
1. Sam Cutler Introduction / 2. Jumping Jack Flash * / 3. Carol * / 4. Sympathy For The Devil [I] / 5. Sympathy For The Devil [II] ** / 6. The Sun Is Shining / 7. Stray Cat Blues / 8. Love In Vain / 9. Under My Thumb [I] / 10. Under My Thumb [II] ** / 11. Brown Sugar / 12. Midnight Rambler [Warm Up] / 13. Midnight Rambler
●Disc 2
1. Live With Me / 2. Gimme Shelter ** / 3. Little Queenie / 4. Satisfaction / 5. Honky Tonk Women / 6. Street Fighting Man
7. Newswatch Report, KRON-TV, San Francisco, CA. Dec.8, 1969

* The blends of the master audience tape and the another audience tape recorded for radio broadcast
** The blends of the audience and soundboard recordings

夢から最悪の現実へと引き戻された、60年代の終焉を象徴する混乱のオルタモント・フリー・コンサート。
オルタモントといえば昔からブートではいろいろあるものの、隠密音源を収録したVGPのTHE KILLER FESTIVAL - ALTAMONT 1969(VGP-113)の新旧盤、そして後半部分をアナウンスがかぶるラジオ音源を追加したDACのALTAMONT(DAC-019)、そして40周年の2009年にIMPがリリースした隠密とラジオ音源と映画音源を継ぎはぎしたALTAMONT FREE CONCERT(IMP-N-030)、さらに2010年にDACが隠密音源をメインにリリースしたIT'S JUST A SHOT AWAY(DAC-099)などが有名で、特に後者2つが決定盤となっていました。

     

ところが今回、そのメインの隠密部分が驚きのアップグレード!
インフォによると2012年にネットで公開されていたらしいですが、そんなことつゆ知らず。
そして再生してみると一聴して驚きです。
無理やり調整したような不自然さやヒスノイズのないクリアなサウンド。
いやクリアと言っても既発と比べてですが、いままで頑張っても"very good-"どまりだったのが一気に"
very good+"にまで!

さらに素晴らしいのはこれまで欠落していたところが〜!!
オープニングの"JJF"の頭欠け部分は別ソースの隠密音源の補填ににより初めて隠密音源のみで違和感なくしっかり聴けるようになり、"Carol"の冒頭の音伸び部分もIMP盤と同じく別ソースの隠密音源で補填されており、何とこのオルタモント初披露の"Brown Sugar"にいたっては初めて最後までメインの隠密音源で!!元音源にはちゃんと録音されていたのかと。
もう紹介はここまでで十分というほどの嬉しいアップグレードです。

これはちゃんと50周年の日に聴いとくべきだったと、3週間遅れでちょっと悔しい(笑)

なお、"The Sun Is Shining"スタート時のカットは旧盤と変わらず、"Midnight Rambler"スタート前のアドリブはウォームアップとして収録されていますが、イントロはしっかり別ソースで補填されています。
そして全部がそのネットからの隠密音源かというとそうではなく、映画GIMME SHELTERから"Sympathy For The Devil"、"Under My Thumb"はSB音源、さらに古のScorpioの名作A SHOT OF SALVATIONからの"Gimme Shelter"はSB音源がメインで使われていながらも隠密音源とのマトリクスという凝った作りになっています。
IMP盤の様に曲間も映画音源などに差し替えられて行ったり来たりする感じのない、演奏部分のみのマトリクスになっており、これが現場の喧騒感も再現されていて素晴らしい。
ただし、DACが2016年にリリースしたBRIAN, COME BACK YOU BASTARD!(DAC-164)でブート初登場した"Love In Vain"のモノラルSB音源は使用されていません。
そして惜しいのが"Stray Cat Blues"冒頭の欠落した数秒間。ここはIMP盤では新発掘SB音源が1分以上使われていてイントロ欠けは解消されていたので、今回またイントロ欠けになっているのは残念。
なぜにここだけ未処理のままなのか、ほんとに惜しい。

しかしメインの隠密音源のファースト・ジェネレーション・コピーによるアップグレードは素晴らしいものがあります。
それだけでも十分なアドバンテージ。大満足であります。

 

NO FILTER EUROPE TOUR 2018 - MARSEILLE Oraneg Velodrome 』 GP-1902 COMPLETE COLLECTOR'S EDITION (2CD+1DVD+1BLURAY)
IEM+aud.recordings@Orange Velodrome, Marseille, France. June 26, 2018
   
 
●CD 1
1. Opening / 2. Street Fighting Man / 3. It's Only Rock'n Roll / 4. Tumbling Dice / 5. Just Your Fool / 6.
Get Off Of My Cloud / 7. Fool To Cry / 8. You Can't Always Get What You Want / 9. Paint It Black / 10. Honky Tonk Women / 11. Band Introductions / 12. You Got The Silver / 13. Before They Make Me Run
●CD 2
1. Sympathy For The Devil / 2. Miss You / 3. Midnight Rambler / 4. Start Me Up / 5. Jumping Jack Flash / 6. Brown Sugar / 7. Gimme Shelter / 8. Satisfaction

●DVD/Blu-ray
1. Intro / 2. Street Fighting Man / 3. It's Only Rock'n Roll / 4. Tumbling Dice / 5. Just Your Fool / 6. Get Off Of My Cloud / 7. Fool To Cry / 8. You Can't Always Get What You Want / 9. Paint It Black / 10. Honky Tonk Women / 11. Band Introductions / 12. You Got The Silver / 13. Before They Make Me Run / 14. Sympathy For The Devil / 15. Miss You / 16. Midnight Rambler / 17. Start Me Up / 18. Jumping Jack Flash / 19. Brown Sugar / 20. Gimme Shelter / 21. Satisfaction
+ EXTRAS MARSEILLE 2018 TRAILER MARSEILLE 2018 SHORT AD

昨年のNo Filterツアーからマルセイユ公演のIEM/隠密マトリクス音源と、それをオーディオソースに仕立てたDVD/BD-Rがリリース。
ちょうどリリースされたあたりからラグビーW杯に年末進行などですっかり紹介が遅れてしまいました。

さてこちら、IEM/隠密マトリクスといえばXAVELの専売特許のような感じもありますが、Goldplateが挑んだチャレンジングな作品。
インフォによると海外コレクター提供によるコレクター間にも出回っていないIEM音源とのことで、Goldplateの次作であるNJ1とNJ2公演と同じく、ネットに出回っていない独自入手音源をこうしてリリースしてくれるというのは懐かしくも嬉しい限り。

ということでまずはCD。
研究を重ねたXAVELのIEMの域には簡単には届かないようで、IEM音源は特にヴォーカルが大きく、ベースとドラムもそこそこ大きいもののギターが遠くステレオでもないようですが、隠密音源とのマトリクスで際立てた意欲作。
ヴォーカルはちょっと拡声器っぽい癖のある音質ですが、ミックのヴォーカルが際立って耳元で聴こえ、観客として聴くというよりはサウンドエンジニアとして聴いてるような感じで面白い。
ただしギターは隠密とのマトリクスをしてもちょいと薄いので、どうしてもそのフェーダーをあげたくなりますが、そんなものありません(笑)

でも映像を通して見るとその聴こえない音が脳内補正されたりします(笑)
なお、映像はDVDのみのバージョンと、BD-Rも加わったバージョンの2種類がリリースされていますが、やはりDVDよりもBD-Rの方が綺麗。
マルチ映像もネットに出回ったものとは違って一から作り直しているようで、そちらとは別物。
ちなみに"Before They Make Me Run"だけは映像素材が揃わなかったようで、映像は複数公演のミックスになってます。

いやしかし貴重な"Get Off Of My Cloud"と"Fool To Cry"のミックをこうして聴くことができるとは感激です。
そう、2018年ということで、まだ手術前のミックなんですよね。
このマルセイユ公演は、ひとつ前のベルリン公演でのちょいと不調なストーンズとは別物、素晴らしい演奏を繰り広げてくれていることが昨年LHからリリースされた隠密盤からも知られていますが、こうして映像とIEM音源という立体的に楽しめるというのはナイス。

ただしIEMソースはまだまだ新チャレンジということで、XAVELのマルチステレオのような域には達していませんが、この提供元がさらに腕をあげて複数の周波数を受信できるようになれば今後の欧州公演がさらに頼もしくなるかもという、期待を抱かせる作品であります。
なお、こちらには2CDのみのバージョン、そして2CD+DVDのバージョンもリリースされていますが、この2CD+DVD+BD-Rというパッケージは初回限定のようです。

 

COMPLETE LACERATED 』 no label (2CD)
SB recordings@1978 US Tour 

●Disc 1
01. 6/29  Introduction (Rupp Arena, Lexington, KY. Jun.29)
02. 7/18  Let It Rock (Will Rogers Memorial Center, Fort Worth, TX. Jul.18)
03. 7/19  Honky Tonk Women (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
04. 7/19  Starfucker (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
05. 6/29  Lies (Rupp Arena, Lexington, KY. Jun.29)
06. 6/29  Miss You (Rupp Arena, Lexington, KY. Jun.29)
07. 6/29  Just My Imagination (Rupp Arena, Lexington, KA. Jun.29)
08. 7/19  Beast Of Burden (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
09. 6/28  Shattered (Mid-South Coliseum, Memphis, TN. Jun.28)
10. 7/19  Respectable (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
11. 7/06  Member Introduction (Masonic Temple Auditorium, Detroit, MI. Jul.6)
12. 7/06  Love In Vain (Masonic Temple Auditorium, Detroit, MI. Jul.6)
13. 7/06  Tumbling Dice (Masonic Temple Auditorium, Detroit, MI. Jul.6)
14. 7/06  Happy (Masonic Temple Auditorium, Detroit, MI. Jul.6)
15. 6/28  Hound Dog (Mid-South Coliseum, Memphis, TN. Jun.28)
16. 7/19  Sweet Little Sixteen (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
17. 7/19  Brown Sugar (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
18. 7/19  Jumping Jack Flash (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)

●Disc 2
01. 7/06  Introduction (Masonic Temple Auditorium, Detroit, MI. Jul.6)
02. 7/06  Let It Rock (Masonic Temple Auditorium, Detroit, MI. Jul.6)
03. 7/19  All Down The Line (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
04. 7/06  When The Whip Comes Down (Masonic Temple Auditorium, Detroit, MI. Jul.6)
05. 7/19  Lies (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
06. 7/06  Miss You (Masonic Temple Auditorium, Detroit, MI. Jul.6)
07. 7/06  Just My Imagination (Masonic Temple Auditorium, Detroit, MI. Jul.6)
08. 6/29  Beast Of Burden (Rupp Arena, Lexington, KA. Jun.29)
09. 6/29  Member Introduction (Rupp Arena, Lexington, KA. Jun.29)
10. 6/29  Shattered (Rupp Arena, Lexington, KA. Jun.29)
11. 6/29  Respectable (Rupp Arena, Lexington, KA. Jun.29)
12. 6/29  Faraway Eyes (Rupp Arena, Lexington, KA. Jun.29)
13. 7/19  Member Introduction (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
14. 7/19  Tumbling Dice (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
15. 7/19  Happy (Sam Houston Coliseum, Houston, TX. Jul.19)
16. 6/29  Sweet Little Sixteen (Rupp Arena, Lexington, KA. Jun.29)
17. 6/29  Brown Sugar (Rupp Arena, Lexington, KA. Jun.29)
18. 6/29  Jumping Jack Flash (Rupp Arena, Lexington, KA. Jun.29)

69、72ときて今度は78。
78はTHE IMPOSSIBLE RECORDWORKSによるアナログLACERATEDとVGPによるその復刻CDLACERATED(IMP-108/VGP-004)sの白黒とカラーの2種類を筆頭にラジオショー音源が豊富ですが、1997年にTSPがリリースしたHANDSOME GIRLSは放送禁止用語まで入ったラジオショーの元音源が収録されていてマニアの度肝を抜いたものでした。
そしてその後Wolfgang's Vault(Concert Vault)で公開されたラジオショー音源などその他の音源はLHからもTHE LOST HANDSOME GIRLSとして新旧2作品がリリースされています。

       

そんな78をあらためてオーバーオールして出来るだけ統一感のある音質にして2枚にまとめたもの。
その統一感のある若干ナチュラルな音質は素晴らしいの一言。
ところどころで極々小さなプチパチがかすかに鳴っているところもありますが、全く問題なし。
先の72の様に首をかしげながら何度も聴かねばならないなんてことのないこちらは手放しで素晴らしい"
EX"。

そしてこちらには特筆すべき素晴らしい点が2つ。

まずはDisc1のデトロイトでの"Tumbling Dice"。
ここではミックのヴォーカルが途中でオフになってしまっていましたが、会場では鳴っていたことがアナログ『ABANDONED IN DETROIT』(CS-DM-7678)の隠密音源によって明らかになっていましたが、そのオフになっている部分に隠密音源をパッチすることで遂にCDでも聴けるように。

もう一つはDisc2のヒューストンの"Tumbling Dice"。
こちらは放送禁止部分にピーが入ることで知られていますが、以前はTSPからコピーしたDANDELIONのHANDSOME GIRLS(DL030-33)にボーナス収録されたものの、演奏開始から1:57辺りに音ブレがあり、ピッチも遅かったりという欠点がありました。
また、そのコピーのHANDSOME GIRLS(DPCD-09/10/11/12)ではそのピー音と音ブレを消すために他の部分と差し替えたフェイク処理がなされて歌詞が変なことになってましたが、今作はTHE LOST HANDSOME GIRLS同様、そのピーは入るものの正しいピッチで1:57辺りの音ブレもなく、しかもTHE LOST HANDSOME GIRLSではまだ微妙に残っていたブレが今作では気づかないほどの補正がなされているのは嬉しいところ。

なお、こうしてラジオ音源をそろえることによってあたかも2つのコンサートを収録したような構成になっていますが、オープニングの"Let It Rock"についてはラジオ音源ではデトロイトのテイクしかないため、Disc1ではフォートワースから拝借されています。

また、見過ごしてしまいがちですが今作のジャケにも注目です。
こちらはLACERATED復刻ということでVGPのカラージャケと同じかと思いきや、キースが中央にいたLACERATEDと違い、こちらはミックが中央にいる別ショット。
ケースを開けてディスクトレイをめくって出てくるキースが中央のショットがそのオリジナルのLACERATEDの写真かと思いきや、これも実は別ショットという作りに思わずニヤリ。

ということで大満足ですが、あえて書き加えるならば、
Disc.1では"Let It Rock"の後に"All Down The Line"が来ないというのはちょっと落ち着かないとか、"Lies"と"Miss You"はその収録地のレキシントンで演奏された際には今作のDisc.1のとは逆の順番だったりするとか(とはいえ78では今作の順が多い)、Disc.2ではメンバー紹介でスチュとマックさんが2回紹介されるのはちょっと妙だということくらい(笑)
あと、タイトルのCOMPLETE LACERATEDは、LACERATEDという意味を考えるとCOMPLETE LACERATEDという英語自体の意味はわかるようなわからないような気も。

そんな細かい言いがかりのようなことしか書くことがないくらいの素晴らしい内容でありました。 

 

MORE PHILADELPHIA SPECIAL 』 no label (2CD)
SB recordings@1972 US Tour 

●Disc 1
01. 7/20     Brown Sugar (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.20)
02. 7/20     Bitch (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.20)
03. 7/20     Rocks Off (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.20)
04. 7/20     Gimme Shelter (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.20)
05. 7/21-2 Happy (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show)
06. 7/21-2 Tumbling Dice (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show)
07. 7/21-2 Love In Vain (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show)
08. 7/21-1 Sweet Virginia (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 1st show)
09. 7/21-1 You Can't Always Get What You Want (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 1st show)
10. 7/21-2 All Down The Line (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show)
11. 7/21-2 Midnight Rambler (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show)
12. 7/20     Bye Bye Johnny (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.20)
13. 7/21-2 Rip This Joint (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show)
14. 7/21-2 Jumping Jack Flash (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show)
15. 7/21-2 Street Fighting Man (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show)
16. 7/21-2 Uptight - Satisfaction (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show)

●Disc 2
01. 7/25-1 Intro (Madison Square Garden, New York City, NY. Jul.25 - 1st Show)
02. 7/25-1 Brown Sugar (Madison Square Garden, New York City, NY. Jul.25 - 1st Show)
03. 6/25-1 Happy (Hofheinz Pavilion, Houston, TX. Jun.25 - 1st show)
04. 6/24-1 Tumbling Dice (Tarrant County Convention Center, Fort Worth, TX. Jun.24 - 1st show)
05. 7/21-1 Love In Vain (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 1st show)
06. 7/21-1 Sweet Virginia (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 1st show) (Alternate Mix)
07. 6/25-1 You Can't Always Get What You Want (Hofheinz Pavilion, Houston, TX. Jun.25 - 1st show) (Remix)
08. 7/21-2 All Down The Line (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 2nd show) (Remix)
09. 6/24-1 Midnight Rambler (Tarrant County Convention Center, Fort Worth, TX. Jun.24 - 1st show)
10. 7/20     Rip This Joint (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.20)
11. 7/17     Jumping Jack Flash (Forum, Montreal, Canada. Jul.17)
12. 7/25-1 Street Fighting Man (Madison Square Garden, New York City, NY. Jul.25 - 1st Show)
13. 7/20     Uptight - Satisfaction (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.20)
14. 7/20     Tumbling Dice (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.20)
15. 6/25-1 All Down The Line (Hofheinz Pavilion, Houston, TX. Jun.25 - 1st show)
16. 7/25-2 Street Fighting Man (Madison Square Garden, New York City, NY. Jul.25 - 2nd Show)
17. 7/21-1 Uptight - Satisfaction (Spectrum Sports Arena, Philadelphia, PA. Jul.21 - 1st show)

こちら、ナンバリングがもう450まで行ってて売れまくってるようですが、中身は結構玄人向けのタイトルだったりします。

ショップインフォには、
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コンセプトは、VGP『Philadelphia Special』や『Pittsburg 1972』、『Fort Worth 1972 2nd Show』『Welcome To New York』といった単品のブート名盤群、そしてオフィシャル『Ladies And Gentleman』と被らない1972年サウンドボード集です。曲が被っても、全てミックス違いとなってます。
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とあるとおり、既発の最良音源ばかりを集めたものかというとそうではありません。

まずはPHILADELPHIA SPECIALアウトテイクというDisc 1。
その冒頭"Brown Sugar" "Bitch" "Rocks Off"、これらはすべてPHILADELPHIA SPECIAL 2(TSP-CD-060-2)と完全にかぶり、"Brown Sugar" "Bitch"もVERY ANCIENT, THANK YOU KINDLY(SCO-30)、KEEP YOUR MOTOR RUNNIN'(VGP-243)、PLUG IN FLUSH OUT(VGP-259)やその拡大版AMERICAN TOUR 1972(VGP-259)などとかぶっていますが、それらより音がよいと感じるものではありません。

       

イコライジング盛りの既発よりもナチュラルな仕上げというとそうかもしれませんが、音の抜けはイマイチで、"Brown Sugar"はサーッというヒス成分が入っていますが、2:13あたりからさらに増え(これはアナログPLUG IN - FLUSH OUTもそう)、"Bitch"は既発と違ってモノラルで音が悪いとしか感じず、"Rocks Off"も明らかに既発より音は悪く、なぜに?と、この3曲だけでも既発と聴き比べを延々行う羽目になり、前に進みません(笑)

う〜ん、今作はアナログから作り直したということなのか?
とはいえ"Bitch"は既発は綺麗に左右セパレートしているのに、あえてこのモノラル・バージョンを収録した制作意図はどうにもわからず。
というかこのモノラル・バージョンは一体どこから?既発でCD化されていないディフ・ミックスにこだわったということなのか?
ということで、特に冒頭2曲はなんでこの音質の物を収録したのかと、ちょっと難解であります。
しかしそのままでは全く先に進まないので、ここはいったん先に進むことにしました。

ということで、今作とPLUG IN FLUSH OUT』(VGP-259)各曲を共にPCに取り込んでそれぞれ別のソフトで再生し、フェーダーの上げ下げで聴き比べるという、徹底した聴き比べもしてみましたが、以降も今作はアナログからカセットテープに落としたような感じの、ちょっと抜けが悪くヴォーカルもギターも引っ込んでモコモコしつつも、ヒスノイズはやや多めの音が続きます。
未CD化ミックスがあるものはなるべく集めつつ、既発の様な派手なイコライジングを抑え、音質をなるべく揃えたのかなという思いにも至りましたが、でもあえてモノラルやこの音作りという意図はあまりわからなかったり。

ただし、インフォに「今回のリリースにおいて施した各種アジャストにより、過去のリリースとは比べ物にならない安定感」とあるように、きめ細かなアジャストが施されており、例えば"Sweet Virginia"は既発盤での冒頭のハープの頭でのこもりや左chのバランス、そして"All Down The Line"は既発盤での冒頭の左chのヨレなどは見事にアジャストされていたりしますが、全体的に音がいいかというと微妙。
そのアジャストにて最良音源に仕立てましたという方が一般的にはわかりやすいのではと。
また、曲間の歓声も同公演からうまく補填されていますが、"Tumbling Dice"の後など、少し音量が大きすぎると感じるところも。
逆に"Bye Bye Johnny"の前のミックの"Keith Richards on guitar"は小さいような。
(ちなみに72年にはまだRichardと名乗っていたので、ほんとは"Keith Richard's on guitar"なのかは不明・笑)

ということで、ピッチやヨレやバランスなどへのアジャストはしっかりなされていて安定していますが、なぜか既発とは違ったダビングを重ねたカセットテープのようなサウンドで、各種アジャストがなされているプラス面は横に置いておくと、音質的には既発の"EX-"が今回は"
very good-"になったような感じ。
ということで各種アジャストに喜びを覚える玄人向けかと思いますが、制作者の意図するところはもっと別なところにあるのかもしれません。

そしてDisc 2。
こちらは映像関連からとその他サウンドボード音源を収録したもの。
まずは映像からということで、冒頭Dick Cavett Showでお馴染みの"Brown Sugar"からでモノラル。

6/25ヒューストン1stショーからの"Happy"とtrk.15の方の"All Down The Line"はTHE GREAT LOST LIVE ALBUM(DAC-047)と同じくレディジェンアウトテイクからのモノラル。
いずれもDAC盤では定位はど真ん中でしたが、今作では前者は左寄り、後者は右寄り。


カナダのモントリオールでの"JJF"はFROM THE VAULT(VGP-100)でも聴かれたショート編集バージョン。
こちらもVGP盤では定位はど真ん中でしたが今作は左寄り。
ちなみに隠密でのフル・バージョンはStones Of Fireの1972 US TOUR(SOF 9010)で音は遠目ながらも聴くことができます。


そしてこちらもその他サウンドボードはPLUG IN FLUSH OUT(VGP-259)と比べてみましたが、"Tumbling Dice"はギターが引っ込んでややこもっています。
"Love In Vain"は安定していますがやや音が遠くなっています。こちらはPHILADELPHIA SPECIAL 2の音とか良かったんですけどね。
でも散見されたヨレなどはしっかりアジャストされています。

trk.12の"Street Fighting Man"もDick Cavett Showからで、FROM THE VAULT(VGP-100)では2ndショーとクレジットされていましたが、7/25 1stショーのもの。
こちらは拡大版AMERICAN TOUR 1972(VGP-259)にも収録されていますが、今作はイントロ冒頭が隠密で補填されています。
その後の定位が左寄りなのはどうしてだろうという感じですが、このイントロ補填はさすが。

trk.16と17は映画COCKSUCKER BLUESから。クレジットは諸説ありますが、今作はComplete Worksでの表記に倣っています。
これは左寄りのモノラルSBですが、右側にノイズが混入しているので、左の音から定位を真ん中にして作ればもう少しすっきりしたのではと。
LHのでは定位が真ん中にないというのは今作に限らずちらほらありますが、片方の音で作ると音のふくらみがなくなるからあえてなのでしょうか?

といった感じで、各所に散らばっていたいろんな音をまとめてある程度ライヴの曲順にならってアジャストされた結果、安定して聴けるという価値のある盤ですが、音質的にはやや後退していたりして、玄人向けといった感じのタイトル。
通しでもっと聴き込めばコンセプトが見えてくるかもしれませんが、聴き比べだけで消耗してしまいました(苦笑)

そしてこの72のライヴアルバムこそオフィシャルでちゃんとリリースして欲しいとあらためて。 


Sep 2019
DENVER 2019 』 no label (2CD)
aud.recordings@Broncos Stadium at Mile High, Denver, CO. Aug.10, 2019

●Disc 1
1. Intro / 2. Street Fighting Man / 3. Let's Spend The Night Together / 4. Tumbling Dice / 5.
Like A Rolling Stone / 6. You Can't Always Get What You Want / 7. B-Stage S.E. / 8. Sweet Virginia / 9. Dead Flowers / 10. Sympathy For The Devil / 11. Honky Tonk Women / 12. Band Introductions / 13. You Got The Silver / 14. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2. Midnight Rambler / 3. Paint It Black / 4. Start Me Up / 5. Jumping Jack Flash / 6. Brown Sugar / 7. Gimme Shelter / 8. Satisfaction 

8/1と8/5のニュージャージー/ニューヨーク・エリアのイーストラザフォード2公演を終えたストーンズが向かったのは、東海岸から西海岸へと飛ぶ中間、コロラド州の州都デンバー。
No Filter 2019ツアーでは開幕のシカゴとそのニュージャージーのみ2公演開催されましたが、他はすべて単独公演ということで、このデンバーを含めた残り6公演は一発勝負が続きます。
そしてロッキー山脈の麓のデンバー、スタジアム名が"Broncos Stadium at Mile High"というとおり、標高は1マイル=1,609m。

そんなデンバー公演、"Street Fighting Man"から始まる標準的なセットリストのためレア曲枠はありませんが、voteで登場したのは今ツアー唯一となる"Like A Rolling Stone"。
そしてキースはシカゴ初日以来、先日の前回のNJイーストラザフォード公演までやってなかったYou Got The Silverをやってるのが特徴。
なんだ標準セットリストじゃんというところですが、ここで注目したいのはこの会場の標高、1,609m。
ちょいと標高が高いとストーンズの演奏に変化があるのかと耳を澄ましたところ、、、わかりませんでした(爆)

今作の元音源はロニー側のスタンドで録音されてネットに公開された隠密音源で、演奏が近いわけではなくややエコーもあるものの、演奏全体をとらえて周りもうるさくないという良好録音。
音像が大きく音圧バリバリのサウンドではありませんが、余裕を持って聴いていられる大人のサウンド"
EX-"であります。

"Street Fighting Man"から始まり、"Let's Spend-"へとこなれた感じで進みますが、"Tumbling Dice"で途中ドラムがラウドになったあたりからストーンズも暖まってきた様子。
ダイスの後、ミックは「このスタジアムは初めてだよ。前にやったところは今は駐車場だからね」と。前にやったところとは、2002年に取り壊されたMile High Stadiumのこと。
ストーンズは1994年にそのMile High Stadiumでやって以降、デンバーで開催された1999年と2003年のライヴはアリーナ会場でしたので、久しぶりのスタジアム会場というわけでした。
voteの"Like A Rolling Stone"は、ボブが「俺が生まれ育ったコロラドへさよならを」と歌った"Man Of Constant Sorrow"への返歌。
いや元はもっと昔の歌だし、きっとそんな意味はありませんが、たまにはそんな風に考えるのも面白い(笑)
"You Can't Always Get What You Want"は珍しく見事にびしっと決まったリプライズ入りと、やはり標高が高くとも好調なストーンズであります。
とはいえBステではどうもロニーが不安定ですが。標高の影響か?(しつこい)
んがしかしこのデンバー、悪魔でのキースがラウドに鳴り響くのがいい感じ。
悪魔が終わったところで左側に鼻息かと思うような周期的なノイズが入りますが、"Honky Tonk-"の開始と同時におさまって一安心。

さてメンバー紹介の前にミック、「カサボニータ(デンバーにのみ残るメキシコ料理店)に行ったんだけど(会場大うけ)、ソパピラを食べ過ぎてお腹を壊しちゃったよ(笑)」とジョーク。
もちろん実際には行ってません(笑)
そしてメンバー紹介ではダリルの紹介をすっかり飛ばしてしまってます(笑)
続いて紹介されたロニーも今回はそこに触れず、その次に紹介されたチャーリー自身がダリルを紹介するという、レアなメンバー紹介(笑)

とまぁそんな具合で後半も好調にそつなく進みますが、最後に聴きどころが訪れます(笑)
ラストの"Satisfaction"でキース、ソロのタイミングを間違えます(笑)
この"Satisfaction"がまたニュージャージー公演よりも速くていい感じで、それで余計に勢いに乗ってしまったのか、3番に入るタイミングでギターソロを始めてしまうキース(笑)
ミックの3番冒頭とギターソロがかぶってしまうという摩訶不思議Satisfaction。
YouTubeを見てみると、この時キースはセンターからロニー側に向かいながらソロを弾き始め、同時にミックはキース側のウィングの袖に向かいながら平然と3番を歌い始めるという。
キースが途中であら?と気がついてソロをやめてセンターに戻ってきて、ロニーに向かってガハハ(笑)
そして3番が終わったところでミックが丁寧に合図までしてキースがあらためて弾きなおしてますが、キースも照れくさかったのか、いつものようにロニー側の袖に向かうことはせず(笑)
2019デンバー、ここにまた珍演奏というか迷演が(笑)

ということでデンバーの迷演"Satisfaction"も楽しめる良好隠密でありました!

 

NO FILTER IN GLENDALE - VALLEY OF THE SUN 』 XAVEL SMS-212 (2CD)
Multiple Stereo IEM Sources Matrix recordings@State Farm Stadium, Glendale, AZ. Aug.26, 2019
   
●Disc 1
1. Opening / 2. Jumpin' Jack Flash / 3. Let's Spend The Night Together / 4. Tumbling Dice / 5. Sad Sad Sad / 6. Get Off Of My Cloud / 7. You Can't Always Get What You Want / 8. Sweet Virginia / 9. Dead Flowers / 10. Sympathy For The Devil / 11. Honky Tonk Women  
●Disc 2
1. Band Introductions / 2. You Got The Silver / 3. Before They Make Me Run / 4. Miss You / 5. Paint It Black / 6. Midnight Rambler / 7. Start Me Up / 8. Brown Sugar / 9. Gimme Shelter / 10. (I Can't Get No) Satisfaction

XAVELからパサデナと同時リリースの「マルチ・ステレオIEMマトリクス」音源による作品。

No Filter US/Canada 2019ツアーのラス前である8/26グレンデール公演。
アリゾナ州ということで灼熱。8月なんかに誰がアリゾナにくるもんかとミック自身で言ってます(笑)

さて、同時リリースということでパサデナと似た音なのかと思いきや、結構違ってます。
聴き始めると最初あら?と思いますが、まず冒頭から"JJF"の2:53までは隠密音源。
個人的にはこの隠密音源のままでも十分楽しめますが、"JJF"の2:53からIEMマトリクス音源に切り替わります。
するとパサデナとは違って、パサデナではクリアでラウドだった左のロニーがちょい濁ってモコモコというかモゴモゴと鳴り、右のキースはこれまたかなり小さく。
キースのコーラスが結構しっかり聴こえるのは嬉しいですが、最初のミックのヴォーカルはわずかにIEMくさいサウンドになってます。
しかしこのギターはちょいと残念。やはりIEM傍受で録音というのは簡単ではないんでしょうね。
毎回同じセッティングでポンッというわけにもいかないんでしょう。

ということでグレンデールはちょっと微妙なサウンド。
いやこれでも昔は大喜びしてたでしょうが、パサデナの後にこれはちょい残念という"
EX-"。
やはりギターがクリアに鳴っていないというのはマイナスです。

しかし灼熱の地とはいえ、ツアーも残すところマイアミのみというラス前のグレンデール、ストーンズは伸び伸び元気にやってます。
オープニングの"JJF"からミックはあまり抑えることもなく、"Tumbling Dice"での自由な歌い方を聴いてると嬉しくなってきます。
そして次に飛び出したのは"Sad Sad Sad"、さらにvoteでは2019初登場の"Get Off Of My Cloud"と、70歳台半ばにしてこの挑戦!
こんな2曲をツアー終盤に持ってくるとはおそるべし。
"Sad Sad Sad"ではキースはES-355を弾いており、見せ場もありますが、ギターが3本の中では今作ではかすかに鳴ってるのが聴こえるくらい(涙)
では同じくES-355で、ギターが2本の"Get Off Of My Cloud"ではどうだー?
はい、聴こえますがやっぱキースが小さいすねー。
これではせっかくのレア曲もあまり面白くない、、、普通の隠密の方が楽しめるんじゃなかろうかと思ったり。
ミックスでもう少し何とかならないもんですかねー。何とかなるようならしてるんでしょうけど。
曲によってはキースもしっかり聴こえる曲もあるんですが、キースが聴こえないなぁ〜と聴いてる曲では全体の演奏がちっとも頭に入ってきません(笑)

ということで、「同レーベルがこれまでにリリースしてきたストーンズ関連のアイテムの中でも間違いなく最高峰」というメーカーインフォにはちと疑問であります。
また、アコースティックのBステなんかは、ミックと特にロニーのギターは妙に綺麗に録音されてたりする一方で、キースのマイクはオフだったりと、まだいろいろ課題はあるように感じます。
なお、キースの2曲では隠密成分が増してるようで、ヴォーカルは隠密のようです。

全般的にストーンズ自身はツアー終盤でも好調を維持ししているどころか上昇してきており、そんなグレンデールを堪能したかったんですが、キースが聴こえないなぁと思いながら今作を聴いてると、あまり演奏全体が入ってこず、楽しめないという。
これはパサデナと同日に聴いた弊害かも知れませんが。
"Midnight Rambler"冒頭のドタバタとかちょっと面白いんですけどねー。

でも現地に遠征までしてこうして独自録音した上にマスタリングしてという技術と根性は素晴らしく、個人的にはこうしたレーベルこそ応援したいものですが、マルチ・ステレオIEMマトリクスもまだまだ向上する余地は大いにあるなと感じる今作でありました。

そしてはい、繰り返しになりますが、このXAVELシリーズ、表ジャケはキラキラホログラムジャケの使い回しで、今回の2作もシカゴ両日と物理的に全く同じジャケというのはイマイチ。
さらに表ジャケの裏側のニューオリンズの日程もマイアミの日程もオリジナルのままなのはまだしも、フィラデルフィアのスペルが間違ってるのが悲しい。

 

NO FILTER IN PASADENA - ROCK ON MARS 』 XAVEL SMS-211 (2CD)
Multiple Stereo IEM Sources Matrix recordings@Rose Bowl, Pasadena, CA. Aug.22, 2019
   
 ●Disc 1
1. Introduction by Robert Downey, Jr. / 2. Opening / 3. Street Fighting Man / 4. You Got Me Rocking / 5. Tumbling Dice / 6.
She's A Rainbow / 7. You Can't Always Get What You Want / 8. Sweet Virginia / 9. Dead Flowers / 10. Sympathy For The Devil / 11. Honky Tonk Women
●Disc 2
1. Band Introductions / 2. You Got The Silver / 3. Before They Make Me Run / 4. Miss You / 5. Paint It Black / 6. Midnight Rambler / 7. Start Me Up / 8. Jumpin' Jack Flash / 9. Brown Sugar / 10. Gimme Shelter / 11. (I Can't Get No) Satisfaction

XAVELからオープニングのシカゴ2デイズに続いて、またしても超絶「マルチ・ステレオIEMマトリクス」音源による作品が登場。
No Filter US/Canada 2019ツアーの終盤、この8/22パサデナと次のラス前である8/26グレンデールが9月末に同時リリースされたということは、期待していた8月初旬のニュージャージー2公演とラストのマイアミ公演は出ないってことなんでしょうね〜。そこは残念。

それはともかく、ラスト3公演となったこのパサデナはロサンゼルスの北東に位置する高級住宅街ですが、パサデナといえばローズ・ボウルであります。
ローズ・ボウルでのストーンズ、これまたいつか観てみたいものです。

さて、XAVELの超絶イヤモニ・マトリクス、もう見事な"
EX"です。
再生するや顔がにやけてしまいます。
ただ、キースよりもロニーが妙に目立つミックスなのが個人的にはイマイチ。
なぜこのミックスなのだ?そしてもう少し隠密成分も欲しいところ。

というのはここまでハイレベルな作品に対する高望みではあります。
それだけ見事なサウンドを誇ります。ミックのヴォーカルも自然で、以前の様にチャックやダリルやコーラスが妙に目立ったりすることもない見事なサウンドです。
ここまで素晴らしい音で収録して作品に仕立てるのは並大抵の苦労ではないんだろうと思いますが、それだけにもう少しキースの成分を上げればいいのにと。
隠密を加えるかどうかはどう音が変わってしまうかわからないのでともかくとして、実際のライヴでもこんなにロニーが前に出てきてはいないのに。
キースのギターをうまく拾えていないのか?いや実際Bステでは全然キース弾いてませんでしたが(笑)

そしてキースといえば、キースのコーラスとキースがメインで歌う2曲はイヤモニに乗ってなさそうな、か弱いレベル。
もちろんBステの"Dead Flowers"でミックとキースがワンマイクでキースのマイクに歌うところも。
音質的な違和感はあまり感じませんが、ミックに比べると明らかに音量が落ちます。
しかしまぁ超絶素晴らしいIEMマトリクスではあります。

さて、そんなサウンドですが、このローズ・ボウルのライヴの特徴はまずはそのオープニング。
いつものどんどこが始まる前に、マーベル・コミックのアイアンマンでお馴染みの俳優ロバート・ダウニー・Jr.によって、NASAの火星探査機に携わるチームが火星の岩石にローリング・ストーンズにちなんで「ローリング・ストーンズ・ロック」と名付けたことが発表されたのです。
その「ローリング・ストーンズ・ロック」とは、2018年11月26日にNASAの宇宙船が内部探査のために火星に着陸した際、探査機のエンジンに煽られて3フィート(約1m)ほど転がった、ゴルフボールより少し大きいという岩石。
NASAの宇宙船が地球以外の惑星に着陸した際に転がしたどの岩石よりもその距離が長かったことから「ローリング・ストーンズ・ロック」と名づけられたという。
XAVELのこの作品には、そんな特別なオープニングの様子もしっかり収録されています(笑)

そうして始まったローズ・ボウル公演、セットリストは"Street Fighting Man"から始まり、voteは大方の予想通り"She's A Rainbow"と、標準セットリストでしたが、演奏はこれまたいい。
2017年から続くNo Filterツアーではこの2019が一番よかったんじゃないかと思えるほどの充実ぶり。
"You Can't Always-"ではリプライズ入りで、これがまたうまくはまってナイス。
そしてここもカリフォルニアということではい、"Sweet Virginia"では"Thank you for your wine, California"では観客が沸いてることが今作でもうっすら確認できます。

いやぁ〜それにしても加齢だけでなくミックの手術もあっていろいろパワーダウンしそうなもんですが、おそるべしストーンズ。
いや、手を抜くところは抜いてるのはわかりやすいですけど、それでもこの演奏は凄い。
晩節を汚すなんてとんでもない、まさに老いては益々壮んなるべし。ストーンズおそるべし。

ということで素晴らしい公演を超絶"EX"で楽しめますが、超絶サウンドだけにキースがもうちょい大きければと思う作品でありました。

そしてはい、以前から言い続けてますが、このXAVELシリーズ、表ジャケはキラキラホログラムジャケの使い回しで、今回の2作もシカゴ両日と物理的に全く同じジャケというのはイマイチ。
さらに表ジャケの裏側のニューオリンズの日程もマイアミの日程もオリジナルのままなのはまだしも、フィラデルフィアのスペルが間違ってるのが悲しい。

 

EARL'S COURT 1976 1ST NIGHT 』 no label (2CD)
aud.recordings@Earl's Court, London, UK. May 21, 1976

●Disc 1
1. Intro / 2. Honky Tonk Women / 3. If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud / 4. Hand Of Fate / 5. Hey Negrita / 6. Ain't Too Proud To Beg / 7. Fool To Cry / 8. Hot Stuff / 9. Star Star / 10. You Gotta Move / 11. You Can't Always Get What You Want / 12. Band Introductions / 13. Happy
●Disc 2
1. Tumbling Dice / 2. Nothing From Nothing / 3. Outa Space / 4. Midnight Rambler / 5. It's Only Rock'n Roll / 6. Brown Sugar / 7. Jumping Jack Flash / 8. Street Fighting Man / 9.
Sympathy For The Devil

Tour Of Europe '76からロンドン、アールズ・コートの初日が登場。

4月下旬のドイツから始まった1976年欧州ツアー、ストーンズは欧州ツアーで巡った各国の中でも最多の10公演(ツアー後のネブワースを入れると11公演)をイングランドで敢行しますが(スコットランドを加えたイギリスだとさらに3公演増える)スコットランドのグラスゴー、そしてイングランドのレスター、スタッフォードで2公演ずつ4公演を終えた後、いよいよロンドンはアールズ・コートに凱旋。
そのロンドン公演、休みは真ん中に一日のみという、5/21〜23と5/25〜27の3連荘x2、合計6公演を敢行したのです。
しかもこのロンドン公演のうち4公演のみ、75年と同じく"Sympathy For The Devil"をアンコールで演奏しています。
そしてこの6公演中、4公演がしっかりサウンドボード録音され、そのうち3公演は部分的のものもあれどブート化されていますが、オフィシャル・ライヴ盤LOVE YOU LIVEに収録されたのは多くはパリ公演からで、このアールズ・コートからは最終日の"If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud"のみではありましたが、2016年に流出したアウトテイクというかミックス音源には最終日から"Hey Negrita"が含まれていて驚いたものでした。

そんなアールズ・コート公演の記念すべき初日がいよいよ!
そう、初日は以前よりトレーダー間で出回っており、悪魔の1曲だけはアナログブートに収録されていたようですが、全曲ブート化は今作が初めて。
それだけに音質はやや厳しくマニア向けではありますが、逆に言えばついに世に出たアールズ・コート初日、マニア必携と言えるでしょう。
また、裏ジャケにクレジットはありませんが、この日から曲によってスチュが参加しているはずで、おそらくその初日という貴重な公演でもあります。

さて今作の隠密録音は音は遠く、ギターはエコーの彼方に埋もれがちではありますが、ミックのヴォーカルは比較的しっかり録音されています。
そしてそのミックのヴォーカルがこの公演では重要で、ロンドン凱旋一発目にしてミックが吠えまくってます。
ビリー・プレストンとの息の合ったハイテンションぶりが43年もの時を経て蘇る。感激です。
ちなみにミックが初めてジェリー・ホールと出会ったのはこのロンドン滞在中のことだったようです。
その時はブライアン・フェリーも一緒でしたが、その出会いがミックのこのハイテンションに影響してるかは不明です(笑)
いやしかしこのミックはやっぱ凄い。
そして加入後初のロンドン公演となったロニーもかなりノッているようですが、いかんせんこの音ではそこまではっきりわかりません(笑)

それはともかく、やはり音が遠くて"good"レベルということでこれまでブート化も見送られてきたんでしょう。
隠密ブート慣れしていない方には決して勧めませんが、この音ならマニアは全然いけます(笑)
そして貴重な76年バージョンの"Sympathy For The Devil"初演も収録されており、今回初のブート化ということで聴くことが叶いました。
ちなみに元テープはライヴ公判でピッチが不安定になっているそうで、これまたブート化されなかった要因だとか。
今回そこも見事にアジャストされてのブート化ということで、こうした丁寧なリリースこそ"おもてなし"を感じるのであります(笑)

なお、こちらは"Happy"は途中でフェードアウトしてしまいます。
さらに"Hand Of Fate"の3:08あたりでどうやらカットがあるようですが、ライヴが始まってすぐなのでこれはトレーダー間のいわゆるウォーターマークなのかも。
これらは補填する音源がないのでそのままになっています。

ということでマニア向けながらついに聴くことができた、貴重なアールズ・コート初日でありました!
 

 

SANTA CLARA 2019 』 no label (2CD)
aud.recordings@Levi's Stadium, Santa Clara, CA. Aug.18, 2019

●Disc 1
1. Intro / 2. Jumping Jack Flash / 3. Let's Spend The Night Together / 4. Tumbling Dice / 5.
Out Of Control / 6. Rocks Off / 7. You Can't Always Get What You Want / 8. B-stage S.E. / 9. Sweet Virginia / 10. Let It Bleed / 11. Sympathy For The Devil / 12. Honky Tonk Women / 13. Band Introductions / 14. You Got The Silver / 15. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2. Midnight Rambler / 3. Paint It Black / 4. Start Me Up / 5. Brown Sugar / 6. Gimme Shelter / 7. Satisfaction

No Filter 2019 US/Canadaツアーも終盤、サンタ・クララ公演。
今回のツアーではサン・フランシスコではなくサンタ・クララ、次はロスではなくパサデナとややわかりにくいですが、残すは4公演となったこの8/18、カリフォルニアはベイエリア、サン・フランシスコやオークランドやサンノゼ近くのサンタ・クララ公演。

そんなサンタ・クララ、ストーンズは初となるSF49ersの本拠地リーバイス・スタジアム。
サンタ・クララという都市とこの会場には実はいろんな制限があり、コンサート運営側はかなりの不満を募らせていたことが後に報道で明らかになりますが、セットリストはレアな"Out Of Control"、そしてvoteは"Rocks Off"、さらにBステでは"Let It Bleed"と、なかなかおいしいセットリストが展開されました。

そんなサンタ・クララ公演を収めた今作の音質ですが、わずかに音が割れているというか濁っているところはあり、ごくごくたまに少し音が引っ込んでしまうところがありますが、周りもうるさくなく低音から高音までしっかりスタジアム公演の音を見事に詰め込んだ超高音質"
EX"〜"EX-"を誇ります。
いや元音源はこれほどシャープではないんですが、ここまで仕上げる絶妙なイコライジングがナイス。

さてサンタ・クララ、セットリストだけでなく、齢76にしてミック、絶好調であります。
この日は"JJF"から始まるセット。
この場合ミックは抑えたスタートになりますが、続く"Let's Spend The Night Together"ではこのCDでは2:56からのところでミックとキースが一緒に歌い、その後のミックの歌いぶりからもミックの好調ぶりがうかがえます。
そもそもvoteで"Rocks Off"が選ばれるというのが好調さを表していると言えますが、この"Rocks Off"でのミックがまさに"Rocks Off"。
オリジナルのメロディをしっかりと意識した歌い方で、中盤からはホーンとサッシャのアシストが大きいものの、やってやってやりまくると叫ぶ76歳のミック、凄すです。
そしてキースもしっかり弾いてます!!

Bステのしょっぱな、"Sweet Virginia"のイントロはちょいとスカスカだったりしますが、持ち直してからの"Thank you for your wine, California"に沸く観客。
そして今ツアー3度目の"Let It Bleed"。これが速い。ニュージャージーよりもちょいと速い。
この日の演奏は全般的に速いなと思う曲がちらほらあり、好調さを表しているようですが、ここではロニーの熱演とミックとキースのワン・マイクがいかす。
メイン・ステージに戻ってからは"Honky Tonk Women"でちょいとミックが抑えてますが、キース・コーナーを挟んでまた鉄人ミックが爆発。
ここでの"You Gotta Move"を挿入しての"Midnight Rambler"のミックがまた熱い!いや、キースもチャーリーも爆発してます。
この日はミックのMCも短めですが、「ベイエリアで40回目のショーだぜ!(1975年の)カウ・パレスの匂いをまだ覚えてるよ!」で始まる"Start Me Up"からがまた絶品。
おそるべし70代のストーンズ!

そんな見事な演奏で締めくくりますが、この日は花火は上がらずじまいで、ファンは肩透かし。
実はこれが前述したコンサート運営側の不満の大きな一つだったわけですが、後にサンタ・クララと会場から許可が出なかったことが判明しています。
いわゆる門限も通常22時のところが1時間の延長は認められたものの終了は23時ということで、IORRによると20:52開始の22:57終了とギリギリ(笑)
そうは思いたくありませんが、演奏が速かったのはともかく、ミックのMCが短かったのもこのせいか?
運営側にもうこの会場ではやらないとまで言わしめたのは残念ですが、演奏は素晴らしいものでありました!

ということで素晴らしきサンタ・クララ公演を堪能できるナイスな作品でした!!

 


Aug 2019
SYRACUSE 1994 』 no label (2CD)
aud.recordings@Carrier Dome, Syracuse, NY. Dec.8, 1994

●Disc 1
1. Intro / 2. Not Fade Away / 3. Tumbling Dice / 4. You Got Me Rocking / 5. Shattered / 6. Rocks Off / 7. Sparks Will Fly / 8. Satisfaction / 9. Beast Of Burden / 10. Memory Motel / 11. Doo Doo Doo Doo Doo / 12. Love Is Strong / 13. It's All Over Now / 14. I Go Wild
●Disc 2
1. Miss You / 2. Band Introductions / 3. Honky Tonk Women / 4. Before They Make Me Run / 5. The Worst / 6. Sympathy For The Devil / 7. Monkey Man / 8. Street Fighting Man / 9. Start Me Up / 10. It's Only Rock'n Roll / 11. Brown Sugar / 12. Jumping Jack Flash

94年に始まったVoodoo Lounge北米ツアーから、12/8に開催されたNY州シラキュース公演の新隠密音源が登場。
今作は今年の6月にネットに新公開された隠密音源が元になっており、ミキサー卓の前あたりと思われるエリアでの良好録音。

Voodoo Lounge北米ツアーといえば、11/25のマイアミ公演が当時TV/FM放送され、昨年オフィシャルでもVOODOO LOUNGE UNCUTとしてリリースされたばかりですので、今作はマニア向けではありますが(そもそも隠密ブートという時点でそうですが)、これがなかなかナイス。

さて、このシラキュース公演は、前述した11/25マイアミ公演の後、同じくフロリダ州のゲインズビル、そこから一気に北上してミシガン州デトロイト、そしてカナダはトロントとモントリオールの計3公演を経て、ニューヨーク州北部に戻ってきた公演。
戻ってきたといってもトロントとモントリオールの中間地点よりちょい南ってだけですが。

そんなシラキュース公演ですが、当時The Swingin' Pig(TSP)がHorny Bungle Records(HBR)という変名レーベルでリリースしたTHE SUN, THE MOON AND THE STONES(HBR-002)という作品でブート化されています。
その隠密音源はダイレクト感があって音に広がりがあるのではいいんですが、ミックのヴォーカルがどうにもフィルターがかかったような妙なレンジの音でした。


ちなみにHBR型番の作品は、この002番以降は暫くCD-Rが続いたりとほんとのHBRか怪しく、001と002のみがほんとのHBRではないかと。
その第1作であるHBR-001は83年にリリースされた"Angie"(ニース82)/"Tops"(フィラデルフィア81) 収録の7インチAIN'T IT GOOD TO BE ALIVE?で、こちらにはTSPの協力により作品化されたとあれこれクレジットされています。
ということで変名というよりは、録音者自身がメモリアル的にTSPへ委託したコラボ作品なのかもですが、THE SUN, THE MOON AND THE STONESの場合はレーベル面やジャケ裏にはSWINGIN' PIGとの表記もあり、TSP型番を付与するレベルには至らない変名レーベルだろうと、当時みんなそう認識していました。

 

さて新たな音源の今作はというと、ナチュラルでクリアで各楽器の分離もグッド、でも音の広がりはあまり感じないサウンド。
再生直後は、HBR(TSP)盤はミックのヴォーカルにフィルターがかかったような感じとはいえダイレクト感と広がりはあるし、優劣つけがたいかな?と思ったんですが、聴き進めていくと今作のアドバンテージが明らかに。

既発のHBR(TSP)盤はシラキュース公演の聴きどころの一つでもある"Beast Of Burden"と"Memory Motel"がちょいイマイチ。
ちなみにこの2曲はこのツアーは珍しいわけでもないんですが、"Memory Motel"は8月9月は頻繁に演奏されながらも10月からはちらほらになり、11月はセットリストが判明している公演ではぱったり途絶え、この12/6に久しぶりに登場したのでした。
ちなみにちなみに、このシラキュースの次に登場したのは1995/3/17東京公演であります。

さてその2曲、既発盤であるHBR(TSP)盤の方ですが、"Beast Of Burden"では冒頭でコモったり、ちらほら話し声が入ったり、続く"Memory Motel"でも話し声が入っていて興ざめだったり、曲の中盤にこもって音が引っ込んでしまったり終盤にはまた音色が変わってしまうという大きな欠点がありましたが、今作はそんなことのない、近くには誰もいないかのような安定した録音により、演奏に没頭できます。もうそれだけで諸手をあげて大歓迎です(笑)
HBR盤では他にもそうして音が変わってしまう箇所が散見される一方、今作はこれぞSchoepsマイクの実力なんだという見事なサウンド"
EX-"。
もう少しダイレクトさと広がりがあれば最高でしたが、そこはHBR盤に譲ります。
あと低音が少しビビりを感じるところがありますが、元音源よりは絞って調整されています。

演奏は2年前にリリースされたシアトル94でも感じましたが、マイアミが終わった後の12月のストーンズはさらにいいですね。
キースは風邪のようで、かなり喉がやられてて声がしわがれてますが(笑)
そのキースの声を聴くためにも既発盤は貴重なものでしたが、こうしてまたシラキュース公演を堪能できる音源が公開されて今回の作品が登場したということに感謝であります。

 

BOSTON 1975 2ND NIGHT - JOE MALONEY MASTER 』 no label (2CD)
aud.recordings@Boston Garden, Boston, MA. June 12, 1975

●Disc 1
1. Intro / 2. Honky Tonk Women / 3. All Down The Line / 4. If You Can't Rock Me / 5. Get Off Of My Cloud / 6. Star Star / 7. Gimme Shelter / 8. Ain't Too Proud To Beg / 9. You Gotta Move / 10. You Can't Always Get What You Want / 11. Band Introductions / 12. Happy / 13. Tumbling Dice / 14.
Luxury
●Disc 2
1. Doo Doo Doo Doo Doo / 2. Fingerprint File / 3. Angie / 4. Wild Horses / 5. That's Life / 6. Outa Space / 7. Brown Sugar / 8. Midnight Rambler / 9. It's Only Rock'n Roll / 10. Rip This Joint / 11. Street Fighting Man / 12. Jumping Jack Flash / 13. Closing

続いてボストン2日目。
ボストン2日目はアナログ時代から部分的にブート化されており、CD時代になってからは何かと欠点のあった4公演8CD BoxのTOUR OF THE AMERICAS '75(RS 01-02)がありましたが、同一音源ながら既発で散見された欠点を解消してVGPが2003年にリリースしたBOSTON TEA PARTY(VGP-334)が代表盤でした。
 

そして今回、ボストン初日と同じく今年の8月、KRW_COによってこちらは2つ目となる新音源、Joe Maloney Masterがネットに公開されたのです。

こちら、初日よりも音が近くて輪郭がはっきりしており、一聴して既発よりも聴きやすいと。
ただし既発盤はステレオで音に広がりがあったのに対してこちらはモノラルという違いはありますが、今作はすっきりナチュラルなサウンドでグッド。
両雄並び立たずといわれるものの、どちらもいいぞと嬉しくなる"
very good"。
個人的には"very good+"どころか"EX-"くらいですが(笑)

そしてこれまたインフォによると「半音の20%-35%高いピッチを修正」「低音寄りの音質なのでバランス調整して全体を鮮明にしました」との丁寧なアジャストがなされています。
確かに元音源と聴き比べると断然聴きやすく安定した音になっています。
とはいえピッチはまた既発より微妙ながらも僅かに低く、VGP盤になじんだ耳にはどうにも悩ましかったりもします。

さて、この日はオープニングの"Honky Tonk Women"ではご当地替え歌にはせず、初日ほどのハイパーではない出だしですが、"All Down The Line"の後半からまたもやハイパー・スイッチがON。
続く"If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud"で一気にたたみかけるさまは強烈。
75といえばチャーリーのドラムとオリーE.ブラウンのパーカッションが強烈ですが、このミックのハイパーさはその上を行きます。
さらに飛ばし過ぎたのか、"Tumbling Dice"の構成を間違えるミック(笑)
いやしかしこの2日目は初日よりも音が近い分、よりリアルに聴き取れます。
それにしてもこの音源、ナチュラルでいて音像も大きく、周りもうるさくなく、楽器バランスもよく(たまにおかず楽器が目立ってますが)、75好きの方にはたまらないサウンドです。
また、こちらも"Luxury"をやっているのと、オープニングからエンディングまでしっかり収録されています。
ちなみにその"Luxury"、これは既発盤ではあまり気にしなかった違いでしたが、2日目はビリー・プレストンの音量を少し絞ったのかもです(笑)
このJoe Maloney音源ではあまりに初日のビリーがでかく、これはこのJoe Maloneyの初日と2日目のポジションの違いというのもあるんでしょうが、それほど気に留めなかった既発盤でも今回聴き比べてみると2日目の方が絞られているような。
うん、こっちの方がいい(笑)

なお、この2日目は"You Can't Always What You Want"の9:14辺りから10秒ほど、"Wild Horses"終了後のMCの間8秒ほどの2箇所がテープチェンジにより欠けています。
これらは元音源のインフォからもどの曲にカットがあるのかは読み取れますが、普通に聴いていれば気づかないものですし、おそらくあえて補填はしなかったのかと。

ということでボストン2日目も、新たに世に出たJoe Maloney音源がこうして丁寧にブラッシュアップされてプレスCD化されて嬉しい作品でありました!
 

 

BOSTON 1975 1ST NIGHT - JOE MALONEY MASTER 』 no label (2CD)
aud.recordings@Boston Garden, Boston, MA. June 11, 1975

●Disc 1
1. Intro / 2. Honky Tonk Women / 3. All Down The Line / 4. If You Can't Rock Me / 5. Get Off Of My Cloud / 6. Star Star / 7. Gimme Shelter / 8. Ain't Too Proud To Beg / 9. You Gotta Move / 10. You Can't Always Get What You Want / 11. Happy / 12. Tumbling Dice / 13.
Luxury
●Disc 2
1. Band Introductions / 2. Doo Doo Doo Doo Doo / 3. Fingerprint File / 4. Angie / 5. Wild Horses / 6. That's Life / 7. Outa Space / 8. Brown Sugar / 9. Midnight Rambler / 10. It's Only Rock'n Roll / 11. Rip This Joint / 12. Street Fighting Man / 13. Jumping Jack Flash / 14. Closing

70年代のボストンといえば、72年のフランク・リッチ巡査による拘留と警察車両の行列で会場入りという交流騒ぎやフレディ・セスラーとの出会いが有名ではありますが、75年も凄まじい演奏を繰り広げています。

その75年ボストンでは6/11と6/12の2公演が開催されましたが、その初日の6/11は1998年にリリースされたLUXURY IN BOSTON(VGP-190)、そして2003年にリリースされたBOSTON TEA PARTY(VGP-334)、この2つに代表される2種類の隠密音源が知られていました。
  

前者のLUXURY IN BOSTONは音が近いながらも、"Happy"でのヨレや右chのうねりなどちょっと不安定なところがあり、さらにうまい繋ぎがされていて気づきにくいですが"You Can't Always-"のラス前のいいところが実は欠落していたり、"That's Life"の最後の最後で切れてしまい、"Outa Space"丸々と"JJF"の最後の最後は音質の劣る別公演に切り替わってしまうという欠点がありました。
一方、後者のBOSTON TEA PARTYは音は遠くてエコーも感じ、特に後半では厳しくなるものの、前者には未収録だったオープニングも収録され、"Tumbling Dice"のイントロ以外はカットがないという隠密音源でした。

ということでしたが、今年の8月、KRW_COによって第3の音源、Joe Maloney Masterがネットに公開されたのです。
こちらは前者2つの様なステレオ録音ではなくモノラル録音で、音の感じは2つの中間といった感じで、LUXURY IN BOSTONほど音は近くないものの、BOSTON TEA PARTYよりは近くてエコーでぼけた感じはありません。
音質はコモってたり逆にヒスノイズが目立つということもないナチュラルなサウンド。
とはいえ距離感があり、モノラルでまとまった音なので"
very good-"程度ではありますが、周りもうるさくもなく安定して聴いていられる良好音源。
そしてインフォによると、公開された音源に対して「半音の10%-30%高いピッチを修正」「低音が唸っているので、調整して全体の輪郭を出しました」「テープA/B/D面が右寄りのバランスなのでなるべくセンターに調整しました」という丁寧な補正がなされています。
ただ、既発のVGP盤よりは僅かにピッチが下がっていて、個人的にはVGP盤の音に慣れているので、どちらが正しいのかというのは悩みどころではあります。

ということで、LUXURY IN BOSTONほどの音の近さはなく、75の他公演の高音質隠密盤に比べると2ランクは落ちるものの、安定した録音で安心して聴けるうえに、ボストンでの熱い演奏を堪能することができます。

さてこのボストン初日、ところどころでハイパーなストーンズを堪能することができます。
冒頭からミックが飛ばしてます。いや、飛んでます(笑)
オープニングの"Honky Tonk Women"の2番ではボストンと言い換えた上に、かなりメロディーラインとは外した調子で歌うミックに観客も沸いています。
そして"Get Off Of My Cloud"のハイパーなストーンズがたまりません。
いやしかしはい、ミックが飛んでます。
特に冒頭から中盤にかけてがすさまじく、その反動なのか中盤、そして"Brown Sugar"もずいぶん淡白な。
しかーし、"Midnight Rambler"のブレイク後、歌詞にボストンが登場してからまたやや狂暴に。
でもナチュラルな音質ということもありあまり目立たず、やはりハイライトは前半です(笑)
そしてボストンは両日ともですが、ツアー前半のみだった"Luxury"をやってるところもポイント。
ただこの"Luxury"、既発盤よりもずいぶんビリー・プレストンが目立って聴こえます(笑)

ちなみにおおむね周りは静かながらも、"Star Star"で急に観客がわくところがあります。
はい、そこでアレが登場したってことですね(笑)

なお、"You Can't Always What You Want"の7:47で一瞬音飛びのようになり、既発盤と聴き比べるとそこで16秒間の欠落があることがわかりますが、『LUXURY IN BOSTON』も前述のとおりその後のラス前のパートのいいとこがかなり欠落してるってことに今回気づきました。
また、"Wild Horses"終了後のMCを含む10秒ほど、そして"Rip This Joint"のイントロ、これらは普通に聴いていれば気づきませんが冒頭8秒ほどがテープチェンジにより欠けています。
となるとLUXURY IN BOSTONをベースに、これらの欠落部や不安定なところをこのJoe Maloney音源に差し替えれば最強のボストン初日が完成しそうな気がしないでもありませんが、言われなければ気づかないものですし、こうして単一音源で安心して聴いていられるのもいいところ。

ということで新たな第3の音源、堪能いたしました!
 

 

TOKYO DOME 1990 1ST NIGHT 』 no label (2CD)
aud.recordings@Tokyo Dome, Tokyo, Japan. Feb.14, 1990

●Disc 1
1. Continental Drift / 2. Start Me Up / 3. Bitch / 4. Sad Sad Sad / 5. Harlem Shuffle / 6. Tumbling Dice / 7. Miss You / 8. Ruby Tuesday / 9. Play With Fire / 10. Rock And A Hard Place / 11. Mixed Emotions / 12. Honky Tonk Women / 13. Midnight Rambler
●Disc 2
1. You Can't Always Get What You Want / 2. Can't Be Seen / 3. Happy / 4. Paint It Black / 5. 2000 Light Years From Home / 6. Sympathy For The Devil / 7. Gimme Shelter / 8. Band Introductions / 9. It's Only Rock'n Roll / 10. Brown Sugar / 11. Satisfaction / 12. Jumping Jack Flash

ぜに今?と驚いた初来日初日がリリース。

ストーンズ来日公演の歴史的な初日である1990/2/14公演を収録した既発作品は、リリース順に以下のとおり。

A: THE FIRST NIGHT(Out Of Control Records) - 2003年5月リリース。Licks来日公演Complete Boxのボーナスディスク。
B:
STEEL WHEELS JAPAN TOUR 1990(VGP-346) - 2003年9月リリース。1990/2/14,16,17公演 6CD。
C:
DOME ON WHEELS(no label) - 2010年6月リリース。1990/2/14,17,20公演 6CD。
D:
DOME ON WHEELS(no label) - 2015年4月リリース。1990/2/14,17,20,26公演 8CD。「C」のリマスター音源。

           

音質もリリース順のとおり、総じて A<B<C<D という感じ。
詳しくは1990日本公演コーナーとそれぞれの新着で紹介してますので省きますが、やはり2015年のDOME ON WHEELSが一番かと。

そして今回、既発とはまた異なる新マスターが発掘されてリリース。
距離感があってドーム特有の輪郭がソフトでややマイルドな音ですが、カセット録音にしてはミックはよく聴こえ、会場を包み込む歓声が周りから漂い、ドーム内の空気が感じられる"
good+very good"。
今回の作品を上記に次ぐ「E」とすると、音質はBと同等程度で A<B=E<C<D といった感じで、Bよりはマイルドな分、シャープなBが好みかマイルドなEが好みかでBとEが入れ替わるという感じ。
また、曲間以外にはカットもなく、終演後のアナウンスまでもしっかり収録されているというのはポイント高し。

ということで極々簡単に紹介すると、初来日公演初日の音でどれか一つとなるとやはりCやDがお勧めですが、今回の作品は歴史的初日の音ならすべて聴いてみたいというストーンズ愛に溢れるファン向けといったところも。
しかーし、他の公演ならいざ知らず、歴史的な初日の新マスターをきちんとプレスCDに仕上げてリリースしてくれるというのは、マニアには嬉しいリリース。
そしてリリースから1週間限定というボーナスDVDRがまた楽しい。これはナイスなボーナスでした!!

 

HOUSTON 2019 』 no label (2CD)
aud.recordings@NRG Stadium, Houston, TX. Jul.27, 2019

●Disc 1
1. Intro / 2. Jumping Jack Flash 3. Let's Spend The Night Together / 4. Tumbling Dice / 5.
Out Of Control / 6. Doo Doo Doo Doo Doo / 7. You Can't Always Get What You Want / 8. B-stage S.E. / 9. Sweet Virginia / 10. Dead Flowers / 11. Sympathy For The Devil / 12. Honky Tonk Women / 13. Band Introductions / 14. Slipping Away / 15. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2. Midnight Rambler / 3. Paint It Black / 4. Start Me Up / 5. Brown Sugar / 6. Gimme Shelter / 7. Satisfaction

No Filter 2019ツアー9公演目のテキサスはヒューストンが登場。
先週紹介したフィラデルフィアに次ぐ公演で、公演日は7月27日ということで、前日に誕生日を迎えたミック、76歳初のステージであります!

会場はNRGスタジアム。ストーンズ・マニアにはよく知られたあのアストロドームの真横に立つスタジアムです。
ミックのMCによると2003年にここで初めてコンサートをやったバンドがストーンズ、そして翌年のスーパーボウルではあのジャネット・ジャクソン事件が起こった、旧名リライアント・スタジアムです(笑)

これまたネットに公開された音が元になっていますが、これまたイコライジングによって元音源を聴かれた方は驚くほどの大きな向上を遂げています。
元音源ではぼやけていたヴォーカルと演奏がグっとクリアになり、スタジアムの雰囲気を閉じこめたようなクリアでいてエコーのきいた温かいサウンド。

録音ポジションはロニー側ピットのすぐ後ろのシーティング・エリアですが、この会場では空調をきかすために天井の屋根が閉められていたこともあって、元音源ではエコーがかなり強く演奏の輪郭もかなり甘くなってしまってました。
元はそんなサウンドでしたが、さすがです。見事に演奏を浮かび上がらせています。
とはいえやはりエコーは漂っていて演奏のフォーカスはややソフトなので、クリアネスを誇る隠密とは趣が全く異なりますが、音の抜けは向上し、そのエコーに身をゆだねるとかなり楽しめる隠密であります。
ごくたまに観客の口笛や声が入ったりしますが、ステージからちょっと離れてビールを片手にゆったり観ている気分。
あの元音源をよくぞここまで向上させてプレス化してくれましたの、"
EX-"〜"very good+"であります。

さてこの日のオープニングは"JJF"。
ということで"SFM"が外れて1曲レア曲枠ができるわけですが、その枠に登場したのは、2016年のLatina Oleツアーではほぼ毎回やっていましたが本ツアー初登場、2年ぶりとなる"Out Of Control"。
レア曲枠にはもっと60〜70年代の曲をと思うところですが、これがいい。ミックの声がほんとよく出てる。
2年前のNo Filter 2017のオープニング2公演のハンブルグとミュンヘンより抑揚がきいていて断然いい。
1番の"I was drinking again"のあと、"I was standing by the bridges"の間に入るハミングがカットされたショート・バージョンになっているのも間延びさせずにシャープな演奏をみせた秘訣かと。

しかしこの"ショート・バージョン"が期せずして続くことになります(笑)
続くvoteで登場したのは"Doo Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)"!
これまた2年ぶり、2017年のコペンハーゲン以来の登場ですが、いまのミックが(この日はやってませんが)"It's Only Rock'n Roll"で心臓にペンとか、"Heartbreaker"で心臓に弾丸とか、それこそ心臓に悪いですがミックはなんのその(笑)
演奏はまぁチャック主導なので骨格自体はしっかりしてるのですが、ミックの"in a case of mistaken identity"の入り方がちょっと違うよなぁ〜とか思って聴いてると、ロニーがやらかしてくれます(笑)
インフォにあるとおり、本来ならばコーラスのハミングの後に弾き始めるギターソロをハミングと同時に始めてしまい、おかげでこれまた期せずしてショート・バージョンに(笑)
まぁそれでも何事もなかったように演奏するバンドもさすがであります。
でも続く"You Can't Always Get What You Want"ではリプライズ付きで長めにサービス(笑)

さてBステージ。
ここは"Sweet Virginia"に"Dead Flowers"という鉄板の2曲。
「僕たちは"Sweet Texas"って曲はやってないんだけど、"Sweet Virginia"ってのがあるんだ」と、なんてベタな(笑)
ここでのロニーのいつもと違ったテイストがちょっといい感じ。

さてさてちょいと端折りますが、"Honky Tonk Women"では冒頭のメンフィスをテキサスと替えて歌って観客をわかせるミック。
テキサスの女といえばジェリー・ホールですが、それはおいといて(笑)
いやしかしこの曲のキースがいいのであります。悪魔のソロではつんのめるところがありましたが、続けてのこの曲で爆発であります(笑)

そしてバンド紹介前の恒例のローカルネタ。
"Mutton Busting(子供用の羊のロデオ)に行ったんだよ、なんてね(笑)みんながやってるもんだと思ったよ。昨日の夜はそこでチップスとチーズ、それにローンスタービールとマルガリータでお祝いしたんだよ"といったようなことを言ってまた盛り上げております(笑)

そしてメンバー紹介を経てキース・コーナー。
ここでキース、前日に誕生日を迎えたミックにお祝いをと!
そこで一度引っ込んだミックがまた登場。キース・コーナーということでHappy Birthday大合唱とはいきませんでしたが、唄ってるお客さんも楽しそうです。
いやぁ〜このキースが"Mr.Jagger"にお祝いをと言ってミックを祝うところをしっかり聴けるだけでも貴重な音源であります(笑)

そして"Midnight Rambler"、これがまたいい。
テキサスといえば数々のライヴ映像・音源が収録された地。熱くさせる何かあるんでしょう。
ここでの挿入歌はヘルハウンドですが、そこからさらにパワフルに立ち上がるさまはとてもオリジナル・メンバー3人が75歳を超えてるとは思えない熱い演奏。
その"Midnight Rambler"からの"Paint It, Black"に"Start Me Up"。
これがもう地獄の番犬に地獄の底にひきずりこまれそうになりながらも踏みとどまった天使が完全に堕天することなく地獄から舞い戻り、雲の頂きにのぼりつめ、いと高き者のようになったかのような。
はい、わけもわからぬ感動を覚えます(笑)

そんなこんなでヒューストン、やはりテキサスは熱かった!
もう少しシャープなダイレクト感のある音でも聴いてみたいとは思うものの、この会場の空気感あふれる温かいサウンドもナイスな、ミックお祝いのライヴでありました!
 

 

PHILADELPHIA 2019 』 no label (2CD)
aud. recordings@Lincoln Financial Field, Philadelphia, PA. Jul.23, 2019

●Disc 1
1. Intro / 2. Street Fighting Man / 3.
You Got Me Rocking / 4. Tumbling Dice / 5. Bitch / 6. You Can't Always Get What You Want / 7. B-stage S.E. / 8. Angie / 9. Dead Flowers / 10. Sympathy For The Devil / 11. Honky Tonk Women / 12. Band Introductions / 13. Slipping Away / 14. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2. Midnight Rambler / 3. Paint It Black / 4. Gimme Shelter / 5. Start Me Up / 6. Jumping Jack Flash / 7. Brown Sugar / 8. Satisfaction

No Filter 2019ツアー8公演目のフィラデルフィアが登場。

こちら、ネットに公開された音源が元になっていますが、その元音源はどうにももっさりもやぁ〜っとした音でダイレクト感なぞさっぱりな音源でしたが、これがそれと同じ音かというほど見事に生まれ変わったキレッキレのサウンド!
元音源をちょこっと聴いてあまり期待できないんじゃないかと思っていただけに、これは嬉しい誤算(笑)

定位はフラフラ動くわけではないものの、しばらく左とか右になったりしたり、後半は雨と風の影響でノイズが入っていたり、たまに周りの声が邪魔なところもありますが、なんのなんの!!
なんだこの元音源とは比べ物にならないクリアなサウンドは!!と。
ちょっと高音が強めですが、単純ドンシャリなイコライジングではなく、聴いていてほんとスカッとするナイスな"
EX"隠密!

そしてフィリー、演奏も素晴らしい!
"Street Figting Man"のイントロからしてシャープで、"You Got Me Rocking"にVoteが"Bitch"というのは選曲的にはあまりおいしくない微妙なところですが、冒頭にこれらが入ったせいでキースに最初から"やる気"がみなぎるキレッキレであります。

Bステージに移動すると、「ここが50ヤードラインあたりかな。フィラデルフィア・イーグルスのジェイク・エリオットがフィールドゴールを決めたところだね」とお馴染みのNFLネタのリップサービス。これがやっぱ受ける(笑)
いやしかしこうして聴く"Angie"もいい。しかし"Dead Flowers"ではほんとキース弾いてないのねと(笑)

バンド紹介前には「ジャガーズのジャクソンビルスタジアムから来たんだよ」でまたもブーイングを楽しむミック(笑)
でも今年3月にそのジャガーズに移籍した、イーグルスに二度在籍して昨年のスーパーボウルMVPとなったニック・フォールズは地元でも愛されているようで、「ニック・フォールズがよろしくって言ってたよ」でわいてます。うまい。
あと餃子の王将vs大阪王将というか、地元フィリー東部に愛されるコンビニWawaと宿敵の西部Sheetzをもじって、「Wawaにホーギー(サンドイッチ)を買いに行ったら(ここで大うけ)、くぼみにハマっちゃったよ。でもチャーリーはSheetzで買ったから大丈夫だったよ(またブーイング・笑))」。
そういう対立構図をbangatkanagawaさんに教えていただき、なんのこっちゃと Wawa vs Sheetz ってググったらそのライバル関係ったらめっちゃ面白かったです(笑)
そしてそういう地元ネタをうまく拾うミック。誰が考えてるのか、今回のツアーではほんとうまいですね。

さてキース・コーナー。
"Slipping Away"はそつなく終わるものの、"Before They Make Me Run"、イントロでちょっと外しながらも熱唱キース。
この日のキースはほんとに調子がいいのが伝わってくる熱演。

そのキースの気合は"Midnight Rambler"での刻みからも伝わってきます。
凄いぞキース。しつこいですが、この演奏をこのサウンドで聴けるのは幸せ。
YouTubeで映像を見てみると、雨が降ってきて最初はフード付きのジャンパーをかぶっていながらもBステでジャンパーを振り回して脱ぎ捨て、雨の中Bステマイクでハープを吹くミック!
挿入歌で"Walkin' Blues"を歌いながらメインステージに戻ってからのキースとのアイコンタクトが微笑ましいミック。
これは映像観たらすごいですが、その熱演をこのサウンドで楽しめるのは幸せ(しつこい・笑)。
いやいやついついYouTubeに見入ってしまいましたが、CDとシンクロさせながら楽しむのも一興です(笑)

ちなみにこのフィラデルフィアとその前のジャクソンビルでは、"Gimme Shelter"がアンコール一発目ではなく本編後半に組み込まれていて、アンコール2曲は"Brown Sugar"と"Satisfaction"。
この激しい2曲を続けてやって終わるのはやはりきついのか、この構成はこの2公演のみの試みでしたが、この日のラスト"Satisfaction"はこれまた熱い!
ミックも凄いがすげーぞキース!!

ということで、2019でも屈指の演奏をみせたフィリーを素晴らしい音で堪能出来るナイスな隠密でありました!

 

1969 』 no label (1CD)
SB recordings@1969 US Tour+

1. Introduction / 2. Jumping Jack Flash / 3. Carol / 4. Stray Cat Blues / 5. Love In Vain / 6. Prodigal Son - You Gotta Move / 7. Under My Thumb - I'm Free / 8. Gimme Shelter / 9. Little Queenie / 10. Satisfaction / 11. Honky Tonk Women / 12. Street Fighting Man
- Bonus Tracks -
13. Jumping Jack Flash / 14. Carol / 15. Satisfaction / 16. Syampathy For The Devil / 17. Little Queenie / 18. Stray Cat Blues

ありそうでなかった1969年USツアーからのSBライヴ集。

このツアーからはライヴ盤GET YER YA-YA'S OUT!と映画GIMME SHELTERがオフィシャル・リリースされていますが、本作はGET YER YA-YA'S OUT!DX盤ボーナスDVDとCD、GIMME SHELTERDVDの本編やそのボーナス映像、さらに古のブートたるScorpioのA SHOT OF SALVATION(OM 90-64-17)に収録されていた別ミックスのアウトテイクを左右のchを逆転させて正しいchにしたもの、これらを必要に応じてピッチ補正も施されたものにより構成された第三のライヴアルバムとなっています。
ちなみに第三のとは本作のインフォからですが、一つは隠密の雄LIVE IN OAKLAND 1969、もう一つはサウンドボードの雄GET YER YA-YA'S OUT! COMPLETE EDITIONのこと。

そうした寄せ集めではありますが、素材が素材だけにサウンドは極上で、本編ではtrk.3の"Carol"と、trk.9の"Little Queenie"のみ定位がちょい左に寄ってステレオ感が狭まり、特に後者はベースが出過ぎてたりしますが、極上の"
EX"を誇るサウンド。
なお、映画GIMME SHELTERのオーディオトラックはTHERE'S NO ANGEL BORN IN HELL(TSP-CD-028)などでブート化されていますが、今回のようにその後リリースされたボートラなどをこうしてまとめられたのは初めて。

また、GET YER YA-YA'S OUT!には多くのオーバーダビングが施されていましたが、映画GIMME SHELTERにはオーバーダビングは施されていないことから、本作では後述する1曲を除いてオーバーダビングの施されていない69USツアーの演奏を高音質で堪能できるようになっていてナイス。
なお、アセテート落としのGET YOUR  YA-YAS OUT!(RS-APPLE PROMO)やFUCK YER YA-YA'S OUT!(VGP-160)とも全く異なる中身であるために、アセテートノイズが聴こえることもありません。
ということでこれかなりナイス。まぁもう300枚を突破してるようなので、改めて紹介など不要かもかもですが(笑)

なお、trk.4の"Stray Cat Blues"は2002年リリースのSACDGET YER YA-YA'S OUT!ドイツ盤に誤って収録されたイントロが短いテイク。
これはディスクのクレジットがMade in Germany 18771-9005-2というSACDのみに収録された、イントロでドラムが入ってから歌に入るまでの2小節が抜け落ちてるというショートバージョン。
この曲のみオーバーダビングがなされたテイクとなりますが、そのドイツ盤を探しまくってようやくゲットしながらも2回ほどしか聴いてなかったことが思い出されました(笑)

そして本作にはボートラとして、VHSのGIMME SHELTERのみに収録されていた"Carol"や、US TV 素材などが収録されているのもナイス。
trk.13のサヴィル・シアターはGATHER NO MOSS(WKP-0032)やScorpioのSECRETS TRAVEL FAST(STF 1970 1 / RS-13037)、さらに4REELのDVDBIG COCKSUCKER BLUESなどでお馴染みのロンドン凱旋公演のSB音源からですが、ハイテンションのストーンズを堪能できます。

この第三のライヴアルバムは、映画GIMME SHELTERでは完全収録ではなかったためにコンセプトから外れた"Sympathy For The Devil"が本編には収録されておらず、代わりにツアー前半と後半のみ登場した"Gimme Shelter"が映画GIMME SHELTERから挿入されていますが、その"Syampathy For The Devil"もこのボートラにデトロイト公演のものが収録されています。
そのデトロイト公演のTV素材はWeeping GoatのHAWAIIAN TOP(WG-025-026)などなどに収録されていたものですが、こうして聴くのも久しぶり。

なお、trk.10の"Satisfaction"はクレジットされている11/28 1stショーではなく、11/27が正解ですね。


↓各曲のクレジットはインフォからの抜粋。trk.10の"Satisfaction"の日付を修正しています。

1. Introduction (Madison Square Garden, New York 28th November (1st Show))
--->GIMME SHELTER

2. Jumping Jack Flash (Madison Square Garden, New York 28th November (1st Show))
--->GIMME SHELTER

3. Carol (Madison Square Garden, New York 28th November (2nd show))
---> DVDGIMME SHELTERbonus track

4. Stray Cat Blues (Madison Square Garden, New York 28th November (1st Show))
--->GET YER YA-YA'S OUT!German first press - mistaken shortened track

5. Love In Vain (Civic Center, Baltimore 26th November)
--->GET YER YA-YA'S OUT!rough mix ★左右逆転させてピッチが速いので修正

6. Prodigal Son - You Gotta Move (Madison Square Garden, New York 27th November)
--->GET YER YA-YA'S OUT!DX - bonus DVD ★ピッチが遅いので修正

7. Under My Thumb - I'm Free (Madison Square Garden, New York 28th November (1st Show))
--->GET YER YA-YA'S OUT!DX - bonus DVD

8. Gimme Shelter (Altamont Speedway, Livermore 6th December)
--->GIMME SHELTER ★ピッチが速いので修正

- ★歓声継ぎ足し -

9. Little Queenie (Madison Square Garden, New York 28th November (1st Show))
---> DVDGIMME SHELTERbonus track

- ★歓声継ぎ足し -

10. Satisfaction (Madison Square Garden, New York 27th November)
--->GET YER YA-YA'S OUT!DX - bonus DVD

11. Honky Tonk Women (Madison Square Garden, New York 27th & 28th November (2nd Show))
--->GIMME SHELTER

12. Street Fighting Man (Madison Square Garden, New York 28th November (1st Show))
--->GET YER YA-YA'S OUT!Outtake ★左右を逆転

- Bonus Tracks -

13. Jumping Jack Flash (Saville Theatre, London 14th December (2nd Show))
---> US TV 素材

14. Carol (Madison Square Garden, New York 28th November (1st Show))
---> VHSGIMME SHELTERbonus track

15. Satisfaction (Madison Square Garden, New York 28th November (1st & 2nd Show))
--->GIMME SHELTER

16. Syampathy For The Devil (Olympia Stadium, Detroit 24th November) 
---> US TV 素材

17. Little Queenie (Olympia Stadium, Detroit 24th November)
---> US TV 素材

18. Stray Cat Blues (Olympia Stadium, Detroit 24th November)
---> US TV 素材

ということで第三のライヴアルバム、かなりいけてます。
ただし、この1969というタイトルはもう少し何とかならなかったのかと思わないでもありません(笑)


 July 2019
FOXBOROUGH 2019 』 no label (2CD)
aud. recordings@Gillette Stadium, Foxborough, MA. Jul.7, 2019

●Disc 1
1. Intro. / 2. Street Fighting Man / 3. It's Only Rock'n Roll / 4. Tumbling Dice / 5.
She's So Cold / 6. Ride 'Em On Down (with Gary Clark Jr.) / 7. B-stage S.E. / 8. Play With Fire / 9. Dead Flowers / 10. Sympathy For The Devil / 11. You Can't Always Get What You Want / 12. Honky Tonk Women / 13. Band Introductions / 14. Slipping Away / 15. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2. Paint It Black / 3.
Midnight Rambler / 4. Start Me Up / 5. Jumping Jack Flash / 6. Brown Sugar / 7. Gimme Shelter / 8. Satisfaction

No Filter 2019ツアー開幕の地シカゴでの2公演の後、カナダのバールズクリークとワシントン公演の2公演を経てのツアー5公演目、ボストン近郊のフォックスボロ公演。

こちらはなんとLHがテーパーから直接入手した独自音源とのこと。
昨今の隠密音源ものはネットに出回っているものが元音源というのが多い一方、最近はYouTubeやらに映像はいっぱい出回りながら良質な隠密音源がネットにあまり出回らなくなってきて寂しいところでもあったんですが、これはネットに一切出回っていない独自音源という昔ながらのスタイル。

インフォによるとこちらはアリーナ最前部キース側のピット2からの録音とか。
マイクの前を遮るものがあるのか、ちょっと薄皮一枚被ったような、音が上を通過していくような感じがするところもありますが、中低音域に迫力があって臨場感もあるというサウンド。
ピットということで、わずかに音が揺れるところがあったりしますが、全く問題なし。
周りの歓声はところどころ拾っていますが、うるさいほどではなく、観客の高齢化もあって邪魔な手拍子がないのが嬉しいナイスな"
EX-"〜"EX"なサウンド。

この日のオープニングは"Street Fighting Man"。
キースのギターと共に湧き上がる歓声にこれぞ隠密と感激しつつ、この日はミックのヴォーカルの張りがいい!!
こりゃいいぞと演奏が進み、"LSTNT"の替わりに入った"IORR"を終えてミックが"ハローボストン〜"へは大歓声。
続いて「(自らの事情で)日程変更になってしまったけどこうして来場してくれてありがとう」との謝辞に暖かい歓声で応える観客。
こういうのいいですね〜。

そういえばこの日のミックはレザージャケットもその下のシャツも黒と黄色。
この色ってこの会場が本拠地のNFLペイトリオッツでもMLSレボリューションでもないなと思ったら、bangatkanagawaさんから、アイスホッケーNHLのボストン・ブルーインズのカラーでしょうかと、2013年50&Countingツアーのボストン公演では背番号50のユニフォームをプレゼントされていたミックの写真を。
なるほどぉ〜!!もしかしたらそのお返しかもと思うと勝手な妄想ながらほっこり。bangatkanagawaさん、ありがとうございました!

さて、フォックスボロの目玉はまずはVoteで選ばれた"She's So Cold"。
2017年No Filter最終公演のパリ以来で、現時点では今年唯一の演奏。
それにしても驚くのはこの演奏。No Filter 2017のパリよりはほんの僅かに遅いものの、同じツアーでその3つ前にやったアーネム公演より速い。
まぁ速けりゃいいってわけじゃありませんが、ミックとキースともに75歳、チャーリーにいたっては78歳、しかもミックは心臓手術も経た直後とは思えないこの演奏に胸と目頭が熱くなります。
YouTubeをいくつか見てみると、ミックもあまりプロンプターに頼らず思いっきり歌えているのがいい。
キースはチャーリーの前からほとんど動いていませんが、真摯にリフと向き合い、ロックンロールの真髄はいまも作り上げられているんだと、その現役イズムに感激です。
わびさびじゃない、老練ロックンロールはココにある。

続くはオープニングアクトを務めたガリー・クラークJrを交えた"Ride 'Em On Down"。
前半ではなぜかこの曲でのガリーのギターが一番クリアでラウドという不思議なサウンドですが、会場ではこうだったんですね。
この"Ride 'Em On Down"がまた素晴らしい。この曲にガリーを起用したのはナイス。
ちなみにセットリストが20曲だったのは今のところこの日が最後で、その後は19曲に減ってしまいます。

そしてBステージでは"Play With Fire"。
これがちょっと頼りないとっちらかった感じで始まりますが、ピットではそもそもあんま感激してないようで、テーパー周辺ではおしゃべりがちらほら(笑)
でも続く"Dead Flowers"ではかなり盛り上がってるのが伝わってきます。
ちなみに演奏が終わってキャットウォークを歩いてメインスター時に戻るキースとロニーに声をかけてる歓声が間近に聞こえるところがありますが、YouTubeでその悪魔のイントロが流れ出す直前でのキースとロニーの位置を確認すると、録音位置はピット後方エリアだったと思われます。
しかしこのBステで体勢も変わったのか、ここから音はよくなって、、、と思ったらキースのソロでまたちょいと音に薄皮がかかっちゃうんですが、気になるほどではありません。
ちなみにこの薄皮の感覚ですが、たまにスカッと開けるところもあるので、スピーカーとの間を前の観客にさえぎられているのかもしれません。

それにしてもフォックスボロというかボストン、それまでのBステ前での演奏からこの日だけはBステおよび悪魔の後に下がった"You Can't Always-"では、しっかりチェリーレッドにみんなで反応したり、一緒にコーラスを歌ったり、いい雰囲気ですね〜。いやしかしミックの調子がいい。

そしてミックはまたご機嫌で、3日前の独立記念日について「みんな素敵な休みを過ごしたかい」と言った後、「英国人にとっては厄介な日だったよ。大統領がとてもいいスピーチをしたからね」と。
これはトランプ大統領が独立記念日の演説で"英国軍が空から押し寄せたが、米大陸軍は防御を固めて空港を占拠した"という誤った歴史解釈をスピーチしたことへの皮肉(笑)
独立戦争時代にはまだ飛行機は存在すらしていないので、ミックは続けて「もし英国が空港を支配し続けていたら、世界は今とは全く異なったものになっていただろう」と。さすがミック(笑)

続けてニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック、エアロスミス、ベン・アフレック、ベティ・デイビスなどみんなボストン出身だと持ち上げまくった後、メンバー紹介へ。
でもメンバー紹介でチャックをオン・ザ・ベースと紹介してしまい、「ごめんよチャック、もちろん彼はアコーディオンさ!」とか言ってすべってます(笑)
ちなみにその後紹介されたダリルはそれをうけて鍵盤を弾く仕草、エアキーボードをしてるのがYouTubeで確認できます(笑)

と、このペースで書くと長くなりすぎるのでちょいと飛ばしますが、この日の目玉は何といっても"Midnight Rambler"。
今ツアーでの"Midnight Rambler"といえば、ツアー2日目のシカゴでの"Paint It Black"なのに"Midnight Rambler"弾き始めちゃった事件が鮮烈ですが、ここでまた。

演奏開始から7分が経ち、ミックが"I got to keep movin'. Blues fallin' down like hail"とヘルハウンドを挿入しながら、いよいよ"Well, you heard about the Boston"のブレイクをやろうかというまさにその時、キースがまさかのやり直しなのかという曲の冒頭フレーズを弾くという大ボケをかましてくれます(笑)
これはボストン近郊ということで興奮して待つ観客に煽られて、キース、ちょいと飛んじゃったのか?(爆)
それともヘルハウンドにやられたのか??大丈夫か?
YouTubeの映像を見てみると"Well, you heard about the Boston"直後の一発をキースが弾いていないことや、その後にキースが気づいて照れ隠しをしまくってる表情からは、とても意図的なものだったとは思えません。逆に、あれ?みんなついてこないぞ?とか思いつつも、堂々としれっと止めるキースがいけてます(笑)
いや、これは意図的なものだという見方もありますが、わたしはそうじゃないと思います(笑)
しかしそんなキースのやんちゃにも落ち着いて対応するミック、さすがです(笑)

この迷演が聴けるだけでもこの盤は大いに価値あり(笑)
そんなわけで、独自かつ素晴らしい音源で名演かつ迷演が楽しめるナイスな作品でした!! 

 

NO FILTER IN CHICAGO 2ND NIGHT 』 XAVEL SMS-206 (2CD)
Multiple Stereo IEM Sources Matrix recordings@Soldier Field, Chicago, IL. Jun.25, 2019
   
●Disc 1
1. Opening / 02. Jumpin' Jack Flash / 3. It's Only Rock'n' Roll (But I Like It) / 4. Tumbling Dice / 5.
Bitch / 6. Ride 'Em On Down / 7. Monkey Man / 8. You Can't Always Get What You Want / 9. Play With Fire / 10. Sweet Virginia / 11. Sympathy For The Devil / 12. Honky Tonk Women  
●Disc 2
1. Band Introductions / 2. Slipping Away / 3. Before They Make Me Run / 4. Miss You / 5. Paint It Black / 6. Midnight Rambler / 7. Start Me Up / 8. Brown Sugar / 9. Gimme Shelter / 10. (I Can't Get No) Satisfaction

XAVELオリジナルIEMマスターによるシカゴ2日目。

インフォからも初日よりも素晴らしい作品かと思って再生すると、、、
ミックのヴォーカルは初日よりノイズレスでクリアなようですが、キース、そしてロニーのギターがちょっと引っ込んでるような気も。
と思って聴き比べるとだんだん同じように聴こえてきたので、気のせいだったのかも?
でもそうした感覚って実は重要で、初日よりもいいかというとそういうわけでもないんだろうと。

まぁ何が悪いってわけでもないんですが、やはり臨場感の希薄さがそう感じさせるんでしょう。
ちなみに個人的にはもう少しキースのギターをでかくして欲しいところ(笑)

ということで一度聴いた限りでは初日よりもというのは特に感じませんでしたが、聴き進めると初日と同様、左右にきっちりセパレートされたギターを堪能できるという素晴らしい作品だと。
こうして各楽器がセパレートされたサウンドは、サウンドボード音源の流出などがない限り、こうしたIEMでしか味わうことはできません。
曲によってはキースの手数が減ってるのもよくわかってしまいますが、ストーンズ・ファンのギタリストにはなおさら楽しめるサウンドかと。
ということでこちらも"
EX"サウンドであります。

また、Bステージのサウンドは隠密音源とは違って、Bステにいる4人以外の音も初日よりも拾ってて面白い。
会場での出音は隠密音源の方でしょうが、こっちの音こそがストーンズが志向しているサウンドなのかもしれません。
そしてミックが曲間でメンバーと小声で話す声などもしっかり拾ってるのが面白いところ。
また、全体的にベースは初日よりも少しONになっています。
そして出しゃばる楽器がないこの見事なバランスはさすがはXAVELという素晴らしい作品に仕上がっています。

でもこれまた隠密成分を加えればさらに素晴らしいものになるのかも。
やはりこの臨場感の希薄さは、特にブートに慣れ親しんでいない方には物足りなさを感じるところかと。
でも混じりっけなしのIEMだからこその面白さもあり、その辺は試してみないとわからないですね。
どっちも楽しみたいところなので、IEMマトリクスとIEM+隠密マトリクスでの4枚組が出りゃいいんですが、最初から高すぎるのも問題。
でも別レーベルがコピーしたIEM+隠密マトリクスを作ると結局そっちも買うことになるし、なによりリリースまでに時間がかかっちゃうので悩ましいところか。

はい、初日の繰り返しになりますが、これにうまく隠密をかぶせたのがまたNo Filter 2018のロンドンのように別レーベルからリリースされるかもしれません。
しかしこのXAVELのIEMこそオリジナルなのであります。

演奏はLH盤で紹介済みですので省きますが、何といってもこの日最大のハイライトは"Midnight Rambler"事件。
いや、"Midnight Rambler"に問題があったわけではなく、問題が勃発したのはその前の"Paint It Black"。

2カポのギターで"Paint It Black"を始めるはずが、間違って次の"Midnight Rambler"を始めちゃうキース。
そしてミックも歌い始めるも当然キーが合わないのでおかしいぞと歌をやめ、これでキーあってる?とチャックに尋ねるミック(笑)
ごめんごめん俺が間違えた、と笑うキースをハグして、観客に「まだ2日目だしね」と言うミック。
ここ、IEMだけに隠密より良く聴き取れるので何度聴いても最高(笑)
キースが間違える前に弾いていた慣らし弾きを聴きながらそれを予感したのか、おそらくロニーとミックだかの「次はPaint It Black」という声がIEMだけにかすかに聴こえるんですが、その声はキースには届かなかったんだなと(笑)
ということでこここそ何度も聴きなおしたいところですが、この間違いランブラーにチャプターが打たれていないのはちょっと残念(笑)
LH盤では "Midnight Rambler (False Start)" → "Paint It Black" → "Midnight Rambler" とチャプターがわかれていたんですが。

そんなことはさておき、やや臨場感は薄いものの、素晴らしい作品であります!

 

NO FILTER IN CHICAGO 1ST NIGHT 』 XAVEL SMS-205 (2CD)
Multiple Stereo IEM Sources Matrix recordings@Soldier Field, Chicago, IL. Jun.21, 2019
   

●Disc 1
1. Opening / 2. Street Fighting Man / 3. Let's Spend The Night Together / 4. Tumbling Dice / 5.
Sad Sad Sad / 6. You Got Me Rocking / 7. You Can't Always Get What You Want / 8. Angie / 9. Dead Flowers / 10. Sympathy For The Devil / 11. Honky Tonk Women
●Disc 2
1. Band Introductions / 2. You Got The Silver / 3. Before They Make Me Run / 4. Miss You / 5. Paint It Black / 6. Midnight Rambler / 7. Start Me Up / 8. Jumpin' Jack Flash / 9. Brown Sugar / 10. Gimme Shelter / 11. (I Can't Get No) Satisfaction

XAVELによる「マルチ・ステレオIEMマトリクス」にまた一つ至高の名作が誕生。

密閉型ヘッドフォンを装着し、CDをCDプレーヤーにセットして厳かに再生ボタンをポチリ・・・「一体どんな音だろう?」とこれほどドキドキするブートも久しぶり(笑)

No Filter 2019ツアー開幕のシカゴ初日。
再生するや始まったのは、予想外に遠くでうっすらと響くオープニングCG。
あら?と思う間もなく、そのオープニングCGの裏でいながらこの作品の音では表側、ガガッと耳元で鳴り響くギターの音から一気に期待が高まる別次元のサウンド。
そして"Street Fighting Man"へ!
するとまぁ!!!
ライヴで鳴り響くサウンドかというとやはり違いは感じるものの、隠密では味わえないギターのゴリゴリ感は見事。
しかもアコースティックをのぞきギターは完全に左右にセパレートしており、混じりっけなしのキースのギターが聴けるのは素晴らしい。

最初聴いたときには、やっぱりライヴでの出音とは異なる違和感や、もう少し隠密成分が多くてもいいんじゃないかとか、キースはもう少しラウドでとかいろいろ思いましたが、その後毎日ちょこっと聴いてるうちにすっかり慣れてきました(笑)

特にミックのヴォーカルにはやはりIEM独特の癖は少し感じるものの、チャックやダリルやコーラスが妙に大きかったりするようなこともないナイスな音量バランスで、それでいてそれぞれがかなりクリアで、演奏をどっぷり浴びる事のできる異次元の"
EX"サウンド。
ただし臨場感はやはり希薄です。

なお、最初聴いたときはBステ冒頭やキース・コーナーの冒頭などでは急に歓声が立ち上がったりするので隠密がかぶせてあるのかなと思いましたが、通しで聴くとそうでもないような。
そしてキースのヴォーカルはミックのヴォーカルのようなちょっとした違和感は感じないだけに、最初は隠密なのかと思いましたが、キースのヴォーカルもIEMのよう。
また、Bステのアコースティック・セットではギターは一気にセンター寄りになり、キースよりロニーが大きかったりします。
そしてその特徴はキースの1曲目のアコースティックでも同じなので、その辺には何か秘密があるんでしょう。
ちなみにBステでは、Bステには移動しなかったチャックもダリルも隠密よりもよく聴こえます。

いやしかしほんとさすがはXAVEL、これは異次元のサウンドにして至高の作品。
No Filter 2018のXAVEL盤でも書きましたが、これだけのIEMソースを完璧に捉えるのはどれほどの機材が必要なのか知る由もありませんが、よくぞこの音質で録音していただけました&仕上げてくれましたと嬉しくなります。
これぞまさにオリジナル作品。
"Start Me Up"ではごくごくかすかにノイズが入ってたりもしますが、いやはやほんとに凄い"
EX"です。

こうして作り上げられたオリジナル作品こそしっかり売れて欲しいものですが、蛇の道は蛇。
これにうまく隠密をかぶせたのがまたNo Filter 2018のロンドンのように別レーベルからリリースされるかもしれません。
しかしこのXAVELのIEMこそオリジナルなのであります。

演奏内容などはLH盤紹介で触れましたので省きますが、でもでもこのステレオSBばりのIEMで聴くとまた格別。
なんといってもミック大復活の歴史的ライヴをこうした超絶ステレオサウンドで手元においておけるのは嬉しいところ。
"Midnight Rambler"の現役ぶりなんて涙もんです。まぁその逆ももちろんありますけどね(笑)

いやしかしNo Filter 2018のUKシリーズと同じく、表ジャケはキラキラホログラムジャケの使い回しで、シカゴ両日とも物理的に全く同じジャケというのはイマイチ。
リトのデザインのナンバリング入りカードや日本語帯なんて全くいらないし(そもそも帯の文字が小さすぎて読めないし、読ませようという意図もあまり感じない)、単にそのリトのデザインででもいいから個別ジャケにしてくれればと思うわたくし。
でも同じジャケでもいいので、ニュージャージーも録音してリリースして欲しいと願う勝手なわたくであります(笑)
あ、表ジャケの裏のツアー日程はその後ニューオーリンズが一日ずれたので、もしニュージャージーが出たりしたらそこは修正されるでしょうか?されないか(笑)
あとこれまたLHのシカゴ初日と同じく、ミックとキースのワンマイクの写真がどこにも使われていないのはちょいと残念〜。

それはさておき、やはり期待を裏切らない素晴らしい作品でありました!

 

STREET FIGHTING MEN IN MILAN 』 Speak-Ezy/SPE-1070 (2CD)
aud.recordings@Palalido Palazzo Dello Sport, Milan, Italy. Oct.1, 1970

●Disc 1 - 1st show
1. Introduction / 2. Jumpin' Jack Flash / 3. Roll Over Beethoven / 4. Sympathy For The Devil / 5. Stray Cat Blues / 6. Love In Vain / 7. Prodigal Son / 8. Dead Flowers / 9. Midnight Rambler / 10. Live With Me / 11. Little Queenie / 12. Brown Sugar / 13. Honky Tonk Women / 14. Street Fighting Man
●Disc 2 - 2nd show
1. Introduction / 2. Jumpin' Jack Flash / 3. Roll Over Beethoven / 4. Sympathy For The Devil / 5. Stray Cat Blues / 6. Love In Vain / 7. Prodigal Son / 8. Dead Flowers / 9. Midnight Rambler / 10. Live With Me / 11. Let It Rock / 12. Little Queenie / 13. Brown Sugar / 14. Honky Tonk Women / 15. Street Fighting Man

旧「次時間」、現「濃紺色」から70ミラノ公演が登場。
CD1枚目に1stショー、2枚目に2ndショーを収録しています。

まずは1stショー。
こちらはアナログ時代にSTREET FIGHTING MEN IN MILAN (1970)(Claudine Records)というレア盤によって隠密音源がリリースされ、CD時代になってからはVGPとDACによってROLL OVER BEETHOVEN(VGP-261)のDisc2、STREET FIGHTING MEN IN MILAN(DAC-157)のDisc1にて同音源がCD化されてきましたが、本作のDisc1も基本的には同じ。
 

いずれもアナログ起こしかと思われますが、聴き比べてみるとVGP盤はやや低音と高音が強め、DACは大人しめの音作りでウォーミーなサウンド。
今回のこちらはその中間といった感じで、DAC盤では大人しくなったヴォーカルやギターなどは前面に出てきて、視界がちょっと晴れたようなクリアさでいて、やり過ぎない音作りの"
very good+"。

なお、この音源は録音時に曲間などではテープを止めたようで、"Stray Cat Blues"と"Love In Vain"と"Live With Me"はちょい頭欠けしており、"Little Queenie"は終盤30秒ほどしか収録されておらず、本作もそこは変わりませんが、アナログを含め既発では"Little Queenie"以降が2%ほどピッチが高く速くなっていた点が修正されていて、1stショーの代表盤となるべく後発としてしっかり調整されているのはさすが。

続いて2ndショー。
その前に軽くおさらいですが、このミラノ公演の2ndショーは既発ではVINTAGE CHAMPAIGN(DAC-081)に"JJF""Roll Over Beethoven"、そして飛んで"Stary Cat Blues"、そしてフェードアウトする"Prodigal Son"に、クロスフェードで始まる"Dead Flowers"、そしてラストがカットされた"Midnight Rambler"の6曲のみ収録されていました。
その後、YouTubeに登場した映像で使われている音源は同一音源ながらかなり程度もよく、その音源の全長版がIORRで公開されたことにより、2015年の2月にLHからMILAN 1970 2ND SHOW(CD+DVDR)がリリースされ、その後DACからもSTREET FIGHTING MEN IN MILAN(DAC-157)のDisc2にてリリースされました。
   

そんな2ndショー、"very good+"ながらもただしたまにドロップしたり、"Midnight Rambler"のエンディング、"Love In Vain"と"Let It Rock"と"Little Queenie"、さらに"Street Fighting Man"でところどころ音がこもるところがあり、後半は"very good-"といった感じでありました。

本作も基本的にそれらは同じながらも、その処理が既発盤とはちょっと違っていたりします。
まず、"Stray Cat Blues"、"Dead Flowers"、"Midnight Rambler"は既発のよりナチュラルな6曲バージョンに差し替えられ、元音源ではところどころドロップしていていたために既発では別の箇所からの補填がなされていた箇所がありましたが、本作ではなるべく元音源を活かした補填にとどめつつも、ドロップなどは丁寧な補正がなされています。
細かい違いの検証までは聴き比べていませんが、本作はこのDisc2にこそ力を注いだ力作かと。

また、DAC盤では高域抑え目でヒスが抑えられている一方で、左右のレンジが狭まってダイナミックさは少し後退していましたが、本作ではLH盤と同じような前に出てくるハリのあるサウンドで、元は皆同じですが鮮度が高く聴こえる音になっています。
さらにピッチは本作と比べるとDAC盤は前半0.5%ほど低かく、さらにLH盤とDAC盤は"Midnight Rambler"ではそれぞれ0.3%から1%程高くなっていますが、聴き比べてみると今回の方が正しいように感じます。
ということで音質は既発と同じく後半は"very good-"ながらも総じて"
very good+"。
こう書くと既発とあまり代り映えしないようですが、丁寧な作りかつ好みのサウンドでこちらも嬉しい一枚。

ということで、縦ノリから横ノリへと移行してゆくストーンズの70年の演奏をこうしてまた堪能できる嬉しい作品でした!

 

PARIS 1976 』 no label (CD+DVD)
pro shot&SB recordings@Pavillon de Paris, Paris, France. June 4, 6 & 7, 1976


●CD
01. Honky Tonk Women **
02. Hand Of Fate **
03. Fool To Cry ***
04. Hot Stuff ***
05. Star Star **
06. Angie *
07. You Gotta Move **
08. You Can't Always Get What You Want **
09. Happy **
10. Tumbling Dice ***
11. Outa Space ***
12. Midnight Rambler ***
13. It's Only Rock'n Roll **
14. Brown Sugar **
15. Jumping Jack Flash **
16. Street Fighting Man **

●DVD
01. Honky Tonk Women **
02. Hand Of Fate **
03. Fool To Cry ***
04. Hot Stuff ***
05. Star Star **
06. Angie *
07. You Gotta Move **
08. You Can't Always Get What You Want **
09. Band Introductions **
10. Happy **
11. Tumbling Dice ***
12. Outa Space ***
13. Midnight Rambler ***
14. It's Only Rock'n Roll **
15. Brown Sugar **
16. Jumping Jack Flash **
17. Street Fighting Man **

Bonus Tracks
18. Report
19. Interviews (with Japanese subtitles)

*   Pavillon de Paris. June 4, 1976
**  Pavillon de Paris. June 6, 1976
*** Pavillon de Paris. June 7, 1976

お馴染みのパリ76混成ライヴのアップグレードバージョンが登場!

この作品を語るにはまずは映像から。
Hot Stuffの76コーナーは情報が古いままで、フランスでTV放送された映像、日本でも77年にヤングミュージックショーで放送されたパリ76の6/4と6/6と6/7の混成ライヴ映像については、ビデオ時代や旧青月の2DVDRAUX ABATTOIRSを紹介したところで止まってますが、その後D-STONEによる2DVDRLOVE YOU LIVE SHOW(DS-005)やそれをボーナス付録とした同系列のJointripの5DVDR1976 SPECIAL(JTSET-04)でもお馴染み。
   

当然他にもいろんなところからリリースされているので、パリ76はこの混成ライヴはもちろん、6/6単独のワーキング映像、もしくは2015年に登場した6/5のワンカメ映像などをお持ちの方は多いはず。

そんなお馴染みのパリ76混成ライヴ、今回は海外コレクターより入手したというアップグレード映像ということですから、あれこれ細かい紹介など不要でショップインフォのとおりなわけですがちょこっと。

本作の映像はさすがアップグレードを謳うだけあって、黒は引き締まり、赤のにじみも減って断然シャープな映像に。
特にアップシーンや歪みやにじみのなくなった字幕テロップでそのアップグレードを実感できます。
コントラストが上がった分、ちょっと暗くなって色合いは以前のとは少し違っていますが、このアップグレードは見事!
そして本作の素晴らしいところは以前は2つもしくはそれ以上のショート・バージョンで別々に分かれていた映像をライヴ演奏順にソートしなおして1本に再編集されているところ。

なお、D-STONEのDVDRではオーディオはステレオ音源に差し替えられて曲による違いもありましたが、プレスDVDの本作ではほぼモノラルの原音を音圧を揃えて収録されています。
そしてインフォからの転載になりますが、その他の特記は以下のとおり。
*Tumbling Diceの冒頭はWild Horsesの最後の1音が被っているので同日別ソースで修正。
*Street Fighting Man終演後はオーディエンス音源に入れ替え。
*Bonus Track : Interview は前半は高画質DVDからで、Interviewが始まってからはYMSの字幕入りを使用。

このボーナス映像がまた嬉しい。
YMSの日本語字幕入りで、77年の放送を懐かしむ方も多いことかと。

とあっさり紹介しましたが、まさに一晩中悶絶でありました(笑)

そしてCD。
こっちはもうおまけみたいなものですが、こちらも丁寧な補正がされています。
これまたショップインフォより抜粋。

6. Angie ★0:00 前曲が突然終了なので歓声を少し足して補填クロスフェード。★4:48で繋ぎもMC前後に間が無く短いクロスフェード
9. Happy ★収録時間の関係からバンド紹介は削除。
10. Tumbling Dice ★0:00 - 0:03 素材に入れ替えてクロスフェード。★4:00 繋ぎ
12. Midnight Rambler ★ハム無モノ音源疑似ステレオ処理を使用 ★0:00 間が無いので歓声を足してクロスフェード。10:19からビデオ音声繋ぎ
13. It's Only Rock'n Roll ★0:01 繋ぎ
14. Brown Sugar ★3:10 - 3:33 オーディエンス補填
16. Street Fighting Man ★6:09 - 最後までオーディエンス補填

なお、おまけみたいなものと書きましたが、TV放送された全曲を収めたサントラCDは今回初と。
そして基本はほぼモノラルで、メインのソースからの曲は右chでわずかにジリジリノイズが乗っていたり、"Midnight Rambler"では定位が右に寄ったりと気になる点はありますが、上記のとおり丁寧な補正がされています。

てなわけですが、すでに200セット以上売れているようですからもうこれ以上の説明は不要かと。
いつかきっとリリースされるであろうオフィシャルアーカイヴではこうした混成ライヴか単独ライヴでリリースされるのかはわかりませんが、混成ライヴとしては過去最高画質を誇るアップグレードでありました!!
 

 

CHICAGO 2019 2ND NIGHT 』 no label (2CD)
aud.recordings@Soldier Field, Chicago, IL. Jun.25, 2019

●Disc 1
1. Intro / 2. Jumping Jack Flash / 3. It's Only Rock'n Roll / 4. Tumbling Dice / 5.
Bitch / 6. Ride 'Em On Down / 7. Monkey Man / 8. You Can't Always Get What You Want / 9. B-stage S.E. / 10. Play With Fire / 11. Sweet Virginia / 12. Sympathy For The Devil / 13. Honky Tonk Women / 14. Band Introductions / 15. Slipping Away / 16. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2.
Midnight Rambler (False Start) / 3. Paint It Black / 4. Midnight Rambler / 5. Start Me Up / 6. Brown Sugar / 7. Gimme Shelter / 8. Satisfaction

No Filter 2019ツアー2日目にしてシカゴ公演2公演目。
今回のツアーでは同じ会場(都市)での2開催はシカゴとニュージャージーのみなので、貴重なセカンドナイト。

この日はセカンドナイトだけあって初日以上に美味しい選曲かつ予期せぬ爆笑ポイントまであって、その上音質もいいという3拍子揃った作品がこちら。
ロニー側のスピーカー正面10mのピットで録音されてネットに公開された元音源を僅かなイコライジング調整がなされています。

再生するや、オープニングのアナウンスから"JJF"の一発目が素晴らしい!
キースのギターは荒く粗い音ですが、これぞキースという、老いても盛んな重心の低い力強さを感じるサウンド。
初日の"Street Fighting Man"との日替わりオープニングナンバーとして定着していますが、やっぱりこのオープニングもいい。

そして初日の"LSTNT"に代わって"IORR"が登場。
75歳になっても初日と同じセットリストでは臨まないストーンズってやっぱすげーなというところですが、この本ツアー初登場の"IORR"がまたいい。
"If I could stick my pen in my heart" "If I could stick a knife in my heart"なんて歌詞は心臓手術を終えたミックにはどうなのかと思ってましたが、そんなの関係ねー!!
"IORR"と"Miss You"はもういいよなんて常々思ってたわたくしではありますが、この堂々とした演奏ぶりに、この曲もまた観てみたいと強く思う今日この頃であります。

そしてこの日のレア曲枠はまずは"Bitch"、そして"Ride 'Em On Down"で、まぁこんなもんかと思うところ、voteで選ばれたのは周りの観客も叫んでおねだりした"Monkey Man"。
ABBツアーではちらほらやってましたが、その2007年以来の登場。
さすがに昔のような力強さには欠け、途中ミックがちょいと構成を間違えたのかという合いの手が入ったり、初めて歌うサッシャは遠慮がちだし、最後はあやうくぐちゃぐちゃになりそうになりますが、なんとか持ちこたえてのエンディングにニヤリ(笑)

Bステージに向かう前、「50ヤードラインに設けられたテンポラリーステージに向かうよ。君たちのチームがイーグルスとの試合でフィールドゴールをミスしたところだよね」と、今年1月に行われたNFLのプレーオフ第1戦で、シカゴ・ベアーズのコーディー・パーキーがキックしたラスト10秒からの大逆転フィールドゴールがバーに弾かれて失敗したネタを振ると、会場大ブーイング(爆)
そのブーイングに笑いながら「ごめんよ」と謝るミックが面白い(笑)

そうした訪れたBステージ、この音質がまた格別。
ちょっと定位は左に寄りますが、アコースティックの響きを抜群の音質でとらえた素晴らしい音。
"Play With Fire"ではやっぱり鳴ってたんだのビブラスラップの音が遠くに確認できます(笑)
いやしかしこうして聴くとやっぱりいい曲だなと。
ちなみにこの時、ミックとキースは黒のTシャツに赤のシャツという、もうとっくに過ぎたけど赤いちゃんちゃんこでお揃いかよという衣装であります(笑)

続く"Sweet Virginia"、これがまたいい。
先のブーイングに対するサービスか、最初の"Come on, come on down, Sweet Virginia"のところで"Sweet Chicago"と歌うサービス満点のミックですが、キースはでかい声で思いっきり"Sweet Virginia"と歌い、メインステージに残って歌ってるサッシャなども"Sweet Virginia"と歌ってるので、観客が気づいたのかは微妙かも(笑)
ちなみに冒頭のハーモニカを吹き終えたミックがギターを弾き始めるも、ピックが用意されておらず、最初は指で弾くミック。
ピックがないよと合図するもクルーは気づかず、ロニーがそれに気づいてクルーに告げるも、キースのマイクスタンドからさっとピックを取り上げるミック。
おかげで最初にちょい歌えてないところがありますが、そういうことでした。
そしてYouTubeで見たんですが、この曲の間奏の間にドラムの音を下げるようクルーに指示するミック。
スタッフも冷や冷やでしょうが、しっかりやってほしいものです。

とまぁ脱線しましたが、今作ではこのBステ以降の音がまた抜群に素晴らしい"
EX"。
会場の空気をそのままパッキングしたようなリアルでクリアなサウンドで、音揺れもなく周りもうるさくもないこの生々しいサウンドは見事!!
シカゴはXAVELからイヤモニミックスがリリースされるとのインフォがすでに出ていますが、この隠密、これはこれで素晴らしい。

シカゴの演奏に戻ると、キースは今のところ初日のみの"You Got The Silver"に替わって"Slipping Away"を。
なんとこれでシカゴ公演2日目は初日とは計7曲も入れ替えたことに!
20曲中、7曲も入れ替えるとはおそるべし!!

そしてこの日最大のハイライトは"Midnight Rambler"事件。
いや、"Midnight Rambler"に問題があったわけではありません。
その前の"Paint It Black"。

2カポのギターで"Paint It Black"を始めるはずが、間違って次の"Midnight Rambler"を始めちゃうキース。
そしてミックも歌い始めるも当然キーが合わないのでおかしいぞと歌をやめ、これでキーあってる?とチャックに尋ねるミック(笑)
ごめんごめん俺が間違えた、と笑うキースをハグして、観客に「まだ2日目だしね」と言うミック。これ最高(笑)

そして"Paint It Black"をしっかりやりなおした後に、「次の曲が何か、みんなもう知ってるよね?」なんて言いながら"Midnight Rambler"へ(笑)
いやもう最高であります(笑)
いやここで、シカゴはアメリカでのレコーディングで初めて訪れた街でチェス・スタジオでレコーディングしたんだとか、シカゴに謝辞を述べてるんですが、そんな大事なことがかすんでしまう(笑)

でもこのやり直しの"Midnight Rambler"がまた絶品。
シカゴ初日を完全に凌駕する熱い演奏が繰り広げられます。こりゃ凄い!!
ちなみに初日は途中で"You Gotta Move"をはさんでいましたが、こんどは"Come On In My Kitchen"。

といった感じで初日とはまた違った素晴らしいステージをみせてくれたシカゴ2日目。
それを素晴らしい音質で堪能できる、まさにグレートな作品でありました!!

 

CHICAGO 2019 1ST NIGHT 』 no label (2CD)
aud.recordings@Soldier Field, Chicago, IL. Jun.21, 2019

●Disc 1
1. Intro / 2. Street Fighting Man / 3. Let's Spend The Night Together / 4. Tumbling Dice / 5.
Sad Sad Sad / 6. You Got Me Rocking / 7. You Can't Always Get What You Want / 8. B-stage S.E. / 9. Angie / 10. Dead Flowers / 11. Sympathy For The Devil / 12. Honky Tonk Women / 13. Band Introductions / 14. You Got The Silver / 15. Before They Make Me Run
●Disc 2
1. Miss You / 2. Paint It Black / 3. Midnight Rambler / 4. Start Me Up / 5. Jumping Jack Flash / 6. Brown Sugar / 7. Gimme Shelter / 8. Satisfaction

当初は4/20、マイアミから開幕予定だったNo Filter 2019ツアー。
その後ミックの心臓弁交換手術のためにツアーは延期されるも、ツアーの開幕公演となったのは、当初予定の6/21から日程を変えず、もともとは米国公演の最終公演地であったシカゴ。

今ツアーで2公演開催予定地はニュージャージーとシカゴだけでしたので、ミックに移動の負担がかからず、世界中からミック復活を祝いに駆けつけたファンたちにとっても2公演のシカゴで開幕とは結果的に素晴らしい開幕だったかと。

しかしミックもキースも75歳、チャーリーは78歳!!
75歳にして手術明け2ヶ月でステージに立つという鉄人ミック。
そのミック復活の一発目のライヴ、オープニング映像も新たなものとなり、星条旗よ永遠なれがアレンジされたサウンドとアナウンスに続いて登場したのは、"Street Fighting Man"!
ミック復活を高らかに宣言するにふさわしいオープニングにソルジャー・フィールド大爆発!

そんなミック大復活の開幕公演を良好音質で収めた隠密音源をアジャストして最速リリースされたのがこちらの作品。

この音源はネットに公開されたもので、元ファイルによるとどうやらロニー側真横からちょい右当たりのスタンド中二階の最前列から録音されたもののよう。

ということでダイレクト感にあふれているわけではなく、音像はやや左寄りながらも、周りはうるさくもなく程よい距離感で全体の音をよくとらえた良好隠密。
しかーし、元音源では最初は音がドロップしたり左右に触れたり乱れるところがあったのが難点でした。
んがしかし!今作ではその難点が見事にアジャストされています。

元音源ではまずオープニングで音が揺れるわドロップするわ、ジリッというノイズも2回入るわと、特に最初の2曲は惜しいところがありありでしたが、今作ではまるでそれらが何もなかったかのように見事にアジャスト。
いやもうアジャストという言葉ではなく、ジリッも僅か1回のみ小さく聴こえるだけで音揺れなどは見事なレストアが施されています。
いやほんと、インフォにあるとおり元音源をヘッドフォンで聴いてると残念極まりなかったんですが、今作のこのレストアは素晴らしい!
見事なレストアで、表記以上の付加価値大の"
EX-"であります。

というサウンドで楽しめますが、オープニングの"Street Fighting Man"に続くは"Let's Spend The Night Together"。
ここではイントロでチャーリーがずれますが、隠密映像で確認してみるとそこですかさず指示を出すミック、さすがであります。
そしてやはりこの曲は外せない、"Tumbling Dice"の登場。
ここでは00:53あたりで一瞬音が左に寄ってしまいますが、ここが補正されていないのは惜しい。
しかしちょっとキースがおとなしいですかね。

ここで次に行く前に、「シカゴが大好きだからマイアミのかわりにここからツアーをスタートすることにしたよ」というミックにシカゴの観客は大うけ(笑)
こうした役者ぶり、さすがはミックです(笑)

そして続くは"Sad Sad Sad"。
2016年のデザートトリップでは"Mixed Emotions"をやったりしてましたが、今ツアー初日のサプライズはこれか!と。
2002年、LICKSツアー開幕前の8/16パレスロイヤルでやりながらも、LICKSツアーでやったのはその後9/22のタワー・シアターのみで、以降ボツになったと思われていた曲。
どうせSTEEL WHEELSなら"Blinded By Love"とか聴いてみたいぞと思うも、これがなかなかの出来。
2016年"Mixed Emotions"よりこっちの方がいいですな。

Vote曲は"You Got Me Rocking"。なんでやねーんと世界中からの悲鳴が聴こえましたが、ここでキースのソロがうなるのはいい選曲だったかも。
そして昨年は8曲目が定位置だった"You Can't Always Get-"が6曲目に。
これがまた絶妙な曲順。でもエア参戦しながら、こりゃ演奏曲が減ったのかなーと思いつつ、次なる展開に期待をしているときました!!
"2120 South Michigan Avenue"がBGMでかかる中、ストーンズメンバー4名のみがキャットウォークの先端に歩いて移動!
そこには"You Can't Always Get-"の終盤にワラワラとスタッフがあっという間に組み上げたドラムキットとマイクなどが。
そう、開演前にオフィシャルがアップした写真から、もしかして?と思われていたBステージ復活であります!!
ステージに4人だけで最小限のドラムと共にアコースティックセットで奏でるは"Angie"。
これはたまりません!!
いやそこにいないダリルやチャックも弾いてるようですが、Bステに4人だけということが重要なのです。
今作のオーディオもやや左寄りながらも素晴らしいサウンドでとらえられています。
そしてミックもギターを持ってアコギ3本の"Dead Flowers"ではなんとなんと!完全にワンマイクでなんて何年振りだろうという、あのミックとキースのワンマイクが!!
そのワンマイクの間、ミックはギターを弾いていながらもキースの手が止まってるのはご愛嬌(爆)
いやぁ〜、今作の惜しいところは、そのワンマイクの写真がどこにも使われていないこと(笑)

メインステージに戻ってからは悪魔。
ここでようやくキースに火がつき始めます。
エア参戦時にはちょうどこの頃だったか、キースがバンダナをしていないことがはっきりして愕然としたんですが、それはともかく、ここまであまりキースが動かないしミック大復活の陰で実はキースは不調かなんてささやかれていましたが、やはり「キース元気でラウドがいい。」

続くメンバー紹介の前にミックは、「これがシカゴで38回目のショーだよ」と。
「でもイタリアンビーフ(シカゴのソウルフード、牛丼サンドのようなサンドイッチ)はまだ食べたことないんだよね」
「マロート(シカゴ名物のニガヨモギの苦い蒸留酒。名物ながらメーカー自ら50人に1人しか美味しいと思わないと言うアルコール)っをぶっかけて、乾かして食べるのかい?それともそのまま?」と、地元にしかわからないネタで笑いを取るミック。
そして「新市長ローリ・ライトフットを歓迎したい(実際には来場していない)。エド・バーク(悪名高い市会議員)がいないのは残念だね」とか、さらりと政治的発言をしつつ、メンバー紹介へ。

ここでやらかしてくれますミック。
サポートメンバーを次々と紹介していき、ロニーにたどり着いたところで、ロニーが「チャックを忘れてるよ」と。
そう、チャックの紹介をすっ飛ばしてしまったミックでした(笑)

さてそんなこんなでキース・コーナー。
ミックの手術の影響もあり、もしかして今ツアーはキースは3曲か?と期待していましたが2曲でした(笑)
まずは"You Got The Silver"。
アコースティックでいい感じながらも、4公演を終えた現時点ではシカゴ初日にしかやってません。
なんかしっくりこないんですかね?

続くは"Before They Make Me Run"!
75歳となった今またこの曲がしっくりくる!
そして力まず弾いてる分、以前の様に歌うと手が止まるではなく、歌いながらもところどころで弾いてたりもします。
と思って聴いてるとやっぱり聴こえなくなりましたが(笑)
しかしキースのヴォーカルよりコーラスが大き過ぎて、後半なんてあまりキースのヴォーカルが聴こえなかったりするのは不満。

そして2枚目の"Miss You"へ。
以降の後半のセットリストにももう少し変化があればと不満を感じるところ、今作ではここからさらに音がよくなります(笑)
ということで、あまりだれることなく2枚目を楽しめます。
とはいえやはりもう少し変化が欲しいところですが、ダリルのソロの前のミックのファルセットなど、ところどころ楽しめます(どっちやねん)

そして"Paint It Black"へ。
このイントロエンドで何と"あの"ビブラスラップが鳴っとるやんけ!!と、このブートを聴いて気がつきました(笑)
シカゴ2日目に登場したあの曲では今回は鳴ってなかったのに、ここで鳴ってた(笑)
ミックの歌はちょっと控えめなように聴こえ、映像を見ると以前ほどの動きは控えているようですが、頭上でのハンドクラッピングを続けるなど、手術の影響を感じさせません。
目立たないながらも背中に入ってる四角いボックスのようなものは心臓モニターなのか?と気になりますが、"Midnight Rambler"の熱演はナイス。
"You Gotta Move"をはさみながらボストンのパートを経て上り詰めてゆくさまは、これが75歳以上の奏でるR&Rの奇跡と感動を覚えます。

以降"Start Me Up" "JJF" "Brown Sugar"とホットロックス大会。
ここでキースがラウドに掻き鳴らす!!いいぞキース!!

アンコール一発目の"Gimme Shelter"のイントロも近年の中では弾けてる方。
リリースされたばかりのブレーメン98とはえらい違いだけど、そりゃそうだ。
75歳となったキース、既報のとおりアルコールも断って(控えてか)、真面目に弾いてますぞこりゃ。

そしてラストは"Satisfaction"。
1997年、B2Bツアー開幕の地であるこのソルジャー・フィールドではオープニングナンバーだったこの曲が、22年を経て、ミックの手術により再びツアー開幕の地となったソルジャー・フィールドではラストの曲に。
何か運命のようなものを感じずにはいられませんが、そんなセンチなことはこれっぽっちも考えていないであろうミック。
まさにそれこそがストーンズなのだ。

でもこうしてじっくり聴いてみると、Bステ以外はここ数年とあまり変わりがないようでいて演奏は少しずつ変わってきています。
それは単に老いの進行や、それにあがなうということではなく、円熟R&Rの真髄を体得した仙人の領域に向かうかのような潔い荘厳さをも感じます。
ストーンズはいよいよ最終ステージへと向かうのか?
こうして通しで聴くと、やはりこの目で確認せねばと強く感じたツアー初日、ミック大復活ライヴ!!

とまぁブート紹介からはズレたことを延々書いてきましたが、今作はいくつか右chがオフ気味になるところはまだ残っていますが、素晴らしいレストアが施されたことによってミック大復活をストレスフリーで堪能できる最右翼アイテムでありました!!
 


May 2019
BIRD'S VAULT VOL.3 』 GOLDPLATE GP-1901CD1/2 (2CD)
Undercover Outtakes +

●Disc 1
1. It Must Be Hell (version 1) / 2. XXX aka Too Tough (Version 2) / 3. Pink Pick / 4. Stop That aka Chain Saw Rocker (version 2) / 5. Chris Song / 6. Melobar / 7. Stop That aka Chain Saw Rocker (version 3) / 8. All Mixed Up (Version 1) / 9. Cookin' Up aka What I Am Syaing Is True (version I) / 10. Part Of The Night (GOLDEN CADDY with Lyrics) / 11.  Pretty Beat Up (version 1) / 12. Wanna Hold You (version 2)
●Disc 2
1. Dog Shit / 2. Gotta Know You aka Wanna Hold You ^ / 3. Heartbeat (Take 2) / 4. Heartbeat (Take 3) / 5. Pull Over / 6. The Dog / 7. Dance Mr.K aka Still In Love / 8. Run And Take aka I Love You Too Much / 9. Neighbours (Version 3)* / 10. Slave (Version 3)* / 11. Waiting On A Friend (Version 3)*
Pathe Marconi Studio, Boulongne Billancourt, France 11th November - 17th December 1982
^ = Demo Recordings (Unidentified Basement Demo Studio), Paris, France Mid-October - 7th November 1982
* = Mobile Recordings, Paris, France April - June 1981 & Atlantic Studios, New York - with Sonny Rollins on Sax

GOLDPLATEからBIRD'S VAULT Vol.1&2(GP-1802CD1/2)の続編が登場。
 

まぁその名のとおり、OBRがリリースしたBIRD'S VAULT - RI 61/16 (VOLUME THREE)(以下BIRD'S VAULT Vol.3)のフルコピーがメインですが、ちょっと侮れないところも。

まずDisc1はそのOBRのBIRD'S VAULT Vol.3のフルコピー。
  

これまた前回のようにIORRに公開されたアナログ起こしかなーと思ったら、ちゃんとCDのフルコピーでした。
ということでBIRD'S VAULT Vol.3についての紹介は省きますが、音質も全く同じフルコピーであります。

そしてDisc2、こちらは"The Virchov Tape" "Art Collins Tape"としてIORRに公開されたアウトテイク、そしてGOLDPLATEの前作BIRD'S VAULT Vol.1&2はOBRのアナログ起こしにつきOBRのCDのみに収録された4曲が未収録でしたが、今回それらの曲も追加されています。
trk.3-5がOBRのBIRD'S VAULT Vol.1のCDのみに収録された"Heartbeat"インスト2テイクと、"Pull Over"。
そしてtrk.6がOBRのBIRD'S VAULT Vol.2のCDのみに収録された"The Dog"。
        

そして今回のGOLDPLATE盤には上記のBIRD'S VAULT Vol.1』『BIRD'S VAULT Vol.2』『BIRD'S VAULT Vol.3以外からもボーナスマテリアルが追加されています。

まずはDisc2のオープニングの"Dog Shit"、これがよくわからない。
IORRでも"The Dog"とのタイトルがらみでぽっと公開されていたので背景がよくわからず。YouTubeにも公開されてるんですが、めちゃ音いいです。
いままで"Dog Shit"は"Pretty Beat Up"の原曲といわれていましたが、それとは全く違って、どちらかというとtrk.8でも聴かれる"Run And Take"に盛大にブラスが乗ったテイクといったような感じ。

trk.2の"Gotta Know You"はUNDERCOVER COMPLETE RECORDING SESSIONS(SBA-017)などで聴かれた"Wanna Hold You"のデモよりさらに初期のもの。
これが噂のドラムがミックというテイクかと。キースがミックに"Too fast?"なんて話しながらキースとミックがジャムっていく様子はナイス。
ジーというノイズが終始載っていますが音質自体はこもったりしてないので聴きやすく、ジャムが盛り上がってくる様子までうかがえてこれは楽しい。

trk.3-6は前述のとおりOBRのCDBIRD'S VAULT Vol.1』『BIRD'S VAULT Vol.2から。
trk.7-8はここ数年でブート化されたもの。
そしてtrk.9からは少し音質は落ちますがソニー・ロリンズが参加しているという貴重なテイク。
これらはPLACE PIGALLE(VGP-362)と基本的に同じようですが、ピッチがほんの僅かに違っていて、イコライジングなのか音質はちょっとよくなって音の抜けが僅かによくなっててナイス。

ということで、OBRのBIRD'S VAULT Vol.3のコピーというのがメインですが、Disc2にちょっと気になるボーナス入りでした。
特に"Dog Shit"はわたし何か重要なことを忘れているような気がして、気持ち悪いです(笑) 


Apr 2019
BIRD'S VAULT - RI 61/16 (VOLUME THREE) 』 OUTSIDER BIRD RECORDS (OBR 93 CD 039)
studio outtakes@Pathe Marconi Studio, Boulongne Billancourt, France. Nov 11 - Dec 19, 1982
 
1. It Must Be Hell (version I) / 2. Too Tough (Triple XXX) / 3. Pink Pick / 4. Stop That (version II) / 5. Chris Song / 6. Melobar / 7. Stop That (version III) / 8. All Mixed Up / 9. Cookin' Up (version I) / 10. Part Of The Night / 11.  Pretty Beat Up (version 1) / 12. Wanna Hold You (version II)

OBRからBIRD'S VAULT - RI 61/16の続編がリリース。
サブタイトルの「RI 61/16」とは、ディーター・ホフマン氏によるホワイトブック風の解説本「Recording Index 1961 - 2016」のこと。

前作のVol.1とVol.2はアナログ先行リリースでしばらくしてからCD化され、今回もアナログ先行リリースは変わらずですが、前作ではOBRがCD化する前にアナログ起こしのコピーCDが出回ったのを嫌ってか、今回はアナログからあまり間を空けずにCDもリリース。
なお、アナログ収録曲に加えて3曲がボーナス収録されています。

ちなみにこちらのシリーズ、Vol.1の裏ジャケのカラーは赤色で表裏のスタンプも赤色、vol.2の裏ジャケのカラーは青色で表裏のスタンプも青色。
一方このVol.3は裏ジャケのカラーは黄色ですが、表裏共にスタンプは青色。白地に黄色ではスタンプが判読できなかったんでしょうか。

Vol.1

Vol.2

    

   

いやしっかしこれがまた!さすがはOBR!という凄いブツです。
音はいいし聴いたことないものもてんこ盛り。
詳しくは"HOFFMANN RECORDING INDEX 1961-2016"を参照せよという宣伝文句付きですが、実のところそちらを見ても載ってないという(笑)
というかアナログにはその"HOFFMANN RECORDING INDEX 1961-2016"への追加文が載っていますが、CDにはついてません。

ということですが、まずは1曲目の"It Must Be Hell (version I)"からして度肝を抜かれます。
これまで一番よかったDACのTHINK YOU LIKE IT(DAC-109)よりも断然クリア、というかもう超絶クリア。
そしてフェードアウト部分もDAC盤のより15秒ほど長くなっていて、ただのリピートでのフェードアウトと思いきや、最後の最後にミックのアクセントが入っていて、これはさらに音の悪いUNDER COVER OUTTAKES(RG-02)でも聴けましたが、鮮度が全く違います。

"Too Tough (Triple XXX)"はこれまでブート化されたものは初期テイクの"Too Tough (version I)"のみでしたが、これはもうほぼファイナルミックスで、これぞHOFFMANN本によるversion IIで、ロニーの攻撃的なギターがかなり残っているという貴重なテイク。
ジーっというノイズは載っていますが、これまた素晴らしい音質です。

"Pink Pick"は初登場のインスト。これはまぁただのジャムですが、抑揚のあるジャムになってます。

"Stop That (version II)"は"Chain Saw Rocker"としても知られた曲で、CHAIN SAW MASSACRE(DAC-110)やFOXES IN THE BOXES Vol.1などの既発盤で聴かれたversion Iとは別のギターイントロで始まり、ミックのヴォーカルも違っていますが、ミックがオフマイクで小さいのはversion Iと同じ。ジーっというノイズはこれにも少し載っていますが、これまた音質はいい。

"Chris Song"はどうやら"Chris' Song"と表記するようですが、これまた初登場。

"Melobar"も初登場のインストですが、まぁ曲というより試行錯誤中でこういうところから曲作りが始まるんだと興味深い。

"Stop That (version III)"はこれまた別のギターイントロで、またもミックの歌は違ってます。これにもジーっというノイズは入っていますが音はいいです。
歌は部分的に同じなのかもしれませんが、そこまで判別できず。

"All Mixed Up"はDACのALL MIXED UP(DAC-111)のtrk.7の方で、これまで聴けた2:50ものから一気に8:40もの長さになったもの。

"Cookin' Up (version I)"は既発のTHE VIRCHOV TAPE(DAC-181)などで聴かれた"What I Am Saying Is True"よりも曲らしくなってきたもので、これまた興味深い。
これはちょっと音が割れていますが、音質自体は悪くもありません。

以降3曲はCDのみのボーナス。
"Part Of The Night"は"Golden Caddy"にさらにミックが歌を入れているもの。とはいえまだ固まったものではなく適当に流して口ずさんでる感じですが、曲名をはっきり歌ってはいます。

"Pretty Beat Up (version 1)"はちょっとこもった感じで音質が落ちますが、これまでCHAIN SAW MASSACRE(DAC-110)やCOMPLETE UNDERCOVER SESSIONS(GP-1701CD1/6)ではチャリチャリしていた音とはちょっとテイストの異なる音質。

"Wanna Hold You (version II)"はCHAIN SAW MASSACRE(DAC-110)と同じですが、冒頭カウントの前のちょろ弾きが入って音質が少し向上したもの。

とまぁこうして淡々と書くと面白くなさそうですが、これやっぱ凄いんです。
今までのアウトテイクとは一線を画す音質と中身で、さすがはディーターと唸る作品でした。

 

HONOLULU 1973 2ND NIGHT 』 no label (1CD)
aud.recordings@Honolulu International Center, Honolulu, HI. Jan.22, 1973 (2nd Show)

1. Intro / 2. Brown Sugar / 3. Bitch / 4. Rocks Off / 5. Gimme Shelter / 6. It's All Over Now / 7. Happy / 8. Tumbling Dice / 9. Sweet Virginia / 10. Dead Flowers / 11. You Can't Always Get What You Want / 12. All Down The Line / 13. Midnight Rambler / 14. Rip This Joint / 15. Jumping Jack Flash / 16. Street Fighting Man

LHのウィンター・ツアー・プロジェクト、ハワイ公演ラストの1/22 2ndショー。

この1/22 2ndショーは98年にCONTRA BANDがMICK TAYLOR'S LAST U.S. PERFORMANCE(CBM-16)、続けてVGPがBLUE HAWAII(VGP-212)をリリースしたことによって世に出た隠密音源で、前者はタイトルはオォというカッコよさであったものの、マスターは劣り"Brown Sugar"に音飛びがあったりしたようで、後者が代表盤とされていました。
その後2014年にEVからSWEET TROPICAL SUN(EVSD-661/662/663/664/665/666/667/668)がリリースされたことによって、既発よりは劣るものの新たな隠密音源も世に出たのでした。

↓左から順にCONTRA BAND、VGP、EVSD盤。
   

この1/22の2ndショーの音質は他のホノルル公演に比べるとやや劣るものの、これらの中でもやはりVGPのBLUE HAWAIIが決定盤として君臨してきました。
そこにLHが果敢にも挑戦であります。

この日の音源は音質自体が他のホノルル公演よりやや劣る上に、既発盤では90年代の高音吊り上げサウンドであるという点以外にもいろいろと問題があり、まずショーの中盤手前まで暫くこもっててなおさら音質が劣るのと、"Tumbling Dice"冒頭5秒ほどと"Midnight Rambler"の8:40過ぎからラストにかけてのいいとこ90秒ほどが欠落しています。
また"Tumbling Dice"は冒頭欠落だけじゃなく開始後も波打って音量が激しく上下してしまっていました。
さらに"Gimme Shelter"のギターソロでは右chがレベルダウンしてオフ気味になってしまい、おまけにピッチがちょっと不安定で、電池の消耗によって録音スピードが遅くなることで普通に再生すると速くなってしまうという隠密録音特有の問題がこの日はかなり早くから。

それらの問題に対して今回のLHはというと、まず欠落部はEVSDの黒盤の別音源からの補填はせずにそのまま。
ここは音質が違えどもなんとか調整できなかったんですかねー。EVSDの青盤は違和感ありありながらつながれて完全版となっていただけにちょっと残念。

しかし"Tumbling Dice"冒頭の激しく音量が上下する波打ちは見事に補正されています。
また"Gimme Shelter"のギターソロでの右chの落ち込みという不安定な点も丁寧な補正がなされています。
そして他の問題である前半暫くこもってる点やピッチの問題やところどころでのドロップや定位などもかなり解消されているのはナイス!
ただし元が元だけに既発の"very good-"が今回は"
very good(-)"〜"very good"に向上したといった感じではあります。

しかしこの2ndショーでも"Bitch"のキースのキレ味はすさまじい。1stショーの後、ばっちりキメてきたんでしょう。
そしてこの"Bitch"の中盤から丁寧にピッチが調整されているのは嬉しい限り。
さらに"Dead Flowers"も熱いぞホノルル!

ということで、ホノルル公演の炎の"Bitch"、1stショーからは一転して落ち着いた"It's All Over Now"、こちらはまた熱い"Dead Flowers"に萌え、さらには幻の武道館公演に思いを寄せるホノルル・コンプリーター向けで、欠落部分がそのままというのはちょっと残念でしたが(ホノルル3公演いずれもEVSDからの補填はされていないのでポリシーなのかな?)、CD時代になって世に出た1/22 2ndショーがこうしてかなり手間がかかったであろう丁寧な補正でここまで向上したという、意義のあるリリースでありました。

 

IN EXOTIC HONOLULU 』 no label (1CD)
aud.recordings@Honolulu International Center, Honolulu, HI. Jan.22, 1973 (1st Show)

1. Intro. / 2. Brown Sugar / 3. Bitch / 4. Rocks Off / 5. Gimmie Shelter / 6. It's All Over Now / 7. Happy / 8. Tumbling Dice / 9. Sweet Virginia / 10. Dead Flowers / 11. You Can't Always Get What You Want / 12. All Down The Line / 13. Midnight Rambler / 14. Rip This Joint / 15. Jumping Jack Flash / 16. Street Fighting Man

LHのウィンター・ツアー・プロジェクトとでも言いましょうか、LHからは3月にブリスベンとホノルルの1/21公演がリリースされたばかりですが、矢継ぎ早に1/22の1stショーと2ndショーが放たれました。

まずはこちら1/22 1stショー。
1/22 1stショーといえばミックのヴォーカルも近くて音に広がりもある、ハワイ公演でもなかなかの良好隠密としてアナログ時代から有名な音源でしたが、1996年にVGPからリリースされたCDIN EXOTIC HONOLULU(VGP-040)が長年ベストとされ、2014年にはEVから初登場の別音源と既発の欠落部を初登場音源で補填した2種類を収録したSWEET TROPICAL SUN(EVSD-661/662/663/664/665/666/667/668)の既発メインの青盤もちょいと広がりを持たせた音でなかなかいけてました。

 

ところがこの音源は長らく1/21の1stショーと信じられており、VGPのIN EXOTIC HONOLULUにおいてもリリース当初はDisc1は1/21の1stショーでDisc2は1/21の2ndショーとクレジットされていたのですが、実のところDisc1はこの1/22の1stショーで、Disc2は1/21が収録されていたのでした。
ホノルル公演はアナログ時代から長らく1/21に2回ライヴが行われたと信じられ、この音源がその1/21の1stショーだと間違って認識されてきたことによる誤りだったのです。
73 Winterツアーのページを作っているときにおかしいなと気づき、旧直営店CROSSに今までのクレジットはすべて違ってるのではと話したのが懐かしいです。

そんなホノルル2公演目にして1/22の1stショーが、23年を経てナチュラルに生まれ変わって登場。
ジャケットはPig's Eye ProductionのアナログIN EXOTIC HONOLULU、スタウト先生によるアートワークの復刻です。
Pig's EyeということでタイトルのHONOLULUの2つ目のOがおむすびのような豚の目になっていますが、そうだと知ったのはわたくしつい最近で、RSVPさんのTwitterからでした(笑)

それはともかくこちら、VGP盤ではやや高音がチャリチャリしていたところが見事に軽減されたナチュラルサウンドになっています。
また、EVのような音に厚みを広がりを持たせる加工もされていません。
VGP盤はVGP盤でヴォーカルとギターがくっきりしていて、わたしは特に73ウィンターツアーはその音に慣れているのですが、本作のナチュラルぶりにはちょっと感激。
ただしVGP盤と比べるとややヴォーカルとギター、そしてベースはやや後退していますが、ナチュラルであるためにピアノはより聴こえるようになっています。
そして本作ではピッチも厳密にアジャストと。聴き比べてみるとVGP盤もEV盤も後半は本作より少し速いですが、むぅそうだったのかと。
ちなみにEVの黒盤の別音源で初登場した"Sweet Virginia"演奏後の曲間30秒ほど、そして"Midnight Rambler"後の曲間20秒ほどは、曲間に無理して音質が違うことで違和感が生じるのを嫌ってか補填されていません。

しかし幻の日本公演、実現していれば凄かったんだろうと思わせる名演。
いや同じ北半球とはいえ暖かいハワイから一気に寒い日本に来てたらどうなっていたかはわかりませんが、このハワイ、素晴らしい演奏です。
"Bitch"での凄まじいキース、"It's All Over Now"でのテイラーのスライドとキースのハモリもさることながら、"Happy"のぶっきらぼう全開キースもたまりません(笑)
キースのハモリとテイラーといえばこれまたスリリングな"Dead Flowers"での1:09で僅かにぶれるのは既発と変わらず残念ですが、他の箇所にあった小さなヨレは総じてかなり消えているのがまた嬉しい。

ということで聴けばなるほどのナチュラルテイスト、"very good"が"
very good+"に。
VGP盤リリースから20年以上経ってナチュラルになってのアップグレードでした!

しかしこのシリーズ全てにいえますが、VGP盤の音に慣れた耳にはVGP盤の凶暴さも愛おしいのです(笑)

 

EUROPEAN TOUR 1973 - KBFH BROADCAST 1974 & 1988 』 (3rd Edition) no label (2CD)
SB recordings from FM broadcasts
 
*   Wembley Empire Pool, London, UK. Sep.9, 1973
**  Forest National, Brussels, Belgium. Oct.17, 1973 (1st show)
*** Ahoy Hall, Rotterdam, Holland. Oct.14, 1973 (2nd show)

●Disc 1 - KBFH 1974 Broadcast
 1. Intro. (10/17 1st)**
 2. Brown Sugar (10/17 1st)**
 3. Gimme Shelter (9/9)*
 4. Happy (9/9)*
 5. Tumbling Dice (10/17 1st)**
 6. Dancing With Mr.D. (10/17 1st)**
 7. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) (9/9)*
 8. Angie (10/17 1st)**
 9. You Can't Always Get What You Want (10/17 1st)**
10. Midnight Rambler (10/17 1st)**
11. Honky Tonk Women (10/17 1st)**
12. All Down the Line (10/17 1st)**
13. Rip This Joint (10/17 1st)**
14. Jumping Jack Flash (10/17 1st)**
15. Street Fighting Man (9/9)*

● Disc 2 - KBFH 1988 Broadcast and more
 1. DJ Intro. -BGM Gimme Shelter edit- (10/17 1st)**
 2. Intro. (10/14 2nd)***
 3. Brown Sugar (10/14 2nd)***
 4. Gimme Shelter (10/17 1st)**
 5. Happy (10/17 1st)**
 6. Tumbling Dice (10/17 1st)**
 7. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) (9/9)*
 8. Dancing With Mr.D. (10/17 1st)**
 9. Angie (10/17 1st)**
10. You Can't Always Get What You Want (10/17 1st) ** <from KBFH 1974>
11. Midnight Rambler -edit- (10/17 1st)**
12. Honky Tonk Women (10/17 1st)**
13. All Down the Line (10/17 1st)** <from KBFH 1974>
14. Rip This Joint (10/17 1st)** <from KBFH 1974>
15. Jumping Jack Flash (10/17 1st)** <from KBFH 1974>
16. Street Fighting Man (10/17 1st)**
17. Brown Sugar -Remix- (10/17 1st)** <from KBFH 1987>
 

10連休という最長のゴールデン・ウィーク初日、迎え撃つのはHONKならぬEUROPEAN TOUR 1973 - KBFH BROADCAST 1974 & 19883rdエディション。

泣く子も黙る
BRUSSELS AFFAIREUROPE '73NASTY MUSICで有名なあの73欧州のラジオショー音源が、さらなる高音質で登場して度肝を抜かれたのが2017年。
それまでのアイテムを一掃するほどのデジタル最高峰を誇り、2017年の6月にリリースされるや予約完売、そして某オクでも高騰し、同年8月に2ndエディションがリリースされるもこれまたアッという間に完売した
EUROPEAN TOUR 1973 - KBFH BROADCAST 1974 & 1988

 

それらも73欧州コーナーでも紹介していますが、軽くおさらいを。
マニアでなくともご存じのとおり、73欧州は
BRUSSELS AFFAIR '73として2011年に突然オフィシャルからダウンロード販売がなされ、その後2015年にはワードレコーズからリリースされたTHE MARQUEE CLUB - LIVE IN 1971日本盤にてカップリングリリースもされました。
しかしそのオフィシャル音源はブートでお馴染みだったラジオショーとはちょいと収録テイクが違っており、お馴染みのブリュッセル1stショーからは3曲のみで、残りの初登場も含む12曲はなんとブリュッセル2ndショーからでありました。
それはそれで衝撃の凄いことだったんですが、ブリュッセルで素晴らしいのは2ndショーより1stショーなのであります!!
ということでやはりブリュッセル1stショーなどで構成されたラジオショー音源は外せないのであります。

そんなラジオショー音源のCD最高峰がさらに磨きをかけて再々登場。
2ndエディションも1stエディションで聴かれた一瞬の落ち込みや数か所のノイズ、さらに5/1000秒の無音といった点が解消されていましたが、今回はさらに大きく2か所で改善が図られています。

まずはDisc1の"Brown Sugar"の終了直後。
1stや2ndエディションでは"Brown Sugar"終了直後に余韻もなく静かに"Gimme Shelter"が始まっていたんですが、今回そこにオフィシャルから曲間をつなぐとともに"Gimme Shelter"のイントロ部分をシームレスにつないでいてナイス。
また、歓声とのクロスフェードにより開始から2秒の間に2回鳴っていたクリックノイズのような音は1回目が目立たなくなっています。

そしてDisc2のtrk3の"Brown Sugar"。
こちら2ndエディションがリリースされた際に、1stエディションでは0:41と0:44に微妙に入っていたノイズも綺麗になくなっていましたが、ならば0:10や0:21や0:57などにある左chの極小ノイズも除去できたのかもと紹介していましたが、それが今回綺麗になくなっています。
なお、Disc2の"Street Fighting Man"冒頭のノイズももしかしたら修正できたのかもですがと紹介していましたが、こちらは今回のインフォによるとPAからのノイズであると判断し除去していないと。
なるほどオフィシャルの
BRUSSELS AFFAIR '73にも入ってますからね。

ということですが、やはり73欧州はすさまじい。
その73欧州を収録したラジオショー、King Biscuit Flower Hourの74年放送版と88年放送版のCD最高峰である最強盤がさらなる磨きをかけての再々君臨でありました!

 

GET YER YA-YA'S OUT! COMPLETE EDITION 』 (3rd Edition) no label (1CD)
SB recordings@Madison Square Garden, New York City, NY. Nov.27 & 28, 1969. / Civic Center, Baltimore, MD. Nov.26, 1969

1. Intro. / 2. Jumpin' Jack Flash / 3. Carol / 4. Sympathy For The Devil / 5. Stray Cat Blues / 6. Love In Vain / 7. Prodigal Son / 8. You Gotta Move / 9. Under My Thumb / 10. I'm Free / 11. Midnight Rambler / 12. Live With Me / 13. Little Queenie / 14. Satisfaction / 15. Honky Tonk Women / 16. Street Fighting Man
 Nov.26,     1969. Baltimore : 6
 Nov.27,     1969. MSG, NY   : 2,9,10
 Nov.28 1st, 1969. MSG, NY   : 3,13,14,15,16
 Nov.28 2nd, 1969. MSG, NY   : 4,5,7,8,11,12

1stは2017年11月、そして2ndはそのわずか1ヶ月後の2017年12月にリリースされた人気タイトルの3rdエディション。

 

ということで毒を食らわば皿まで(笑)
こちらの3rdエディションはジャケ違いだけのようですので、以下1stエディションの紹介よりコピペ(笑) 
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こちら、オフィシャルのGET YER YA-YA'S OUT!』と、ライブ40周年記念で2009年にリリースされたGET YER YA-YA'S OUT!』Deluxeのボーナス("Prodigal Son" "You Gotta Move" Under My Thumb" "I'm Free" "Satisfaction")を演奏順につないで69ライブ完全版に仕立て上げた作品。
そのコンセプトはVGP/DAC直営店のプレゼントCDとして既に2010年に実現していましたが、今回はごく一部にGET YOUR  YA-YAS OUT』(RS-APPLE PROMO)やFUCK YER YA YA'S OUT!』(VGP-160)などでおなじみのアセテート音源も補填することで最長盤となっています。
その補填箇所、まずはアセテートには収録されていながらもオフィシャルではカットされていた"Sympathy For The Devil"の3番のサビの部分から4番のサビにかけて、このCDでの2:41〜3:35にかけての54秒間。
さらに"Midnight Rambler"開始前もアセテート盤は30秒ほど長く収録されていましたが、そこだけではなくオフィシャルに収録されているチャーリーのドラム・ロールとミックの掛け声の間に0.15秒という極小カット(このCDでの0:42の部分)があったということで、そこを含めて綺麗につながれています。

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ということではい、これ最高です。
欲を言えば
GET YER YA-YA'S OUT!Deluxeのボーナスはちょっと高音域が強めなので、そこが調整されればなおいいんですが、デグレードになるので避けたんでしょう。
ちなみに今回のジャケ、バンド名のところにチャーリーとロバが隠れています(笑)
 


Mar 2019
BOSTON 1969 2ND SHOW 』 no label (1CD)
aud.recordings@Boston Garden, Boston, MA. Nov.29, 1969 (2nd Show)

1. Intro / 2. Jumping Jack Flash / 3. Carol / 4. Sympathy For The Devil / 5. Stray Cat Blues / 6. Love In Vain / 7. Prodigal Son / 8. You Gotta Move / 9. Under My Thumb / 10. Midnight Rambler / 11. Live With Me / 12. Little Queenie / 13. Satisfaction / 14. Honky Tonk Women / 15. Street Fighting Man

1969ボストン2ndショーが登場。

MSG公演直後に行われた69ツアー最終盤のこのボストンでは2回の公演が行われましたが、その2ndショー。

これまた名テーパーとして知られるジョー・マロニーの隠密音源がブートでは長く親しまれ、69コーナーで紹介もしていますが、古くはTHAT'S NO WAY TO GET ALONG(MG-004)、そして2005年、ほぼ同時期にEXILEからWELL YOU HEARD ABOUT THE BOSTON...LIVE 1969(EXCD-038)、ScorpioからHAVE YOU HEARD ABOUT THE BOSTON...(STH-7)、そしてDACからSOME SATANIC TOUR(DAC-015)がリリースされており、DAC盤が決定盤とされてきました。
     

今回のリリースのきっかけは1stジェネレーションという音源がネットに公開されたこと。
お馴染みのジョー・マロニー音源の1stジェネレーションをかのKrw_coが公開してくれたものが元になっています。
ただしその公開された音源はピッチが速いという欠点を持っており、そこを丁寧にアジャストしてリリースされたのが今回のこちら。

ということですが、もともとSOME SATANIC TOUR(DAC-015)Disc2も素晴らしかっただけに、それほど向上は感じません。
聴き比べるとややマイルドになって、逆にDAC盤よりもサーッというホワイトノイズが載ってる感じ。
ということで評価的にはDAC盤同様"
very good"でありますが、時代を考えれば十分"EX-"です。

んじゃDAC盤でいいじゃないのということですが、"Prodigal Son"のあとのミックのものと思われるインディアン叫びは今回初めて収録されていて貴重であります。

そんなボストンですが、この公演で有名なのは何といっても煮え切らない"Sympathy For The Devil"。
ミックが3番の "I watched the glee while your kings〜" からの歌い方を間違ってしまい、その後も盛り上がりに欠ける展開に(笑)

そしてこの日の"Prodigal Son"ってなんか変だなと以前から思い、69コーナーにもそう書いていましたが、今回のインフォを読んでそうだったのかと。
インフォいわく、
> ミックとキースが二人だけで演奏する二曲ですが、何故かこの日に限って12弦アコースティック・ギターにピックアップを付けた形で演奏しているのがとても貴重。
> 何故なら、この演奏形態は70年のヨーロッパ・ツアーにおいてレギュラーなスタイルとなるのですが、69年でそれを試みているのはボストンだけだったからです。
なるほどそうだったのか!と耳から鱗であります。
にしてもミックの歌い方も変なんですけどね。
ただしこの"Prodigal Son"の途中、1:26あたりから5秒ほど左chがオフになります。
ここは元音源もそこで左chがオフになるんですが、DAC盤ではオフになることもなく。
モノラルなので右chからコピーすればよかったのにと思うんですが、ここはもったいない。
ついでに言うと"Live With Me"の1:04の音ブレも直せていればと。

そしてボストンといえば、"Midnight Rambler"でミックのハーモニカに乗るハウリングによって演奏をスタートできないまま、しばらく延々とハーモニカが鳴り響くという悲しい展開が有名。
久々に聴きました(笑)

ということで既発盤からの向上はさほど感じず、"Prodigal Son"で5秒ほど左chがオフになったりするところは惜しいですが、貴重なインディアン風の叫びが入っています。
しかしこうして新作としてリリースされるとちゃんと聴くので、1stジェネレーションをちゃんと聴けるという嬉しい機会でありました。

 

HONOLULU 1973 1ST NIGHT 』 no label (1CD)
aud.recordings@Honolulu International Center, Honolulu, HI. Jan.21, 1973

1. Intro. / 2. Brown Sugar / 3. Bitch / 4. Rocks Off / 5. Gimme Shelter / 6. It's All Over Now / 7. Happy / 8. Tumbling Dice / 9. Sweet Virginia / 10. Band Introductions / 11. Dead Flowers / 12. You Can't Always Get What You Want / 13. All Down The Line / 14. Midnight Rambler / 15. Live With Me / 16. Rip This Joint / 17. Jumping Jack Flash / 18. Street Fighting Man

続いてこちらも73極東ツアーから、極東ツアー初日のハワイ公演。
こちらはファースト・ジェネレーション!としてJEMSがネットに公開した音源から。

これはナイスです。ほんとにナイス。

このホノルル公演、以前は1/21には2回開催されたと間違って伝わっていたこともあり、クレジットが誤っていたものもありましたが、これまでHONEY-LOO-LOO(OBR 305CD024)、TROPICAL WINDSONGS(ZA 32)、HAWAIIAN TOP(WG025-026)、HAWAIIAN DAYLIGHT(TSD002)、IN EXOTIC HONOLULU(VGP-040)、IN EXOTIC HONOLULU(AKA-23)、STONES IN EXOTIC HONOLULU(SODD 117)といった多くの盤を輩出してきました。

           

実はわたくし、今回のインフォを読むまでSODD盤が出てたことに気づいてなかったんですが、TASBや事典によると既発ではSODD盤が一番ロージェネで決定盤だったそうです。
そんなわけでわたし上の右2つは持ってません。

そんなハワイ公演初日ですが、今回のアップグレードはほんとに素晴らしい!
さすがはファーストジェネレーション、これは"
very good+"どころか当時の隠密としては"EX-"と呼んでも差し支えない素晴らしいサウンド!
まぁヴォーカルとドラムとホーン以外はちょっと団子で埋もれ気味ではありますが、既発を聴いた耳には、何だこの澄み切ったサウンドは!とびびるほど。
なお、"JJF"では既発同様、0:43-2:33の中間部分にテープチェンジによるカットがあり、そこは翌1/22の2nd showから補填されていますが、その繋ぎも公開版では違和感ありまくりでしたが、その違和感を大幅に軽減する丁寧な補正が独自に行われていてナイス!

演奏もレアな"It's All Over Now"に、イントロのハーモニカが印象的でハワイのワインと歌う"Sweet Virginia"に、アレンジの変わった"Live With Me"などなど聴きどころもたくさん。

既発を買い続けて親しんできたマニアはもちろん、未聴の方にも楽しめること間違いなしの逸品であります!

ちなみに
"JJF"の欠落部は2014年にリリースされたSWEET TROPICAL SUN(EVSD-661/662/663/664/665/666/667/668)の黒盤の新音源で補填すれば1/21完全版になったんですが、その音源では演奏の質感があまりに違うので嫌ったのかな?

 

BRISBANE 1973 』 no label (1CD)
aud.recordings@Milton Park Tennis Courts, Brisbane, Australia. Feb.14, 1973

1. Brown Sugar / 2. Bitch / 3. Rocks Off / 4. Gimme Shelter / 5. Happy / 6. Tumbling Dice / 7. Love in Vain / 8. Sweet Virginia / 9. You Can't Always Get What You Want / 10. All Down the Line / 11. Midnight Rambler / 12. Band Introductions / 13. Bye Bye Johnny / 14. Rip This Joint / 15. Jumping Jack Flash / 16. Street Fighting Man

幻の日本公演の73ウィンター・ツアーからオーストラリアのブリスベンのアップグレード盤が登場。
このウィンター・ツアーでのキースとボビーのあれこれ充実した生活と珍道中は、キースの自伝LIFEで語られていましたが、そこには純正コカインなんて話しも(笑)

それはともかく、このバレンタイン・デーに行われたオーストラリア初演であるブリスベン公演は、1996年にリリースされたOBRのVALENTINE'S DAY(OBR 458CD028)で初登場、その後2002年にVGPがEAT MEAT ON STAGE(VGP-295)でアップグレード盤をリリースしていました。

 

OBRのVALENTINE'S DAYではオープニングの"Brown Sugar"が未収録で、"Love In Vain"と"All Down The Line"の終盤が未収録という悲しさ。
元は同音源のVGPのEAT MEAT ON STAGEでは"Brown Sugar"の終盤から収録されていましたが、"Love In Vain"とAll Down The Line"の終盤はひとつ前の2/11オークランド公演の音源から補填されていました。

そのVGP盤から17年経って現れた今作。
音源自体は既発と同じ音源ながら、今回はネットにも出回っていない、独自入手したロージェネレーション・コピーからのCD化で、なんと"Love In Vain"後半も収録!
やっぱり後半もあったんだ!!この音源を初めて聴いてから20年以上経って、ついにテイラーの美しきソロを最後まで聴くことができて感動であります。
"Brown Sugar"と"All Down The Line"が不完全なのは変わらず、"Love In Vain"もどうやら一瞬カットでほんとの完全版ではないっぽいですが、"Love In Vain"がこうしてほぼ完全収録版となったのは嬉しい限り。
そしてロー・ジェネレーションになったことでヒスノイズが軽減し、ソリッドながらもよりナチュラルなサウンドで楽しめる"
very good+"に昇華しています。

ただし、"Tumbling Dice"には既発にはなかったジリッというノイズが混入しており、35秒付近では微妙な音ブレが起こっていることから、ジェネレーションは若いものの、枝葉の違うツリーでのジェネレーションが若い音源なんでしょう。
また、"Bitch"や"Midnight Rambler"の開始直後にジェネレーションの異なる音に切り替わることから、まだマスターコピーではないようですが、より若いジェネレーションになったということは喜ばしいことであります。

そしてあらためて言うまでもなく、このブリスベンは演奏も熱い!
ミックが雄叫びをあげる"Bitch"からして強烈で、キースもテイラーもそして耳をすませばニッキーもかなりはじけまくってます。
そして中盤"Midnight Rambler"では爆発!さらにラストの"Street Fighting Man"では勢いあまってミックが3番を歌えず迷走するほど。
そのラストの"Street Fighting Man"終了後にチャーリーがマーチを叩くところも既発より長く収録されています。
いやぁ〜熱いぞ極東!!

とまぁいいこと尽くしなんですが、長年極東ツアーはSB音源でも隠密音源でもあの刺激的なサウンドに慣れ親しんだ耳には、今回のちょっとナチュラルになった音は凶暴さが少し減退してちょっと物足りなく感じてしまったりもします(笑)
これはOBRやVGP盤は微妙にピッチが速く、どうやら今回正しいピッチとなったこともそこに影響しているかと。
ということで個人的には今作は"Love In Vain"の後半に大感激、ロージェネからで正確なピッチと三拍子そろった嬉しいアップグレードながらも、慣れ親しんだ既発の凶暴さも捨てがたい、そんな感じであります。


Jan 2019
BLIND DATE: C.N.I.B. 1979 2ND SHOW  /  THE NEW BARBARIANS & THE ROLLING STONES  』 no label (4CD)
SB recordings & aud.recordings@"Canadian National Institute for the Blind Benefit" Oshawa Stadium, Toronto, Canada. Apr.22, 1979 (2nd Show)

●Disc 1 - THE NEW BARBARIANS (soundoboard recording)
1. DJ Intro / 2. Intro by John Belushi / 3. Sweet Little Rock'n Roller / 4. F.U.C. Her / 5. Breathe On Me / 6. Infekshun / 7. I Can Feel The Fire / 8. Am I Grooving You / 9. Bass-Drum Jam / 10. Seven Days / 11. Before They Make Me Run
●Disc 2 - THE ROLLING STONES (soundoboard recording)
1. Intro / 2. Prodigal Son / 3. Let It Rock / 4. Respectable / 5. Star Star / 6. Beast Of Burden / 7. Just My Imagination / 8. When The Whip Comes Down / 9. Shattered / 10. Miss You (with Stanley Clarke) / 11. Jumping Jack Flash / 12. Outro.

●Disc 3 - THE NEW BARBARIANS (audience recording)
1. DJ Intro / 2. Intro by John Belushi / 3. Sweet Little Rock'n Roller / 4. F.U.C. Her / 5. Breathe On Me / 6. Infekshun / 7. I Can Feel The Fire / 8. Am I Grooving You / 9. Bass-Drum Jam / 10. Seven Days / 11. Before They Make Me Run
●Disc 4 - THE ROLLING STONES (audience recording)
1. Intro / 2. Prodigal Son / 3. Let It Rock / 4. Respectable / 5. Star Star / 6. Beast Of Burden / 7. Just My Imagination / 8. When The Whip Comes Down / 9. Shattered / 10. Miss You (with Stanley Clarke) / 11. Jumping Jack Flash / 12. Outro.

CNIBチャリティーライブの2ndショー。
CNIBについてはこちらと同日にリリースされたPLACE AUX DAMES : SHADES 'N' CANES C.N.I.B. 1979 1ST SHOWで先週紹介していますし有名な話しですのでもう省きますが、こちらが昔からブートファンにはお馴染みの2ndショー。

この2ndショーは、アナログ時代には隠密音源による2LPBLIND DATE(KR422)、そしてもう20年以上も経つのかと懐かしい、CD時代にはサウンドボード音源が流出した有名なライブ。
CDでは最初にリリースしたのはShaved Discでしたが、その後TSPが"Respectable"の欠落部を隠密補填してイコライジングをきかせたBLIND DATE REVISITED(TSP-CD-202)、ほぼ同時にVGPがクレジットなしで隠密補填なしのBLIND DATE REVISITED(no credit)をリリース。
結果、イコライジングがややきつくて曲間がカットされていながらも、"Respectable"の欠落部が隠密補填されたTSP盤が20年以上も代表盤となっていました。
CNIBといえばというアナログのジャケを改変したわかりやすいジャケであり、その後登場したいくつかのコピー盤のマスターにもなっているのが代表盤らしいところ。

↓アナログBLIND DATE(KR422)、BLIND DATE REVISITED(TSP-CD-202)、BLIND DATE REVISITED(VGP-no credit)

   

しかしこの23年前に流出したSB音源は、VGP盤を聴けばなるほど元はこういう音なんだなとわかるジェネ落ちサウンドであり、TSP盤はそれにかなり強烈なイコライジングを施していたことがよくわかります。

それが昨年のクリスマス、有名なKrw_coによってそのSB音源のロージェネ・マスターがネットに公開されたのです!
ネットには16bit/44.1kHzバージョンと24bit/96kHzバージョンの2つが公開され、さすがはKrw_coと、そのロージェネぶりに驚いたものです。
まぁ元々ちょっと痩せた音質である点は変わりませんが、イコライジング臭のないナチュラルな"
EX"サウンド。
やや定位が左寄りで、低音にもう少し厚みがあればなおよしというサウンドですが、見事なアッパーぶりです。
ただその公開された音源はどうもピッチがちょいと高くなっていたんですが、今回そこは丁寧に補正されています。

ということで本作はそのKrw_coによるアッパーSB音源の補正盤と、アナログ起こしの隠密音源をまとめた4CDパッケージ。
過去作のイコラが気になっていた方には朗報!!さらにアナログの隠密ソースもパッケージングされ、もう手放しで喜んでしまう今回のリリース。
そしてジャケもCNIBかくあるべしという復刻ジャケ。
こちらは昔ブートにはまった人に嬉しいアッパーというだけでなく、初めて聴かれる方も十分楽しめるサウンド。アナログ起こしの隠密部分も素晴らしいサウンドです。
2ndショーといえばの始まらない"Star Star"にキーがとち狂った"JJF"もしっかり堪能できます(笑)
しかも同日に1stショーの『PLACE AUX DAMES - SHADES 'N' CANES C.N.I.B. 1979 1ST SHOW』がリリースされたのもこの2ndショーが登場したおかげでしょう。
今回この2ndショーをついに登場した1stショーと聴き比べることができたことの意義も大きい!

なお、SB音源もLP隠密音源も欠落部はそれぞれから見事な補填がなされていますが、補填箇所をインフォから抜粋すると以下のとおり。

●Soundboard Source

Disc 1-THE NEW BARBARIANS
7. I Can Feel The Fire ★2:40 - 2:59 補填

Disc 2-THE ROLLING STONES
3. Let It Rock ★3:09 - 最後まで補填
4. Respectable ★0:00 - 0:22 補填
9. Shattered ★3:15 - 4:07 補填

●LP Source

Disc 3-THE NEW BARBARIANS
1. DJ Intro ★0:00 - 0:09 補填
4. F.U.C. Her ★4:03 - 4:33 補填
5. Breathe On Me ★9:34 - 最後まで補填
6. Infekshun ★4:12 - 4:15 補填
7. I Can Feel The Fire ★6:31 - 7:01 補填
9. Bass/Drum Jam ★2:44 - 3:02 補填
11. Before They Make Me Run ★3:18 - 3:49 / 3:59 - 最後まで補填

Disc 4- THE ROLLING STONES
1. Intro ★0:00 - 0:14 補填
2. Prodigal Son ★2:42 - 2:54 補填
6. Beast Of Burden ★6:48 - 6:52 補填
7. Just My Imagination ★6:47 - 6:57 補填
8. When The Whip Comes Down ★4:54 - 最後まで補填
10. Miss You (with Stanley Clarke) ★9:51 - 最後まで補填
11. Jumping Jack Flash ★7:31 - 最後まで補填
12. Outro. ★全部補填

いやほんと丁寧なアップグレードと両音源のパッケージで嬉しい限り。
ということで多くを語る必要のない、嬉しいアップグレードにしてSB&隠密完全盤でした!

 

PLACE AUX DAMES - SHADES 'N' CANES C.N.I.B. 1979 1ST SHOW  /  THE NEW BARBARIANS & THE ROLLING STONES  』 no label (2CD)
aud.recordings@"Canadian National Institute for the Blind Benefit" Oshawa Stadium, Toronto, Canada. Apr.22, 1979 (1st Show)

●Disc 1 - THE NEW BARBARIANS
1. Intro / 2. Breathe On Me / 3. Come To Realise / 4. Infekshun / 5. Lost And Lonely / 6. Am I Grooving You / 7. Bass-Drum Jam / 8. Seven Days / 9. Before They Make Me Run
●Disc 2 - THE ROLLING STONES
1. Intro / 2. Prodigal Son / 3. Let It Rock / 4. Respectable / 5. Star Star / 6. Beast Of Burden / 7. Just My Imagination / 8. When The Whip Comes Down / 9. Shattered / 10. Miss You / 11. Jumping Jack Flash / 12. Outro.

あらためて簡単に振り返ると、The New Barbaliansとは、ロニー、キース、そして共に2014年末に亡くなったボビー・キーズとイアン・マクレガンの二人、さらにはスタンリー・クラーク、ミーターズからジョー"ジガブー"モデリスト、これらの豪華メンバーがロニーの新作GIMME SOME NECKのプロモーションにあわせて結成されたユニット。
キースのトロント裁判により1979年に開催されたチャリティ・コンサート"BLIND DATE〜C.N.I.B. (Canadian National Institute for the Blind) ベネフィットコンサート"にてデビューを飾り、そのBLIND DATEのあと全米ツアーを敢行し、ネブワース・フェスティバルでLed Zeppelinのサポート・アクトとしてイギリスで一度だけお披露目し、翌1980年にも米国で一度だけライブを行ったスペシャル・ユニットでした。
トロント裁判の判決においてこの盲人のためのチャリティー・コンサートを行うことを条件に無罪判決となったのは、盲目のリタが判事に懇願したためというのはよく知られてはいましたが、2015年のZIP CODEツアー最終公演でカナダのケベック公演を終えた後、キースがバックステージでの彼女との2ショット写真と共に謝辞を述べていたのには感動したものです。

と、前置きが長くなりましたがそのニュー・バーバリアンズの記念すべき初ライブのオーディオが登場。
このライブ初日であるCNIBベネフィット・コンサートには2回のステージが行われ、ブートでお馴染みなのは2ndショーですが、こちらは初ライブである1stショー。

アナログでは本作のタイトルにあるPLACE AUX DAMES : SHADES 'N' CANESに部分的にリリースされていましたが、CD化は今回初という貴重な音。
なお、ステージの一部を収録したワンショットカメラの映像も存在し、そちらはJointripからTHE NEW BARBARIANS - 7479としてリリースされ、その映像の大元はYouTubeでも見ることができます。
その映像を観てると、当たり前ですがほんとにキースが嬉しそうに演奏してるのがうかがえて、いつかはこの全長版を聴いてみたいなんて思ってたものでした。

そしてインフォを読んでなるほどと思ったのがコチラ。
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おまけにセカンド・ショーと比べてセットリストの構成が随分と違っているという事実がまた面白い。
彼らからすれば、既にブッキングされていたツアーの前にウォーミングアップを兼ね、この日のショーで用意していたレパートリーを片っ端から披露してしまいたいといった算段だったのではないでしょうか。
"Lost And Lonely"はこの回のみで演奏されたレパートリーですし、その出来もなかなかのもの。さらにセカンド・ショーと違って"Am I Grooving You"ではロニーのハーモニカ・ソロが登場せず、スタンリー・クラークのベース・ソロだけが盛り込まれた短めのアレンジとなっているのも貴重かと。
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ということで貴重なニュー・バーバリアンズのステージが終わるとキースだけがステージに残り、そこにミックがジョインしての"Prodigal Son"、そしてストーンズへ。
もうこの素晴らしいミラクルが遂に完全版で!!もうそれだけで個人的には十分価値ある作品です(笑)

なお、インフォによるとこの公演を収めたオーディエンス録音は2種類存在するとのことで、本作では音の良い方のソースをメインとし、その1stソースの欠落部を以下のとおり2ndソースとLPソースで補填されています。
さらに、いずれの隠密録音でも狂っていたピッチをしっかり調整してのリリースと!!

●Disc 1 補填箇所
1. Intro ★全部 2ndソースイコラ補填
2. Breathe On Me ★0:00 - 0:03 2ndソースイコラ補填
8. Seven Days ★ 4:58 - 5:04 2ndソースイコラ補填

●Disc 2 補填箇所
10. Miss You ★5:42 - 6:05 / 7:45 - 8:23 2ndソースイコラ補填
11. Jumping Jack Flash ★6:53 - 最後までLPソースイコラ補填
12. Outro.★全部LPソースイコラ補填

というわけですが、この隠密音源、いままでリリースされなかったほどの劣悪音源かというとそういうわけでもなく。
とはいえじゃあ良好かというとそうでもなく(笑)
ニュー・バーバリアンズ部分は結構ダンゴ状態で、スタンリー・クラークのベースもよく聴こえなかったりしますが、冒頭に興奮しまくったジョン・ベルーシによるメンバー紹介もしっかり収録され、ニュー・バーバリアンズの記念すべき初ライブに突入していくさまは素晴らしい。
そして2ndショーでのドタバタぶりに反して、意外にストーンズもしっかり演奏していたんだというのがわかります(笑)
ストーンズの"Star Star"もドタバタだった2ndショーに比べるとしっかりやってます。
2ndショーまでの合間にキメすぎたんでしょうか?

まぁ音質的にはちょいと距離があって、ニュー・バーバリアンズ部分はちょいと団子状の"
good"、ストーンズ部分はもうちょいすっきりした"very good"程度ですが、共にこもったような感じはなく、まぁアナログブートテイストな痩せた音ではありますが、この歴史的なライブをこうしてマニアには十分な音質で聴けるというだけでも感激です。
そしてラストの"JJF"ではストーンズ+ニュー・バーバリアンズのメンバーによる大団円となっています。

いやほんと凄いライブだったんだなと、その全編をついに聴くことができて、ささやかな幸せを感じる作品でありました(笑)


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