ラッフルズ・ホテル
アジアのホテルでシンガポールのラッフルズに並ぶ存在といえば、インドのタージマハル・ホテル、香港のペニンシュラ・ホテルあたりでしょうか。私は3つとも見たことはあるが泊まったことは無い。今回もラッフルズには泊まらなかった。人間、身の程をわきまえなくてはならない。
ラッフルズの偉大なところは、これだけ格式の高いホテルでありながら、宿泊客以外の観光客でもショッピングや食事を楽しめるようになっており、敷地内で南国的リゾート気分が満喫できるところにある。言い換えれば商魂がたくましいということか。

タクシーでラッフルズの正面エントランスに着くと、ターバンを巻いたシーク教徒のボーイが“good evening sir”と言って出迎えてくれる。ここからが夢のラッフルズ・ワールドの始まり始まり。

さて、身の程をわきまえたはずの我々夫婦がいったい何しにこんなところに来たかというと、宿泊が無理ならせめてランチでも優雅な気分を疑似体験しようという小市民的願望からである。
ラッフルズ・ホテルというのは、宿泊棟をショッピングアーケードやバー、レストランが入った建物が取り巻くようになっており、カクテルのシンガポール・スリング発祥の地として有名なロング・バーもこの一画にある。

我々がランチを目当てに入ったところはバー&ビリヤードルームで、ここは独立した建物になっているがランチとアフタヌーンティー専門なので午後5時閉店という贅沢なところだ。ここのランチビュッフェはやはりというか、そんじょそこらのランチバイキングとは料理の質が違う。シーフード、肉料理、デザート、はては寿司まで、とても食べきれない種類の料理が並んでいる。しかも出来合いの料理ばかりではなく、建物を取り巻くテラスではシェフが目の前で肉を焼いてアツアツの料理を皿に盛ってくれる。クリスマスということもあってか席はほぼ満席であり、昼間から大いに飲み食べている。

スタッフの態度はさすがに非常に良い。欧米と違い、「アジア人と思ってなめてんのとちゃうか?」と感じさせられることは全く無い。
特にこれを期待して入ったわけではないが、ここでも生演奏をやっている。ボーカルにピアノ、ウッドベース、ドラム。時節柄クリスマスソングも多いがスタンダード曲もやっている。昼間のワインと料理で気分が良くなっているからか、先日のハリーズ・バーよりよほどマシな演奏に聴こえる。

そういえば、我々が泊まったパン・パシフィック・ホテルの1階ロビーにあるバーでもボーカル入りの生演奏をやっていた。このホテルは1階から最上階の36階まで巨大な吹き抜けがあるので、我々が泊まった部屋でも扉を開けるとボーカルが聞こえてきたのだが、このボーカル、部屋の扉を開けた瞬間ウチの奥さんが「カラオケ大会やってるで」と言った程度のものであった。「カラオケって、そんなアホな」と思いながら私も外を覗いた瞬間、「ホンマにカラオケやってるな」と思った。パン・パシフィック・ホテルはいいホテルだったのだが、数少ないマイナス点だった。

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