さぶの部屋 2

唯一気に入っている自分で書いた絵
さぶのお薦め
お気に入りのエンターテイメントを持つことは人生を少なくとも3割り増しに楽しくして
くれる。というわけで、僕のお気に入りを少し紹介しておく。「こんなのもあるよ」という
メールは大歓迎。
佐藤賢一 『小説 フランス革命』全一八巻、集英社文庫、フランス歴史小説で直木賞を獲った
ことでも感心したが、私的には『カルチェラタン』でのザビエルやロヨラそしてカルヴァンンの活写に
惹かれている。彼の畢生の、そして乾坤一擲の、だが鹿島茂に言わせると、遅れてきたデュマ父の
感ある大作。定評のある人物造形はもちろんだが、臨場感はパリやフランスを知るものにとっては
尋常ならざるものがある。夏休みにお薦めの大歴史絵巻。
大原まり子 『超・恋・愛』 (光文社文庫)、こんなに軽やかで宇宙的で次元旅行者的な
可愛い女性がいるというだけで救われる気分がする。母親のダブルバインドから永遠に逃れられそう
にない若い男の子に読ませたいね。ピンナップを眺めながらなにするよりもよっぽど快感。
で、このキャピキャピがちょっと眩しすぎるときは、小池真利子さんを読むこともある?でも
むかし仙台で通った酒場の小池まり子(名前の書き方は忘れた、ごめん)さんの歌も僕には
捨てがたい。で、そういった女性の類型を描いて読み手をうならせるのが以外と逢阪剛だったりする
よね、彼の『まりえの客』(講談社文庫)は秀逸。言っとくけど僕は決して「まり」フェチでは
ありません。
で最近フランス語訳が出た村上春樹の『国境の南、太陽の西』(講談社、1992年)。その初版本が
300円で売っていたので、買い求めて読んだ。彼の作品はしっかりフォローしていたはずなんだ
けど、なんかウィタ・セクスアリスものような気がして敬遠したことを思い出す。いまさらと言われる
かも知れないけど、またエンターテイメントに入れるなというファンもいると思うけど、うん、
いいね。最後に島本さんと交わるくだりなんか、はい、もうあきまへん。
なんだか、ぐだぐだと続きそうなので、僕の悪友の仕事を紹介して今回は終わりにしておこう。
彼とは大学で知り合ったのだが、酒とか博打とかで4年間かなりの時間を共有した。その後もたまに
会っては互いの老け加減を肴に酒を酌み交わしている。
北澤和彦、翻訳の仕事
ロバート・リテル 『赤葡萄酒のかけら』(上下2巻)(新潮文庫)
ロシア革命を描いたエンターテイメントとしては最高の部類に入るんじゃないかな。スターリン
暗殺(!?)を筋にした歴史大活劇だが、革命の血なまぐささとロシアの土臭さが鼻腔に溢れて
くるような気にさせるのは、翻訳がすぐれているからでもある。
マーティン・クルーズ・スミス 『ローズ』(講談社文庫)
うちの奥さんが「これはいい!絶対にいい!映画にしたら当る!」と絶賛した英国の炭坑を舞台に
した、ヴァイオレンスものの傑作。炭坑経営者の陰謀とそれと闘う炭鉱夫。暗い坑道での大立回り
はたしかに凄い。なんで飲み屋がバーと呼ばれるようになったかが分る小説でもある。